事故破産

双葉紫明

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第5話

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 フェアにやって欲しい、そんな思いを伝え、自分の記憶の状況や相手が警察にした話による思い出し、そこから推測される仮定等伝えた保険屋の担当者も、冷たい。
 相手と同じ保険会社だった事も良くないのか?
 その後調べて右直事故の過失割合は7:3でこちらが不利と知った。
 9:1スタートと言われた。
 相手は動いていただけの過失。
 法定速度では走ってなかった、と警察には言っているから明らかに有り得ない事なんだけど、保険屋には法定速度内だったと言ってるんだろうか?
 法定速度では起こり得ない事故状況は、僕も無理に高速で割り込んだからとされているんだろうか?
 僕の(問題なしと視認したから)わからない、が、完全に見落としにすり替わってしまっている。
 だとしたら僕はもっと前方を当てられ左側に流される筈だし、横から急に出て来たものを「追い越す」とは、普通は言わないだろう。
 保険屋からドラレコはない旨伝えられた。
 お盆で受け入れ先が決まらずレッカー屋が保管してくれていた車が一旦戻ってきた。
 衝突箇所を見て確信した。
 右斜め後方から当てられてるのである。
 反対側のガードレールに擦る形での右折路より少し先の停止位置といい、僕は右折しようとしたところを、相手の説明からも対向車線もしくは対向車線側の右折レーンで当てられている。
 はっきりと、国道に入ってからの記憶が思い出せる。
 5秒、もしくは、僕が対向車の確認に振り返ってからのろのろ転がしてるところからなら10秒ほど猶予があったと思われる。

 まず、法定速度で走っていたら停止出来るだろう。
 ブレーキは間に合わない。
 相手はそう判断して急ハンドルを切った。
 そこに相手の悪質な速度超過・脇見等の過失の可能性はないのだろうか?
 それがあったとしても追い越しではなく、危険回避行動となるのだろうか?

 だんだんと自分が置かれた立場が把握出来てきた。
 この事故の過失は事故の根本原因が僕の確認不足によるとされている。
 しかし僕には一度まっすぐに対向車線を確認した記憶が、確かにある。

 自分で何度も検証した。
 法定速度であれば前でウインカーを出して右折待ちをしている車には、ほぼブレーキで原則、停止する。
 直近左右折だからウインカーは数秒になるけど、右に避けようとしたって事は相手の頭に僕の右折は無かったんだろう。

 本当に相手の過失無しで起こり得る状況なら、僕はなんぼ主張したところで見落としたんだろう。
 しかし国道に侵入してから、ブレーキは踏んでもアクセルは踏んでいない。
 20km以内で急な割り込みが出来るんだろうか?
 また、現場は登坂車線と右折レーン含めて対向車線が3車線ある区間。
 左折路と右折路の間は十数メートル国道で坂を下るだけだが、斜め横断は不可能だ。

 保険屋はなかなか僕の話を飲み込んでくれず、事故状況を記入する書類を送付したから返送後の判断になると言う。
 そのぶん長引きそうだけど、その間に少なくとも「相手から見た」ものではなく、「自分がした」動きをしっかり事実に近付けなければ。
 客観的情報として、見えてぶつかった相手に分があるだろう。
 けど「追い越ししてて、ブレーキ間に合わなかった」が、危険運転としてではなく、すっかり危険回避行動として是認されてしまっている。

 状況証拠を固めるしかない。
 そして、主張するしかない。
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