この温泉に逝け

双葉紫明

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はじめての温泉

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 僕はtoo shy shy boyなんで公衆浴場には抵抗がありました。それに貧乏で旅行に連れてって貰った記憶は2~3回、もちろん銭湯とかも1回か2回入った事あるかな?って感じでした。
 たぶん20代半ば過ぎくらいだったか、もう少し前だったかもしれません。僕は当時付きあってた彼女とふたり縁があった岐阜へなんかで行って、当時住んでいた横浜まで帰るところでした。
 その頃も貧乏でしたから、高速道路なんて貴族の為のモノだと思っていて、ポンコツの中古車をひたすら深夜の下道でどこにでも行ってました。だいたい横浜から岐阜まで5~6時間はかかりました。
 僕は今でもどんだけでも運転出来るマンなのですが、流石に夜道を何時間も走っていると睡魔が訪れスイマセンとなりました。彼女は典型的なペーパードライバーでしたので、助手席が定位置でした。長い付き合いの間、彼女がハンドルを握ったのを見たことがありませんでした。今頃はバンドルカードを握りしめているでしょうか?
 下道とはいえ、当時まだ有料だった静岡のバイパスたちは夜間無料だったので、浜名湖バイパスから富士バイパス(でしたっけ?)をその間に走破するのが重大なミッション、そこで止まる事は許されません。それから箱根を越えて1号線を走って居ると、助手席で安眠している彼女をびんたしたくなるくらいの睡魔がスイマせんしてきやがりました。その時進行方向右手に見えて来たのが日帰り温泉施設を備えたホテルみたいなのでした。確か湯河原だったと思います。入浴料だけで少し仮眠もとれるかもしれない。素早く彼女をびんたして起こし、「あそこで休んで行こうか」と初心に帰る様な誘い文句を口にした僕は、その3階建てくらい(だった気がします)のビルヂングの駐車場に車を滑り込ませたのでした。
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