紫明先生山歩記

双葉紫明

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homegrown

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 僕は行きはバスで来たけど、帰りは奥さんの買い物ついでに拾ってもらうつもりでいた。
 特に時間については何も言われてなかったので、朝早くから歩くんだから、お昼くらいには終わるだろうと思っていた。
 しかし、昼を過ぎても一向に下山に向かう気配がなかったので、思い切って13時に奥さんが近くまで迎えに来る旨切り出した。
 すると先輩は「まだルートの半分くらい、だいたい4~5時間は歩く」と言った。
 先輩も叔父さんもまだまだこれから、という感じだったので、僕はひとりで下山すると伝えた。
 すると、先輩は、「なら俺たちも下りないと。迷ったら危ないから」と、予定の半分が僕のせいで切り上げられてしまった。
 気まずかった。
 これも今になればわかる事ではあるが、今の僕なら一旦下山に付き合い、また入山するだろう。
 帰り際、収穫に納得いかない叔父さんが、地面をほっくり返して消しゴム程の、表面がブツブツしたきのこを露出させ、「ほら、採れ」と言った。
 僕が採ろうとすると「そうじゃねえ!もっと指突っ込め!」
 厳しかった。
 シャカシメジの幼菌。
 彼らは「イボコゴリ」とか、「千本」と呼んだ。
 水虫薬を思い出した。
 ともあれ帰宅。
 帰路奥さんに散々愚痴をこぼした。
 その晩、先輩の言葉に倣い、その消しゴム程の水虫の薬を、栽培シメジやエノキとともにすき焼きにした。
 好き嫌いが激しく手を焼いていた長男が、「なにこれ?うまい!」と喜んだ。
 僕は、また先輩に連れてってもらう事に決めた。

 翌日仕事に行くと、先輩は居なかった。
 酒による肝臓疾患で、仕事中うずくまって動けなくなったそうだ。
 山で酒なんか飲むから。
 そう思った。

 仕方なく、僕はひとり近くの山を探索し始めた。
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