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第3話 昇天
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気がついたら俺は真っ白な部屋に寝っ転がっていた。
立ち上がって辺りを見渡してみる。
本当に真っ白なので、この部屋がどこまで続いているのかわからなかった。
「気がつきましたか」
突然後ろから声が聞こえた。振り向くと黒髪で、燃えるような赤い眼をした綺麗な女の人が立っていた。そして目が合うと、その女性は言う。
「あなたは死にました」
カフェインの禁断症状のせいで変な夢でも見ているのだろう、と呆れた。
「ああそうですか」
とだけ俺は答える。
「あんまり驚かないんですね。私は若い死人の担当なので大抵の人はびっくり仰天しちゃうんですけど」
僕は座り込んであぐらをかいた。
「いや驚くも何も、俺は死んでないよ。こうやって俺はあんたと喋っているわけだし」
女性は陰鬱な溜息を吐いた。
「私は死神です。あなたはカフェインの離脱症状によって精神的平衡を失い、家中で暴れまわり、挙げ句の果てに頭を強打し、死亡しました」
「へ~」
自分はこんな夢を見れるほど想像力豊かだったかなぁと不思議に思った。
「じゃあ俺は死んだってことにしよう。で、死神さんは今から俺をどうするの」
「ええと...あなたには2つの選択肢からどっちかを選んでもらう。1つ目は新しい人生をスタートする。その場合記憶は引き継がれないけど魂は引き継がれるの。あなたのカフェイン中毒は魂にまで染み付いているっぽいから生まれ変わってもカフェイン中毒者になるわ」
「もうカフェイン中毒はうんざりだから2個目の選択肢で」
俺はきっぱりと答えた。
すると死神さんが急に顔をパッと明るくしてこう言う。
「じゃあ2個目の選択肢で決定ね。もう転生の準備はできてるから」
「待って。どんな内容なのかちゃんと言ってよ」
何も説明しないのは怪しい。契約書をよく読ませないでサインさせる詐欺の一種と似てると訝しんだ。
「あなたが以前いた世界とは全く別の世界に行ってもらう。身体も記憶もそのまま。」
どうやらどっちの選択肢を選んでもカフェイン中毒者の道は免れないらしい。
「その世界にカフェインはあるのか」
死神は少し考え込み、こう告げた。
「それが問題なの。人々はカフェインを欲しがっているのにカフェインの唯一の供給源であるサファは全部上流階級に独占されてるの」
怒りが腹の底からこみ上げる。
「なんだよ!それじゃあ俺が飲めねえじゃねえか」
「話には続きがあるの。私たち死神にはその世界の状況を直接変えることはできない。だからあなたにその世界を変えてもらわなくちゃいけないの」
死神は涙目だった。夢じゃなくて現実のような気がしてきた。
死神は真っ黒のハンカチで涙を拭き取り、話を続けた。
「取り乱してすみません...その世界が私の生まれ故郷なので」
そう言うとまた泣き始めてしまった。
気まずい雰囲気になったので俺は話を変えようとした。
「でも別に俺じゃなくてもいいんじゃないの?あと俺カフェイン飲まないとまた死ぬよ。上流階級に独占されてちゃダメじゃん」
涙声で死神は喋る。
「あなたは十分若いし、カフェインやコーヒーの知識もあるから適性が高い。そう上が判断したの。残念だけどあなた以外いない。あなたのカフェインはあっちの世界にいる私の手下に仕送りさせるわ。お願い。私の故郷を救って。」
赤い眼から溢れる涙は幻想的だった。女の子にこう泣かれては俺も断れない。
「わかったわかった。行こう。その世界に」
たとえ夢だとしても、俺はこの人の力になりたいと思った。
俺は立ち上がった。死神が握手を求めた。僕はがっしりとその手を掴む。
「本当にありがとう。また会えることを」
暖かい光に包まれ、視界が歪んでいった。
立ち上がって辺りを見渡してみる。
本当に真っ白なので、この部屋がどこまで続いているのかわからなかった。
「気がつきましたか」
突然後ろから声が聞こえた。振り向くと黒髪で、燃えるような赤い眼をした綺麗な女の人が立っていた。そして目が合うと、その女性は言う。
「あなたは死にました」
カフェインの禁断症状のせいで変な夢でも見ているのだろう、と呆れた。
「ああそうですか」
とだけ俺は答える。
「あんまり驚かないんですね。私は若い死人の担当なので大抵の人はびっくり仰天しちゃうんですけど」
僕は座り込んであぐらをかいた。
「いや驚くも何も、俺は死んでないよ。こうやって俺はあんたと喋っているわけだし」
女性は陰鬱な溜息を吐いた。
「私は死神です。あなたはカフェインの離脱症状によって精神的平衡を失い、家中で暴れまわり、挙げ句の果てに頭を強打し、死亡しました」
「へ~」
自分はこんな夢を見れるほど想像力豊かだったかなぁと不思議に思った。
「じゃあ俺は死んだってことにしよう。で、死神さんは今から俺をどうするの」
「ええと...あなたには2つの選択肢からどっちかを選んでもらう。1つ目は新しい人生をスタートする。その場合記憶は引き継がれないけど魂は引き継がれるの。あなたのカフェイン中毒は魂にまで染み付いているっぽいから生まれ変わってもカフェイン中毒者になるわ」
「もうカフェイン中毒はうんざりだから2個目の選択肢で」
俺はきっぱりと答えた。
すると死神さんが急に顔をパッと明るくしてこう言う。
「じゃあ2個目の選択肢で決定ね。もう転生の準備はできてるから」
「待って。どんな内容なのかちゃんと言ってよ」
何も説明しないのは怪しい。契約書をよく読ませないでサインさせる詐欺の一種と似てると訝しんだ。
「あなたが以前いた世界とは全く別の世界に行ってもらう。身体も記憶もそのまま。」
どうやらどっちの選択肢を選んでもカフェイン中毒者の道は免れないらしい。
「その世界にカフェインはあるのか」
死神は少し考え込み、こう告げた。
「それが問題なの。人々はカフェインを欲しがっているのにカフェインの唯一の供給源であるサファは全部上流階級に独占されてるの」
怒りが腹の底からこみ上げる。
「なんだよ!それじゃあ俺が飲めねえじゃねえか」
「話には続きがあるの。私たち死神にはその世界の状況を直接変えることはできない。だからあなたにその世界を変えてもらわなくちゃいけないの」
死神は涙目だった。夢じゃなくて現実のような気がしてきた。
死神は真っ黒のハンカチで涙を拭き取り、話を続けた。
「取り乱してすみません...その世界が私の生まれ故郷なので」
そう言うとまた泣き始めてしまった。
気まずい雰囲気になったので俺は話を変えようとした。
「でも別に俺じゃなくてもいいんじゃないの?あと俺カフェイン飲まないとまた死ぬよ。上流階級に独占されてちゃダメじゃん」
涙声で死神は喋る。
「あなたは十分若いし、カフェインやコーヒーの知識もあるから適性が高い。そう上が判断したの。残念だけどあなた以外いない。あなたのカフェインはあっちの世界にいる私の手下に仕送りさせるわ。お願い。私の故郷を救って。」
赤い眼から溢れる涙は幻想的だった。女の子にこう泣かれては俺も断れない。
「わかったわかった。行こう。その世界に」
たとえ夢だとしても、俺はこの人の力になりたいと思った。
俺は立ち上がった。死神が握手を求めた。僕はがっしりとその手を掴む。
「本当にありがとう。また会えることを」
暖かい光に包まれ、視界が歪んでいった。
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