鉄の町

コクレア

文字の大きさ
1 / 1

鉄の町

しおりを挟む
遠い遠い未来の話。そこには天高くそびえる塔と張り巡らされた電線、鉄で出来た町がありました。
そこにはハシブトカラスの大軍が住んでいました。他の天敵もいないので増え放題です。毎日カアーカアーと澄み切った声で鳴くのでした。
世界は鉄に覆われ、生き物の生息地も徐々に狭まっていました。ですがそこに数少なくはあるが生息しているものもいました。
鉄の町に住む少女は困っていました。なぜならハシブトカラスが増えたせいで糞等の被害があり、またゴミをあらすようなことをするからです。
「人間があの鉄の塔を建て始めてからみんなこうよ」
「どうにかならないもんかね」
鉄や機械の塔を作れば作るほど緑は失われていきました。そこで少女は小瓶に手紙を入れて海にながしました。
「私の住む町は鉄にとらわれていて苦しいです。この手紙が届いていたのなら誰か助けてください」

すると、ずっととおい緑の残る島にその手紙は流れつきました。
「なんだこれは」島に住む女の子は言いました。
女の子はそんな町があるとは知りませんでした。早速、へんてこな空を飛ぶ乗り物を使って、会いにゆくことにしました。

来てみれば成る程、と女の子はおもいました。「鉄の塔や機械の塔は木のようで電線はそれに張り巡らされた枝や葉ね」
女の子は鉄の塔のてっぺんに緑を作ることにしました。

「緑のある場所にカラスの居場所を作ればもう少しどうにかなるわ」
徐々に増やしつつ世界は変わり始めました。

塔のてっぺんには森が出来、電線には蔦が絡んでゆきます。そこにはカラス以外の生物も住み始めました。
小瓶を流した少女は驚きました。「すごい・・・!」

その鉄の町は緑と共生を始めた第一号の町になり、世界にもその名が知れ渡るようになったのでした。

ハシブトカラスの他にも鷹や猫、ハシボソカラスもリスも、さまざまな動物が住み始めました。
鉄で黒く塗りつぶされた町は、黄色や黄緑、青、青緑の様々な彩に満ち溢れていました。

そして気が付けば鉄の町は鉄と緑の町になったのでした。

少女は植えてくれた女の子にお礼をいいました。「ありがとう、ここに住む気はないの?」
女の子は答えました「まだ私の出来ることがあるかもしれないから、もっと世界の町を緑と生きられるようにしたいの」
「そう・・・」
女の子は言いました「生きていればまた会えるわ。それじゃ。」
「ええ、また。必ずよ!」
そういって女の子はへんてこな乗り物にまた乗り、飛び立っていくのでした。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

ナナの初めてのお料理

いぬぬっこ
児童書・童話
ナナは七歳の女の子。 ある日、ナナはお母さんが仕事から帰ってくるのを待っていました。 けれど、お母さんが帰ってくる前に、ナナのお腹はペコペコになってしまいました。 もう我慢できそうにありません。 だというのに、冷蔵庫の中には、すぐ食べれるものがありません。 ーーそうだ、お母さんのマネをして、自分で作ろう! ナナは、初めて自分一人で料理をすることを決めたのでした。 これは、ある日のナナのお留守番の様子です。

きたいの悪女は処刑されました

トネリコ
児童書・童話
 悪女は処刑されました。  国は益々栄えました。  おめでとう。おめでとう。  おしまい。

緑色の友達

石河 翠
児童書・童話
むかしむかしあるところに、大きな森に囲まれた小さな村がありました。そこに住む女の子ララは、祭りの前日に不思議な男の子に出会います。ところが男の子にはある秘密があったのです……。 こちらは小説家になろうにも投稿しております。 表紙は、貴様 二太郎様に描いて頂きました。

雪の降る山荘で

主道 学
児童書・童話
正体は秘密です。 表紙画像はフリー素材をお借りしました。 ぱくたそ様。素敵な表紙をありがとうございました。

児童絵本館のオオカミ

火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。

童話短編集

木野もくば
児童書・童話
一話完結の物語をまとめています。

青色のマグカップ

紅夢
児童書・童話
毎月の第一日曜日に開かれる蚤の市――“カーブーツセール”を練り歩くのが趣味の『私』は毎月必ずマグカップだけを見て歩く老人と知り合う。 彼はある思い出のマグカップを探していると話すが…… 薄れていく“思い出”という宝物のお話。

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

処理中です...