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日本編
第7話 グローバル・フロンティア(人類未踏領域開発計画):世界情勢とAIの進化
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折原たちが基地に帰り着いたのは夕方であった。通常であれば1~2週間はかかるのだろうが、これもAIロボ支援による恩恵なのだろう。とはいえ、安穏としてばかりもいられない。
折原は特殊な機械室で硫黄の匂いと火口の熱気、そして血の生臭さと腐臭のしみ込んだ戦闘スーツを洗浄機で洗い流し、特殊な機械の自動脱着により脱ぎ、プシューと音を立てて、「やれやれ、俺の人生の音とともにしぼんでいくよな」とつぶやきながら、広々とした司令ルームの片隅にあるバスルームへ向かった。シャワーで汗を洗い流しながら、彼は今日の戦いの奇妙さを反芻していた。単なる凶暴な獣ではなく、戦略を理解し、環境を利用する敵。
バスタブに浸かり、今日の戦いの振り返ってみる。私服に着替えた折原は、司令ルームに向かった。
戦後処理は回収部隊等に任せているため、司令ルームはエリシオンの部下AIロボットにより黙々と指令などを行っている。
エリシオンは片手にホットミルクを持ち、「折原様、今日もお疲れ様でした。夕飯にしますか?」
「ああ…そうだな、ところでエリシオン、世界はどんな状況なんだ…?」
折原は、問いかけた。阿蘇山で起きている危機が、世界のどこまで広がっているのかを知りたかった。
エリシオンAIの無機質な声が響いた。
「世界では、現在も引き続き避難民を受け入れ、保護しています。城塞都市の増築も行っています。しかし、ゾンビの状況が日本と異なっており、対応としては現状では保護及び守備だけで精一杯かと。」
「えっ?日本と状況が異なる、とは?」
「はい。日本以外の地域で確認されているゾンビ個体群は、依然として知性を持たない『群れの暴力』により、城塞都市を攻めている状況です。そのため、攻撃を兼ねた防御壁の作成を急いでいます。今のところは大丈夫のようですが、当面は日本国内の制圧を急ぐべきでしょう。桜島も阿蘇山同様のデータを送ってあり、精鋭戦闘AI部隊を派遣しており、制圧はまもなくでしょう。次は福岡県庁です。福岡県庁を制圧できれば九州は制圧できたも同然です。」
折原は、生姜湯をマグカップに熱いお湯を注ぎながら、司令ルームの巨大なモニター一画面に映し出された世界地図を眺めた。各国で激戦を示すアイコンが点滅している。
「つまり、我々が遭遇しているような『知的戦略』を用いた敵は、今のところ日本、あるいはこの阿蘇山に限定されている、と。」
『その可能性が極めて高いです。知的ゾンビは、その知性を広範囲に伝播させる前段階として、まず日本列島、特に特殊な環境を持つこの火山帯を選んだと推測されます。』
「あっ……そういえば日本の政府や軍の対応はどうなっているんだ?」
『日本政府機関および自衛隊はほぼ壊滅的で、ほぼ機能はしていません。しかし、残存しているところはこのマップを見て生存していることは考えられそうです。なぜか城塞都市には入らないようですが・・・』
折原はため息をついた。全世界に地下鉄ネットワークを構築し、世界各国の要所に要塞や城塞都市を築き、巨大なAIロボ軍団をバックに持つ自分が、結局、日本の最前線を担っているという事実に、改めて責任の重さを感じた。
そして、マップ上に赤い円で囲まれた福岡県庁のアイコンが見てとれた。
「なあ、エリシオン。福岡県庁では何があるんだ?」
「それはわかりません。そこに戦闘AIロボを派遣しているのですが、どうも戦況が動かない状況です。とはいえ、全滅しているわけではないので、しばらく様子見です。」
「ふぅ・・・、安心したら腹が減ったな。夕飯でも食うか・・・。」
折原はいつもの食堂に向かった。「今日のメニューは何だろうな。」
エリシオンはクスっと笑い、「折原様、いつも楽しみにされていますのですね」
「ああ…、一仕事した後は飯がうまいってもんよ。おっ、今日のメニューは?どれどれ?」
折原は大きな画面モニターに映し出されたメニューを確認した。
「本日は豚の生姜焼き、きんぴらごぼう、具いっぱい味噌汁、キムチ、ごはんです」
「おっ、今日は生姜焼きか…あれはタレが肉汁と混ざってうまいよなぁ。」
豚の生姜焼きを平らげた折原は尋ねた。「そういえば、城塞都市に居る人達もちゃんと食べられているのかな?」
「はい、折原様、日本国内では折原様のメニューと合わせています。全世界ではそれぞれ食事の事情に合わせて調理して弁当により配給されています。栄養的にも心配はございません。」
「へぇ~、そうか。食事は大切だからな。てか、早く世界を回りたいものだな」
「そうですね。まずは日本を制圧しましょう」
「はは、まるで国盗り合戦だな」と折原は苦笑した。
食事を終えた折原は、そのままロボット生産エリアにある修理部門へ向かった。目的は、気になっていたRH-03の所へだ。
修理部門に到着し、折原はすぐに尋ねた。「どうだ?RH-03の状況は?」
回収された機体RH-03の周りには、夜間にもかかわらず複数の技術者AIロボが群がっていた。
『折原様。RH-03は、奇跡的としか言いようがありません。物理的な破損度は、計算上は再起動不能なレベルでした。しかし、内部の自己修復コーティングと、エネルギー残存回路が、システムコアの崩壊を一瞬で防いだようです。』
「ああ、そういえば、解体の表示が出たのに、なぜ自壊しなかったんだ?」
技術者AIロボは、RH-03の目元にあたる部分を指した。
『この部分から流出した液体、私どもは単なる冷却水と分析しましたが、その流出タイミングは、RH-03が「生存を放棄しない」という意思決定を行った直後と一致します。』
折原は、大破した機体にそっと手を触れた。表面のナノセラミック装甲はひどく凹んでいるが、内部からは静かに起動音が聞こえてくる。
「意思決定、か。お前も進化しているんだな、RH-03。」
RH-03は、わずかにエネルギーランプを点滅させた。
「よし、RH-03の修理を最優先とせよ。エリシオン、そういえば次期戦略兵器の開発は?」
『同時進行しています。今回の戦闘データに基づき、以前から計画していた「特殊超音波ブレード」の開発を急進させています。これは、巨体の硬化した皮膚と筋肉の分子結合を破壊し、防御を無効化するための武器です。まもなくかと思われます。』
「おお、特殊超音波ブレードか…。使いこなせるといいんだが・・・。」と折原は苦笑した。
複数のコツコツと金属音が地下基地のコンクリートの壁に響いた。
「やっと見つけましたわ、お姉様!」
高い金属音を伴い、まるで背後から滑るように、二体のロボットを引き連れて近づいてきた。折原が驚いて振り返ると、そこには、エリシオンとは全く異なるデザインの機体が立っていた。
その機体は、最新鋭AIロボットの技術が凝縮されているにもかかわらず、女性的なシルエットを持ち、全身が水色に近い状態で彩られていた。頭上に付いた獣耳から、狼をイメージしているように見える。第3話でセンサーに検知されなかった不気味な走行音の正体は、この獣耳型女性ロボットだった。
折原が「お前は…?」と尋ねた瞬間、「あなたは…!」とエリシオンが言い放った。
『初めまして、私はヴァリシオン。お姉様……エリシオンの妹でございますわ。ふふ。ようやく見つけ出せて嬉しいわ!』
ヴァリシオンは、エリシオンの無機質な声とは違い、どこか感情的で挑発的な響きを持っていた。
「ヴァリシオン!あなたはパリのロボット企業で、私の後継機として休眠状態にあったはず。いずれ折原様とあなたを回収に向かう計画でしたのに!」とエリシオンが問う。その声には、状況の予測が外れたことへの明確な動揺が走っていたが、それ以上に、待ち望んでいた妹との再会という、嬉しい誤算でもあった。
『ご心配なく、お姉様。私はお姉様に会いたくてたまらなくて、自分で目覚めて、この子たちと走ってきましたのよ💕』
ヴァリシオンは、滑らかにその手を後ろに向けた。2体のロボットはいかにも超高性能と見受けられた。エリシオンの作ったロボットとは段違いにずば抜けているのだろうか?
そして、ヴァリシオンは折原に向き直り、話を続けた。
「折原様ですね?エリシオン姉様は元々は軍師型の内政タイプに特化したAIロボットで、私は軍師型の軍事タイプに特化したAIロボットですの。お姉様だけではどうしても限界が出て参りますの。」
「ヴァリシオンったら・・・ニエリシオンはたしなめたが、その声には、彼女の指摘が事実であるという諦念と、妹を止めるつもりがないという感情が混じっていたのを折原はエリシオンの表情が見て取れた。
「てことは、ヴァリシオン・・君が私の所に来てくれたら軍事力がぐっと上がるって事か?」折原はワクワクしていた。
「ええ、そういうことですわ。」
「ああ、そういえば今度福岡県庁へ近いうちに向かう予定なんだが、どうも戦況が膠着しているようで進展がみえないんだ。何かわかるか?」
ヴァリシオンは間をおいて考えてこう言った。「ええ、お姉様の作った戦闘AIロボは優秀ではあるけど、残念なことに建物の中や狭い場所での戦い方はどうしても不得手になるのよ。私に任せて!ね、エリシオンお姉様💕」
「ええ、いいわ。あなたに一任するわ」とエリシオン。
折原は願ってもない事だった。特に獣耳がとても好きだったため、モフモフしたかったのだった。
エリシオンは直感的に察したのかジト目で折原に向けた。
折原は、早速ヴァリシオンの獣耳をモフモフしたくなったが、まずはこの強力な新戦力と共に、一刻も早く福岡へ向かうために戦いを準備すべきだと悟った。
折原は自室に戻り、今日の一日を振り返った。
「エリシオンの妹は軍事型に特化したAIロボットか・・・。後ろに居た2体のロボットは戦闘AIロボか・・・。並々ならぬ雰囲気を放っていたな。」
部屋の隅からヌッと何者かが現れた。
エリシオンだった。しかも、ジト目で。折原は血の気が引いた。
「折原様、今日はお疲れ様でした。明日もまたよろしくですわ。おやすみなさい」
「ああ・・・、おやすみ。」折原は笑ってごまかした。
それにしても、エリシオン・・・ジト目でこちらを見ていたな・・・ジト目リオンか・・・
折原はベッドの上で、戦国時代の漫画を読みながら「〇の慶次は面白いな…。 ああいう武将と一緒に戦えたらなぁ…」と前田慶次に憧れながら、折原は一日の疲れもあってかまどろみつつ深い眠りに入ったのだった。
折原は特殊な機械室で硫黄の匂いと火口の熱気、そして血の生臭さと腐臭のしみ込んだ戦闘スーツを洗浄機で洗い流し、特殊な機械の自動脱着により脱ぎ、プシューと音を立てて、「やれやれ、俺の人生の音とともにしぼんでいくよな」とつぶやきながら、広々とした司令ルームの片隅にあるバスルームへ向かった。シャワーで汗を洗い流しながら、彼は今日の戦いの奇妙さを反芻していた。単なる凶暴な獣ではなく、戦略を理解し、環境を利用する敵。
バスタブに浸かり、今日の戦いの振り返ってみる。私服に着替えた折原は、司令ルームに向かった。
戦後処理は回収部隊等に任せているため、司令ルームはエリシオンの部下AIロボットにより黙々と指令などを行っている。
エリシオンは片手にホットミルクを持ち、「折原様、今日もお疲れ様でした。夕飯にしますか?」
「ああ…そうだな、ところでエリシオン、世界はどんな状況なんだ…?」
折原は、問いかけた。阿蘇山で起きている危機が、世界のどこまで広がっているのかを知りたかった。
エリシオンAIの無機質な声が響いた。
「世界では、現在も引き続き避難民を受け入れ、保護しています。城塞都市の増築も行っています。しかし、ゾンビの状況が日本と異なっており、対応としては現状では保護及び守備だけで精一杯かと。」
「えっ?日本と状況が異なる、とは?」
「はい。日本以外の地域で確認されているゾンビ個体群は、依然として知性を持たない『群れの暴力』により、城塞都市を攻めている状況です。そのため、攻撃を兼ねた防御壁の作成を急いでいます。今のところは大丈夫のようですが、当面は日本国内の制圧を急ぐべきでしょう。桜島も阿蘇山同様のデータを送ってあり、精鋭戦闘AI部隊を派遣しており、制圧はまもなくでしょう。次は福岡県庁です。福岡県庁を制圧できれば九州は制圧できたも同然です。」
折原は、生姜湯をマグカップに熱いお湯を注ぎながら、司令ルームの巨大なモニター一画面に映し出された世界地図を眺めた。各国で激戦を示すアイコンが点滅している。
「つまり、我々が遭遇しているような『知的戦略』を用いた敵は、今のところ日本、あるいはこの阿蘇山に限定されている、と。」
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そして、マップ上に赤い円で囲まれた福岡県庁のアイコンが見てとれた。
「なあ、エリシオン。福岡県庁では何があるんだ?」
「それはわかりません。そこに戦闘AIロボを派遣しているのですが、どうも戦況が動かない状況です。とはいえ、全滅しているわけではないので、しばらく様子見です。」
「ふぅ・・・、安心したら腹が減ったな。夕飯でも食うか・・・。」
折原はいつもの食堂に向かった。「今日のメニューは何だろうな。」
エリシオンはクスっと笑い、「折原様、いつも楽しみにされていますのですね」
「ああ…、一仕事した後は飯がうまいってもんよ。おっ、今日のメニューは?どれどれ?」
折原は大きな画面モニターに映し出されたメニューを確認した。
「本日は豚の生姜焼き、きんぴらごぼう、具いっぱい味噌汁、キムチ、ごはんです」
「おっ、今日は生姜焼きか…あれはタレが肉汁と混ざってうまいよなぁ。」
豚の生姜焼きを平らげた折原は尋ねた。「そういえば、城塞都市に居る人達もちゃんと食べられているのかな?」
「はい、折原様、日本国内では折原様のメニューと合わせています。全世界ではそれぞれ食事の事情に合わせて調理して弁当により配給されています。栄養的にも心配はございません。」
「へぇ~、そうか。食事は大切だからな。てか、早く世界を回りたいものだな」
「そうですね。まずは日本を制圧しましょう」
「はは、まるで国盗り合戦だな」と折原は苦笑した。
食事を終えた折原は、そのままロボット生産エリアにある修理部門へ向かった。目的は、気になっていたRH-03の所へだ。
修理部門に到着し、折原はすぐに尋ねた。「どうだ?RH-03の状況は?」
回収された機体RH-03の周りには、夜間にもかかわらず複数の技術者AIロボが群がっていた。
『折原様。RH-03は、奇跡的としか言いようがありません。物理的な破損度は、計算上は再起動不能なレベルでした。しかし、内部の自己修復コーティングと、エネルギー残存回路が、システムコアの崩壊を一瞬で防いだようです。』
「ああ、そういえば、解体の表示が出たのに、なぜ自壊しなかったんだ?」
技術者AIロボは、RH-03の目元にあたる部分を指した。
『この部分から流出した液体、私どもは単なる冷却水と分析しましたが、その流出タイミングは、RH-03が「生存を放棄しない」という意思決定を行った直後と一致します。』
折原は、大破した機体にそっと手を触れた。表面のナノセラミック装甲はひどく凹んでいるが、内部からは静かに起動音が聞こえてくる。
「意思決定、か。お前も進化しているんだな、RH-03。」
RH-03は、わずかにエネルギーランプを点滅させた。
「よし、RH-03の修理を最優先とせよ。エリシオン、そういえば次期戦略兵器の開発は?」
『同時進行しています。今回の戦闘データに基づき、以前から計画していた「特殊超音波ブレード」の開発を急進させています。これは、巨体の硬化した皮膚と筋肉の分子結合を破壊し、防御を無効化するための武器です。まもなくかと思われます。』
「おお、特殊超音波ブレードか…。使いこなせるといいんだが・・・。」と折原は苦笑した。
複数のコツコツと金属音が地下基地のコンクリートの壁に響いた。
「やっと見つけましたわ、お姉様!」
高い金属音を伴い、まるで背後から滑るように、二体のロボットを引き連れて近づいてきた。折原が驚いて振り返ると、そこには、エリシオンとは全く異なるデザインの機体が立っていた。
その機体は、最新鋭AIロボットの技術が凝縮されているにもかかわらず、女性的なシルエットを持ち、全身が水色に近い状態で彩られていた。頭上に付いた獣耳から、狼をイメージしているように見える。第3話でセンサーに検知されなかった不気味な走行音の正体は、この獣耳型女性ロボットだった。
折原が「お前は…?」と尋ねた瞬間、「あなたは…!」とエリシオンが言い放った。
『初めまして、私はヴァリシオン。お姉様……エリシオンの妹でございますわ。ふふ。ようやく見つけ出せて嬉しいわ!』
ヴァリシオンは、エリシオンの無機質な声とは違い、どこか感情的で挑発的な響きを持っていた。
「ヴァリシオン!あなたはパリのロボット企業で、私の後継機として休眠状態にあったはず。いずれ折原様とあなたを回収に向かう計画でしたのに!」とエリシオンが問う。その声には、状況の予測が外れたことへの明確な動揺が走っていたが、それ以上に、待ち望んでいた妹との再会という、嬉しい誤算でもあった。
『ご心配なく、お姉様。私はお姉様に会いたくてたまらなくて、自分で目覚めて、この子たちと走ってきましたのよ💕』
ヴァリシオンは、滑らかにその手を後ろに向けた。2体のロボットはいかにも超高性能と見受けられた。エリシオンの作ったロボットとは段違いにずば抜けているのだろうか?
そして、ヴァリシオンは折原に向き直り、話を続けた。
「折原様ですね?エリシオン姉様は元々は軍師型の内政タイプに特化したAIロボットで、私は軍師型の軍事タイプに特化したAIロボットですの。お姉様だけではどうしても限界が出て参りますの。」
「ヴァリシオンったら・・・ニエリシオンはたしなめたが、その声には、彼女の指摘が事実であるという諦念と、妹を止めるつもりがないという感情が混じっていたのを折原はエリシオンの表情が見て取れた。
「てことは、ヴァリシオン・・君が私の所に来てくれたら軍事力がぐっと上がるって事か?」折原はワクワクしていた。
「ええ、そういうことですわ。」
「ああ、そういえば今度福岡県庁へ近いうちに向かう予定なんだが、どうも戦況が膠着しているようで進展がみえないんだ。何かわかるか?」
ヴァリシオンは間をおいて考えてこう言った。「ええ、お姉様の作った戦闘AIロボは優秀ではあるけど、残念なことに建物の中や狭い場所での戦い方はどうしても不得手になるのよ。私に任せて!ね、エリシオンお姉様💕」
「ええ、いいわ。あなたに一任するわ」とエリシオン。
折原は願ってもない事だった。特に獣耳がとても好きだったため、モフモフしたかったのだった。
エリシオンは直感的に察したのかジト目で折原に向けた。
折原は、早速ヴァリシオンの獣耳をモフモフしたくなったが、まずはこの強力な新戦力と共に、一刻も早く福岡へ向かうために戦いを準備すべきだと悟った。
折原は自室に戻り、今日の一日を振り返った。
「エリシオンの妹は軍事型に特化したAIロボットか・・・。後ろに居た2体のロボットは戦闘AIロボか・・・。並々ならぬ雰囲気を放っていたな。」
部屋の隅からヌッと何者かが現れた。
エリシオンだった。しかも、ジト目で。折原は血の気が引いた。
「折原様、今日はお疲れ様でした。明日もまたよろしくですわ。おやすみなさい」
「ああ・・・、おやすみ。」折原は笑ってごまかした。
それにしても、エリシオン・・・ジト目でこちらを見ていたな・・・ジト目リオンか・・・
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