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新生児

目が覚めたら赤ちゃんでした

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「あー」
誰かの声に由紀子の意識は浮上した
<私生きてる・・・>
 嬉しくて涙を出そうだ
「あーうー」
<帰らないと、ここどこだろう>
住んでいたアパートではないことは確かだ。寝かせられてるのは、フワフワの寝具。肌着もすべすべで気持ちがいい。頭上に柔らかな光の豪華なシャンデリア。窓があるのか緩やかな風が由紀子の頬を撫でている
<病院じゃない・・・・なにこれ!>
見るからに高級感たっぷりな部屋に違和感を感じるが、それ以上に自分が小さな柵の中にいることに驚いた
<うそでしょ。誰か嘘だって言って!>
飛び起きようにも起き上がれず、もがいていたら目に映った小さな手
「あーう」
先ほどから聞こえる声
目が覚めたら赤ちゃんになってました




<とりあえず落ち着こう>
自分が赤ちゃんになったのは一先ず置いといて、事実確認をしよう
まず考えることは自分の元の体ことだ
<死んでないわよね・・・病気もないし>
部屋にいた以上、事故も考えにくい
<誰かに召喚されたなら、赤ちゃんのはずはないし・・・」
考えられるのは、突然死での転生か。単に意識が入ったか
<あれをやるしかないわ>
転生なら出てくるであろう魔法の言葉・・・
「あーあーあー」
<ステータスオープン>


名前  ?????
年齢   0歳
種族  人族  
職業  スチューデント子爵長女
ステータス レベル1
ギフト ????
称号  ????   ?????


出てしまいました
どうやら自分は死んで転生してしまったらしい
<健康だけが自慢だったのに・・・>
ショックすぎるだろう。しかしながらいつまでも嘆いていても仕方ないと、由紀子は自分のステータスを見直した
<子爵か・・・確か真ん中位の貴族だっけ>
とりあえずは命がけで生活を送るはめになるのは避けられそうだ。生活基準や安全はそのうちわかるだろう
?が多いのはまだ条件を満たしていないのだろうか?
そんなことをかんがえていたら、軽快な音がでた
ク~~~
<お腹すいたな。泣かなないと来ないわよねやっぱり>
「ふぎゃふぎゃ」
赤ちゃんは泣くのが仕事とあきらめ、泣いてみると
「****?」
1分もしないうちに、シンプルなデザイン若草色のドレスを着た30歳位の黒髪の女性が現れた。
あまり体を締め付けていないのか、ぽっちゃり目だ。大きく開いた胸元に小さな黒子がありなかなか色っぽい。しかしながら見るからに人の好さげな柔らかな緑の瞳とふっくらとした唇は愛し気に微笑みを浮かべていた。
<お母さんかな?ぽっちゃりだけどなかなか美人>
言葉がわからないのは、言葉を知らないせいだろう。
「****」
彼女は丁寧に由紀子を抱き上げ近くの椅子に腰掛けると、片手で胸元の紐をほどき始めた
<エ?哺乳瓶は?>
由紀子の困惑も知らぬ彼女は、紐をほどき終えるとおもむろに胸元の生地をずらした。
当然ながら現れたのはマシュマロ。
<イヤー!私はおばちゃんです!あなたよりずっと年上なんです!!哺乳瓶プリーズ!!!>



・・・・・・・本能には逆らえませんでした



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