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第一章 武器屋の経営改善
武器屋に就職します
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次の日、俺は城下町へと繰り出した。
贅沢は言えないから、俺にもできそうな仕事を探すほかはない。
「スキル」とやらのおかげか、かろうじてこの世界の言語を読み書きしたり、話すことはできる。
賑わう店を見て回り、求人広告が無いか探し回った。
とはいえ、そう簡単には見つからない。
繁盛している店は働きたがる人も多そうだから、わざわざ募集をかけるほどでは無いのだろう。
日本で生きていた時も、割のいいバイトは紹介とかじゃないと見つからなかったし。
その辺はどこの世界でも一緒なのかもしれない。
ぶらぶらと歩いているうちに繁華街を通り過ぎ、少し寂れた通りに出た。
あてどもなくうろうろと見て回るが、空いている店がかなり少ない。
そんな中、ようやく店頭に張り紙がある店を見つけた。
「アレク武器店 店員募集 月給350ファジール 年齢種族性別不問 まかない2食付き」
うーん、かなり安い…けど、いろいろ不問なのはありがたい。
飯付きってのもいいな。
通りすがったのも何かの縁だろうと、応募してみることにした。
思い切ってアレク武器店に足を踏み入れると、そこには埃をかぶった武器が所狭しと並べられている。
こりゃ、相当売れてなさそうだ…。
店の奥まで恐る恐る足を運ぶと、髭もじゃのじいさんがカウンターで眠りこけていた。
髭の上でよだれがキラキラと光っている。
あまりに客が来ないので、寝てしまったんだろうか。
実に気持ちよさそうな寝顔である。
「あの、ここで働きたいんですが」
「…んん?」
じいさんが目をこすり、驚いたように俺を見る。
どうやら目の前に求職者が居ることが、にわかには信じられないようだった。
広告もだいぶボロくなっていたからな。
まさか応募があるとは思っていなかった、と表情に出ている。
「そりゃありがたいが…月給は安いぞ」
「まぁ…がんばってお店を繁盛させたら、あがりますかね?」
「ほっ…それはそうじゃなぁ。ぜひお願いしたいところだよ」
自分でもなんでそんなことを口にしたかわからない。
が、突如としてこの店を何とかしてやろうという不思議な情熱に駆られていた。
「じゃあ、がんばりますんで…働かせてください。あ、名前はサコンっていいます」
「サコンか…お主、転生者か?」
「あ、はい」
「そうかそうか…お主もいろいろ大変じゃろう。とりあえず明日は朝の2回目の鐘が鳴るぐらいに来てくれ」
「わかりました」
「飯は昼と夜の分がつく…働くのは夜の4回目の鐘までじゃな。明日からよろしくな」
「はい、よろしくお願いします!」
そうして俺は、なんとか職にありつくことができたのだった。
贅沢は言えないから、俺にもできそうな仕事を探すほかはない。
「スキル」とやらのおかげか、かろうじてこの世界の言語を読み書きしたり、話すことはできる。
賑わう店を見て回り、求人広告が無いか探し回った。
とはいえ、そう簡単には見つからない。
繁盛している店は働きたがる人も多そうだから、わざわざ募集をかけるほどでは無いのだろう。
日本で生きていた時も、割のいいバイトは紹介とかじゃないと見つからなかったし。
その辺はどこの世界でも一緒なのかもしれない。
ぶらぶらと歩いているうちに繁華街を通り過ぎ、少し寂れた通りに出た。
あてどもなくうろうろと見て回るが、空いている店がかなり少ない。
そんな中、ようやく店頭に張り紙がある店を見つけた。
「アレク武器店 店員募集 月給350ファジール 年齢種族性別不問 まかない2食付き」
うーん、かなり安い…けど、いろいろ不問なのはありがたい。
飯付きってのもいいな。
通りすがったのも何かの縁だろうと、応募してみることにした。
思い切ってアレク武器店に足を踏み入れると、そこには埃をかぶった武器が所狭しと並べられている。
こりゃ、相当売れてなさそうだ…。
店の奥まで恐る恐る足を運ぶと、髭もじゃのじいさんがカウンターで眠りこけていた。
髭の上でよだれがキラキラと光っている。
あまりに客が来ないので、寝てしまったんだろうか。
実に気持ちよさそうな寝顔である。
「あの、ここで働きたいんですが」
「…んん?」
じいさんが目をこすり、驚いたように俺を見る。
どうやら目の前に求職者が居ることが、にわかには信じられないようだった。
広告もだいぶボロくなっていたからな。
まさか応募があるとは思っていなかった、と表情に出ている。
「そりゃありがたいが…月給は安いぞ」
「まぁ…がんばってお店を繁盛させたら、あがりますかね?」
「ほっ…それはそうじゃなぁ。ぜひお願いしたいところだよ」
自分でもなんでそんなことを口にしたかわからない。
が、突如としてこの店を何とかしてやろうという不思議な情熱に駆られていた。
「じゃあ、がんばりますんで…働かせてください。あ、名前はサコンっていいます」
「サコンか…お主、転生者か?」
「あ、はい」
「そうかそうか…お主もいろいろ大変じゃろう。とりあえず明日は朝の2回目の鐘が鳴るぐらいに来てくれ」
「わかりました」
「飯は昼と夜の分がつく…働くのは夜の4回目の鐘までじゃな。明日からよろしくな」
「はい、よろしくお願いします!」
そうして俺は、なんとか職にありつくことができたのだった。
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