30 / 32
第30話 予告
しおりを挟む
「グォォォォ…」
先ほどまであれほど猛威を振るっていたリザードキングの剣が、力なく地面に落ちた。
ものの十数分で、アストの最適化された攻撃と回避がリザードキングのHPを削っていったのだ。
尋常な強さ…というわけではない。
だが、卓越した戦上手とでもいうべきか。
ヘイトを稼ぎすぎず、ギリギリのレベルを見計らって攻撃を加える。
リザードキングは、包囲する3人のいずれにも的を絞りきれず、戦いが散漫になった。
結果として3人の攻撃が効率良くヒットし、危なげなくリザードキング沈めることができた。
「すごいな…」
おもわずそう呟くと、アストがまんざらでもないという顔で微笑んだ。
それから、隅っこでふてくされているエリスに近寄っていく。
「アナタ…剣はいい腕してるんだから、もうすこし冷静に戦いなさないな」
「うるさいうるさい!オッサンに説教されたくないわよ…」
次の瞬間、バチーン!とエリスの頰が張り飛ばされていた。
「なっ…!」
頰を押さえ呆然とするエリスに、アストが穏やかに声を掛けた。
「アタシをおっさん呼ばわりしたことが、ぶたれた理由じゃないってことぐらいわかるわよね?」
「…」
「さ、いくわよ」
何事もなかったようにアストが手を差し伸べる。
しぶしぶながらも、エリスがその手を取った。
「ほら、リョウキや小野寺に言うことがあるでしょ?」
「…ごめん…」
蚊の泣くような声で、それでもちゃんとエリスが謝った。
自らの勝手な行動で危機を招いた自覚はあるのだろう。
アストに叱られ、まるで子供のように拗ねつつも、一応は謝ったところがなんだかおかしくて、ニヤニヤしてしまった。
「ちょっと、人が謝ってんのに何笑ってんのよ!」
すぐに見咎めたエリスが噛み付いてくる。
「女の子が勇気を出して謝ったんだから、きちんと許したげなさい」
「は、はい…これからはもっと協力して戦おうよ」
「わ、わかったわよ…」
こうして危機を乗り切り、アストのおかげでフロア30も無事にクリアすることができた。
冷静になったエリスとアストの前には、フロアボスのティアマットもさほどの難敵ではなかった。
「最初からこれぐらい冷静なら…」
「うっさいわね…人は失敗して成長するもんなのよ!」
「まぁ、そうね」
悪びれないエリスではあるが、アストに諭され学ぶことはあったようだ。
俺も、エリスやニアに負けていられないな…とそんなことを思う。
彼女たちはゲームのキャラクターにすぎない。
けれど、着実に成長し、変化していく。
かくいう俺は、どうだろうか。
ゲームにかまけ、現実から目を背けていないだろうか…。
そんな少しだけもやもやした気持ちを抱えながら、今日はここでログアウトすることにした。
ヘッドギアを外し、いつもの暗い部屋に戻る。
もうすっかり夜も更けて、早く寝ないと明日の授業に響きそうだ。
それでもいつものくせで、スマホだけはチェックしてしまう。
…メールが1件。
珍しいこともあるもんだ。
誰からだろう。
久方ぶりにメーラーを起動し、目に飛び込んできたタイトルは。
「ルーンデスティニー サービス終了のお知らせ」
俺は画面に目がクギ付けになったまま、暫く呼吸も忘れていた。
サービス終了…?
どういうことだ…!
先ほどまであれほど猛威を振るっていたリザードキングの剣が、力なく地面に落ちた。
ものの十数分で、アストの最適化された攻撃と回避がリザードキングのHPを削っていったのだ。
尋常な強さ…というわけではない。
だが、卓越した戦上手とでもいうべきか。
ヘイトを稼ぎすぎず、ギリギリのレベルを見計らって攻撃を加える。
リザードキングは、包囲する3人のいずれにも的を絞りきれず、戦いが散漫になった。
結果として3人の攻撃が効率良くヒットし、危なげなくリザードキング沈めることができた。
「すごいな…」
おもわずそう呟くと、アストがまんざらでもないという顔で微笑んだ。
それから、隅っこでふてくされているエリスに近寄っていく。
「アナタ…剣はいい腕してるんだから、もうすこし冷静に戦いなさないな」
「うるさいうるさい!オッサンに説教されたくないわよ…」
次の瞬間、バチーン!とエリスの頰が張り飛ばされていた。
「なっ…!」
頰を押さえ呆然とするエリスに、アストが穏やかに声を掛けた。
「アタシをおっさん呼ばわりしたことが、ぶたれた理由じゃないってことぐらいわかるわよね?」
「…」
「さ、いくわよ」
何事もなかったようにアストが手を差し伸べる。
しぶしぶながらも、エリスがその手を取った。
「ほら、リョウキや小野寺に言うことがあるでしょ?」
「…ごめん…」
蚊の泣くような声で、それでもちゃんとエリスが謝った。
自らの勝手な行動で危機を招いた自覚はあるのだろう。
アストに叱られ、まるで子供のように拗ねつつも、一応は謝ったところがなんだかおかしくて、ニヤニヤしてしまった。
「ちょっと、人が謝ってんのに何笑ってんのよ!」
すぐに見咎めたエリスが噛み付いてくる。
「女の子が勇気を出して謝ったんだから、きちんと許したげなさい」
「は、はい…これからはもっと協力して戦おうよ」
「わ、わかったわよ…」
こうして危機を乗り切り、アストのおかげでフロア30も無事にクリアすることができた。
冷静になったエリスとアストの前には、フロアボスのティアマットもさほどの難敵ではなかった。
「最初からこれぐらい冷静なら…」
「うっさいわね…人は失敗して成長するもんなのよ!」
「まぁ、そうね」
悪びれないエリスではあるが、アストに諭され学ぶことはあったようだ。
俺も、エリスやニアに負けていられないな…とそんなことを思う。
彼女たちはゲームのキャラクターにすぎない。
けれど、着実に成長し、変化していく。
かくいう俺は、どうだろうか。
ゲームにかまけ、現実から目を背けていないだろうか…。
そんな少しだけもやもやした気持ちを抱えながら、今日はここでログアウトすることにした。
ヘッドギアを外し、いつもの暗い部屋に戻る。
もうすっかり夜も更けて、早く寝ないと明日の授業に響きそうだ。
それでもいつものくせで、スマホだけはチェックしてしまう。
…メールが1件。
珍しいこともあるもんだ。
誰からだろう。
久方ぶりにメーラーを起動し、目に飛び込んできたタイトルは。
「ルーンデスティニー サービス終了のお知らせ」
俺は画面に目がクギ付けになったまま、暫く呼吸も忘れていた。
サービス終了…?
どういうことだ…!
0
あなたにおすすめの小説
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」
チャチャ
ファンタジー
突然、蒼牙の刃から追放された冒険者・ハルト。
だが、彼にはS級スキル【幸運】があった――。
魔物がレアアイテムを落とすのも、偶然宝箱が見つかるのも、すべて彼のスキルのおかげ。
だが、仲間は誰一人そのことに気づかず、無能呼ばわりしていた。
追放されたハルトは、肩の荷が下りたとばかりに、自分のためだけの旅を始める。
訪れる村で出会う人々。偶然拾う伝説級の装備。
そして助けた少女は、実は王国の姫!?
「もう面倒ごとはごめんだ」
そう思っていたハルトだったが、幸運のスキルが運命を引き寄せていく――。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
ゴミ鑑定だと追放された元研究者、神眼と植物知識で異世界最高の商会を立ち上げます
黒崎隼人
ファンタジー
元植物学の研究者、相川慧(あいかわ けい)が転生して得たのは【素材鑑定】スキル。――しかし、その効果は素材の名前しか分からず「ゴミ鑑定」と蔑まれる日々。所属ギルド「紅蓮の牙」では、ギルドマスターの息子・ダリオに無能と罵られ、ついには濡れ衣を着せられて追放されてしまう。
だが、それは全ての始まりだった! 誰にも理解されなかったゴミスキルは、慧の知識と経験によって【神眼鑑定】へと進化! それは、素材に隠された真の効果や、奇跡の組み合わせ(レシピ)すら見抜く超チートスキルだったのだ!
捨てられていたガラクタ素材から伝説級ポーションを錬金し、瞬く間に大金持ちに! 慕ってくれる仲間と大商会を立ち上げ、追放された男が、今、圧倒的な知識と生産力で成り上がる! 一方、慧を追い出した元ギルドは、偽物の薬草のせいで自滅の道をたどり……?
無能と蔑まれた生産職の、痛快無比なざまぁ&成り上がりファンタジー、ここに開幕!
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる