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隊長、好機です!
しおりを挟むフフリカ王国。
それは四国と本州の間に位置する小さな島国である。
彼等の言語は日本語に大変酷似したフフリカ語。
その人種は黄色人種に大変酷似したフフリカ人種。
ただひとつだけ違っていたこと、それは。
フフリカはとても小さな、小人達の住む国だったのです。
「た、た、た、隊長ーーっ‼」
「どうした?ワロス。
お前ともあろう者がそんなに慌てて」
宮廷婦人を相手にダンスの練習をしていたクサハエルは、
ただならぬ剣幕で中庭にやってきたワロスに尋ねた。
「ゆ、勇者がっ!
勇者が魔物達を引き連れて、また攻めてきましたぁ‼」
「なんだとぅ?!」
「まあ、大変」
その知らせを聞き、クサハエルと婦人の表情が強張る。
「…ぐぬぬ。
この前はよくもワシをコケにしてくれおって。
ワロスよ、ときにいま何時だ?!」
クサハエルの武者震いで手を繋いでいた婦人まで一緒になって震え出す。
恐るべし連鎖効果。
「はっ!
三時を少し過ぎたところであります!」
「セェェーーーーーフッ‼
ただちに全軍に伝達!
出撃準備に取りかかれぃ!」
「かしこまりっ‼」
ワロスが立ち去ったあとクサハエルは婦人に言った。
「では、指揮を頼みますぞ。
ワクテカ殿」
クサハエルは前回の戦後に責任を追及され、王に指揮権を剥奪されていたのだ。
「でも、どうして私などが隊長なのでしょうか?」
新たな隊長として任命されたワクテカ嬢が当然の疑問を口にする。
「…王、いわく。
天然には天然を、だそうです」
「えぇっ?!
私、けっして天然などでは…」
「とにかく今は急ぎなされ!
じきに戦が始まってしまいますぞ」
クサハエルに促されるまま身支度を終えたワクテカは、田舎のだんご虫サイズの戦闘馬車で十数人の大部隊を率い、勇者が来るのを待ち構えたのだった。
「勇者様、遅いですわねぇ。
淑女を待たせるなんて、いけないお方」
しばらく待ってみたが、勇者達が現れる気配はどこにもなかった。
「わ、ワキテカッ!
いや、さほどテカってない‼
ワクテカ隊長に申し上げます!」
程なくして大慌てでやってきたのは偵察係のバロスだ。
「どうしたの?バロスちゃん」
「ゆ、ゆ、勇者が!
勇者が道端で野良猫を見つけてから、
いっこうに動こうとしません!」
「あら、大変。
そうなると私たちとしてはどうすればいいのかしら?」
全身装甲で愛らしく小首をかしげながら、ワクテカはバロスに尋ねた。
「隊長、これは大変な好機ですよっ!
やつらが油断している隙に全軍で一斉攻撃するんです‼」
「猫ちゃんを?」
「ち、違いますよ!」
「じゃあ、バロスちゃんを?」
「自分の部下をなんでっスか?!」
「え~??
ワクテカわかんな~い!」
フフリカ王国は今日も平和。
明日もきっと平和だろう。
* この物語はフィクションです。
フフリカ王国を探さないでください。
聖地とかも多分ありません。
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