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第8話
~絵本を読んで~
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部屋に入ると、家具類は全て綺麗に配置されていた。
今の引っ越し業者はスキルレベルがすごい…。
私は積み上げられた段ボール箱のガムテープを一つ一つはぎ取っていく。
下着や洋服類をタンスにしまい、その他の雑貨や置物はショーケースや
棚の上などに置く。そして、雑誌や本類は本棚へと片付けた。
元々、そんなに多くの荷物はなかった。思ったより早く片付きそうだ。
段ボールから本を出している時、懐かしい絵本が出てきた。
動いていた手を止めて私はその絵本を手にする。
タイトル名は【あまのじゃくの恋】
「うわあ、懐かしいなあ。この絵本、昔、母がよく読んでくれてたよな」
母が描いた最後の作品になった絵本…。
「結局、いつも途中で寝てしまって最後までちゃんと聞いてなかったっけ」
そして、私は絵本の表紙を捲った。
「昔、昔、ユキには初めて好きな男の子ができました。名前はハル。
ハルはポカポカしてあったかい心をもっていました」
「ハンバーグは好き?」「キライ」
「晴の日は好き?」 「キライ」
「ケーキは好き?」 「キライ 」
「うさぎは好き?」 「キラーイ」
「キライ、キライって言っているうちにユキのまわりには友達が一人も
いなくなってしまったのです」
「やがてユキは気づきました。心の中にあまのじゃくがいると…」
「だけどユキはあまのじゃくを追い出すことができなかったのです」
「好きな男の子に好きだって言える勇気がなかったのです」
絵本の中盤までくると、私はなんだか眠くなり、ウトウト瞼が落ちてきて…
「夏休みは好き?」 「…キ…ラ…」
とうとう私は眠ってしまったーーーーーー。
絵本というのは不思議な力がある。
人を眠らせる呪いが仕込まれているのだろうか……。
いや、私だけにかかる催眠術なのかもしれない。
そういえば、小学生の頃、国語の授業は必ず眠たくなっていたっけ…。
中学生の頃も高校生の時も国語の授業は退屈でいつも本を立てて
こっそりと寝ていた。
どうやら私の体は本とは無縁の世界にできているらしい……。
絵本作家の娘なのに本を読むのが苦手なんてシャレにもならないなーーー。
深ーい、深―い眠りに陥った私は多分、このまま朝まで眠るだろうーーー。
昔からそうだった。私は一度寝たら朝まで起きない。
そう、朝まで爆睡している――――ーーー。
今の引っ越し業者はスキルレベルがすごい…。
私は積み上げられた段ボール箱のガムテープを一つ一つはぎ取っていく。
下着や洋服類をタンスにしまい、その他の雑貨や置物はショーケースや
棚の上などに置く。そして、雑誌や本類は本棚へと片付けた。
元々、そんなに多くの荷物はなかった。思ったより早く片付きそうだ。
段ボールから本を出している時、懐かしい絵本が出てきた。
動いていた手を止めて私はその絵本を手にする。
タイトル名は【あまのじゃくの恋】
「うわあ、懐かしいなあ。この絵本、昔、母がよく読んでくれてたよな」
母が描いた最後の作品になった絵本…。
「結局、いつも途中で寝てしまって最後までちゃんと聞いてなかったっけ」
そして、私は絵本の表紙を捲った。
「昔、昔、ユキには初めて好きな男の子ができました。名前はハル。
ハルはポカポカしてあったかい心をもっていました」
「ハンバーグは好き?」「キライ」
「晴の日は好き?」 「キライ」
「ケーキは好き?」 「キライ 」
「うさぎは好き?」 「キラーイ」
「キライ、キライって言っているうちにユキのまわりには友達が一人も
いなくなってしまったのです」
「やがてユキは気づきました。心の中にあまのじゃくがいると…」
「だけどユキはあまのじゃくを追い出すことができなかったのです」
「好きな男の子に好きだって言える勇気がなかったのです」
絵本の中盤までくると、私はなんだか眠くなり、ウトウト瞼が落ちてきて…
「夏休みは好き?」 「…キ…ラ…」
とうとう私は眠ってしまったーーーーーー。
絵本というのは不思議な力がある。
人を眠らせる呪いが仕込まれているのだろうか……。
いや、私だけにかかる催眠術なのかもしれない。
そういえば、小学生の頃、国語の授業は必ず眠たくなっていたっけ…。
中学生の頃も高校生の時も国語の授業は退屈でいつも本を立てて
こっそりと寝ていた。
どうやら私の体は本とは無縁の世界にできているらしい……。
絵本作家の娘なのに本を読むのが苦手なんてシャレにもならないなーーー。
深ーい、深―い眠りに陥った私は多分、このまま朝まで眠るだろうーーー。
昔からそうだった。私は一度寝たら朝まで起きない。
そう、朝まで爆睡している――――ーーー。
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