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おっさん戸惑う
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俺は頭をかいた。
「で、えひめのお友達が俺みたいなおっさんになんの用なんだ?」
「え、えっと、あの、その……あの……」
香華子と呼ばれた娘は真っ赤になってもじもじするばかりで話にならない。
見ていられないといった様子でえひめが割って入ってくる。
「おじさまのことずっと見てたんだって」
「え? どこから?」
「頭のなかで」
「なんだそりゃ? 妄想みたいなもんか?」
香華子がビクッと肩を震わせた。
「も、妄想じゃなくって、も、妄想みたいなっていうか、も、妄想……だったんですけど」
話が見えないでいると、世ノ目博士とセツも姿を現した。セツが言う。
「その子は橘組組長の娘だ。邪険にするなよ」
「なに! 橘組の連中なら今ノシてきたところだぜ! 千垣組と争ってた。抗争らしいな」
えひめが言った。
「香華子ちゃんも襲われてたの。確かめなかったけどきっと千垣組だと思う。みるからに暴力団員て感じだったもん」
「話が錯綜してきたな。なんだかよくわからねえ」
さらに追い打ちをかけるように博士が言った。
「そして香華子くんは次元接続体でもある。わたしの見立てでは未来視の能力を持っているようだ」
「マジかよ! このお嬢ちゃんが!?」
「香華子くんが空想で視ていたと思っていたことはすべて未来の情景で、香華子くんが幻視してからおよそ三日後に現実が追いつく。ただ、その未来視の焦点がなぜだか丈くんに合っているようだ。そのせいで香華子くんは未来視を想像の産物だと疑っていなかった」
俺は混乱してきた。直感で言う。
「ということは、それは俺の生活を、ってゆうか俺の未来を見ていたってことか、このお嬢ちゃんが……」
香華子が居心地悪そうに身体をくねらせた。
「だって妄想だと思ってたし、まさかほんとにいる人の生活だなんて思わなかったから……」
博士が頷いた。
「香華子くんは丈くんの未来を視ていた。まぁ、そうなるね。不思議な現象だが、次元接続体の能力はまだまだ未知数だからね」
なんてこった。俺は急に疲れを感じた。
「はぁー、お茶でも飲みながらひと息つかせてくれよ……」
イサムが声をあげた。
「うぇーい! 俺が三十秒でわかる動画にまとめてやろうか?」
「人工知能に頼る前に人間の突っつき合わせでなんとかしてみるぜ……」
そして俺はやっとお茶にありつけた。
応接室でそれぞれの飲み物を飲みながら、俺たちは話をまとめようとした。
香華子はもう一年以上、俺の生活を幻視していたようだ。
自分が望んだとおりの生活をしているしょぼくれたおっさんだったので、
自分の想像の産物だと信じて疑わなかったらしい。
俺が自殺を試みたことも知っていた。
香華子によると俺は一度死んだらしい。
ところが香華子の兄の入れ知恵によって、状況が改変され、俺は死ななかったことになった。
「俺が死ななかったのは、おまえのせいなのか?」
俺の問いには博士が答えた。
「人の生死をなかったことにする。そうだとすればものすごい能力だ。わたしはそれほどの力があるとは思えない。ぼやけていた不確かな未来視が、ディティールの強化をされたことで確実な未来視となった、そんなところだと思う。丈くんはどのみち死ななかったんだ」
俺は言った。
「博士はさっき次元接続体の能力は未知数だって言ってたじゃん」
「おっと、そうだったね。死の運命を変えるなんてあまりに強力なので信じたくないようだ。可能性はあるといえばある」
テーブルの下で、セツが足をつついてきた。
「おっさんが自殺するような繊細なタマだとは思えないな。それこそ妄想なんじゃないか」
「うっせえな。俺だってあまりにツイてないと死にたくなるんだよ!」
「いまでも死にたいか?」
「死ぬどころじゃねえよ! いまは忙しい。やられっぱなしの諸戸の一味にひと泡吹かせてやりてえだろ!」
セツはいままで見たこともないくらいに柔らかく微笑んだ。
「それならいい」
なんともくすぐったいような気分だ。
そして俺たちは会議を続ける。
「で、えひめのお友達が俺みたいなおっさんになんの用なんだ?」
「え、えっと、あの、その……あの……」
香華子と呼ばれた娘は真っ赤になってもじもじするばかりで話にならない。
見ていられないといった様子でえひめが割って入ってくる。
「おじさまのことずっと見てたんだって」
「え? どこから?」
「頭のなかで」
「なんだそりゃ? 妄想みたいなもんか?」
香華子がビクッと肩を震わせた。
「も、妄想じゃなくって、も、妄想みたいなっていうか、も、妄想……だったんですけど」
話が見えないでいると、世ノ目博士とセツも姿を現した。セツが言う。
「その子は橘組組長の娘だ。邪険にするなよ」
「なに! 橘組の連中なら今ノシてきたところだぜ! 千垣組と争ってた。抗争らしいな」
えひめが言った。
「香華子ちゃんも襲われてたの。確かめなかったけどきっと千垣組だと思う。みるからに暴力団員て感じだったもん」
「話が錯綜してきたな。なんだかよくわからねえ」
さらに追い打ちをかけるように博士が言った。
「そして香華子くんは次元接続体でもある。わたしの見立てでは未来視の能力を持っているようだ」
「マジかよ! このお嬢ちゃんが!?」
「香華子くんが空想で視ていたと思っていたことはすべて未来の情景で、香華子くんが幻視してからおよそ三日後に現実が追いつく。ただ、その未来視の焦点がなぜだか丈くんに合っているようだ。そのせいで香華子くんは未来視を想像の産物だと疑っていなかった」
俺は混乱してきた。直感で言う。
「ということは、それは俺の生活を、ってゆうか俺の未来を見ていたってことか、このお嬢ちゃんが……」
香華子が居心地悪そうに身体をくねらせた。
「だって妄想だと思ってたし、まさかほんとにいる人の生活だなんて思わなかったから……」
博士が頷いた。
「香華子くんは丈くんの未来を視ていた。まぁ、そうなるね。不思議な現象だが、次元接続体の能力はまだまだ未知数だからね」
なんてこった。俺は急に疲れを感じた。
「はぁー、お茶でも飲みながらひと息つかせてくれよ……」
イサムが声をあげた。
「うぇーい! 俺が三十秒でわかる動画にまとめてやろうか?」
「人工知能に頼る前に人間の突っつき合わせでなんとかしてみるぜ……」
そして俺はやっとお茶にありつけた。
応接室でそれぞれの飲み物を飲みながら、俺たちは話をまとめようとした。
香華子はもう一年以上、俺の生活を幻視していたようだ。
自分が望んだとおりの生活をしているしょぼくれたおっさんだったので、
自分の想像の産物だと信じて疑わなかったらしい。
俺が自殺を試みたことも知っていた。
香華子によると俺は一度死んだらしい。
ところが香華子の兄の入れ知恵によって、状況が改変され、俺は死ななかったことになった。
「俺が死ななかったのは、おまえのせいなのか?」
俺の問いには博士が答えた。
「人の生死をなかったことにする。そうだとすればものすごい能力だ。わたしはそれほどの力があるとは思えない。ぼやけていた不確かな未来視が、ディティールの強化をされたことで確実な未来視となった、そんなところだと思う。丈くんはどのみち死ななかったんだ」
俺は言った。
「博士はさっき次元接続体の能力は未知数だって言ってたじゃん」
「おっと、そうだったね。死の運命を変えるなんてあまりに強力なので信じたくないようだ。可能性はあるといえばある」
テーブルの下で、セツが足をつついてきた。
「おっさんが自殺するような繊細なタマだとは思えないな。それこそ妄想なんじゃないか」
「うっせえな。俺だってあまりにツイてないと死にたくなるんだよ!」
「いまでも死にたいか?」
「死ぬどころじゃねえよ! いまは忙しい。やられっぱなしの諸戸の一味にひと泡吹かせてやりてえだろ!」
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