貞操観念が低い地味で平凡な貧乏貴族が、金持ち旦那様に買われて躾される話

ふき

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「どえらいめにあった……」

躾と称されたとんでもないセックスから数日。
身体の違和感も感じながらも、またベッドでごろごろとしていた。だってやることないし。

「懲りたんじゃないんですか?」
「懲りた、懲りた」

昼下がりから始まった躾セックスは夜遅くまで終わらなかった。残っている記憶と残ってない記憶がある。最後の方はずっと、だんなしゃまのおちんぽだいしゅき~~♡♡♡しか言ってなかったような気もするけど……記憶の底に沈めておこう。

「それならいいですが…。本当に知らない人が屋敷にいたらまず誰かを呼んでください!」
「いやー本当に恐怖だったね~。あの業者が王子だったなんて」

カレンが何度めかの呆れを見せている。
あの後、旦那様がちゃんと調べたところ、俺が流されて一発ヤった業者は愛人していたうちの一人。クロムヴェル王子だった。

顔はいいが放蕩王子。俺以外にも何人か愛人みたいな遊び相手がいたはずだ。

まあ俺の鳥頭はすっかり王子のことを忘れていて誰ですか?って言ったんだけど。いや、気付かないでしょ。帽子かぶって業者のような服まで着てたら。
そんな王子も近いうちに同盟国へと送られるらしい。実質人質だけど王族だからね。仕方ないよね。
一緒に行こうとかなんとかって言われてどこに?ってなったが、これのことか!と旦那様から聞いて思った。言わなかったけど。俺も少しは学ぶんですよ。

「それに旦那様が家に帰って来なかったのも、俺関連だったとは」
「ビックリしましたね」

旦那様は言いたくなさそうだった。だけど、何かあったら困るからと自衛出来るように教えてくれた。

なんと、俺が愛人してた人たちが旦那様の商会の邪魔をしていたらしい。
………なんで?
愛人していたときのことを思い出しても、みんな会えば飯食ってセックス。なんなら孔はしかねえなみたいに嘲笑っていたのに。逃げられると追いかけたくなるのか?わざわざ邪魔までして?
謎が深まる。みんな俺にかかる費用が減って喜んでいるかと。お前みたいなのに金払うのは俺だけなんだからなとか言っていたし…。
なんで?

「正直なんで?しか出てこないけど」
「……いやーでもなんとなく分かりますよ。奥さまはコイツには俺しかいないんだ…!みたいな気にさせられます」
「それもなんで?だよ」

ただの平凡地味男なのに。しかも貞操観念が低いときた。スペックだけ並べると大分人生終わっている。旦那様に気に入って貰えてよかった。顔はもちろん。頭もたいして良くなくて、性格もものぐさな俺のどこがいいのか全然分からないけど。

「………そういえばさ、旦那様見てたらひとつ思い出したことがあって…」
「絶対私に話さないでください!まず主に話されてから聞かせてください」
「…そう?」

カレンの必死な形相に話すのを止める。
躾セックスの次の日は一緒にいてくれた。そして一緒に過ごしているうちに気付いたのだ。瞳の色がお揃いだと。そこから少しずつひとつの記憶が思い出されたのだ。

「お兄ちゃんないているの?」

栗色の髪に焼けた肌。そして平民には珍しい深緑の瞳。俺と同じ色。
年上の男の子がポロポロと泣いている。焼けた肌でも分かるほど目元が赤い。

「………そうだな。泣いているみたいだ」
「…?自分じゃきづかなかったの?」

男の子ははじめて気付いたようで目元に触れている。
しゃがんでいる男の子は俺を見る。

「みたいだな。俺は強くないみたいだ」
「……泣くとねかなしみが落ち着くの。だからいっぱい泣いていいんだよ」

よしよしと年上の男の子が泣いているのはかわいそうだと慰めてあげた。
夕日に照らされている深緑の瞳。

あれ、旦那様では?
絶対そうだよね?実は接点があったんだ。
なんだかあの頼りなさそうな男の子が旦那様になったのだと思うと感慨深くなる。

「ルネ」

声のする方に身体を向く。

「旦那様!お帰りなさい。無事にお休みに入れましたか?」
「ああ。多少連絡は来るかもしれないが一ヶ月は一緒にいれる」

旦那様がベッドに座る。俺もそこに近づいた。
俺の愛人していた人たちの妨害?も落ち着いて、ようやく休めるらしい。俺のせいではないけど、原因は俺なのでよしよしとしてあげる。

「あっ、実は昔に会ったことあります?」
「…………覚えていたのか?」
「さっき思い出しました。街外れの丘にいた子ですよね?」
「…ああ、そうだ」
「こんなに立派になっててビックリしましたね」
「俺も驚いたが…」
「あはは。こんなになっててスミマセン」

ぎゅっと抱き締められる。温もりがじんわりと伝わってくる。

「違う。キレイになっていて驚いた。」
「…それはさすがに惚れた欲目というやつですよ」
「だとしても俺はルネの顔も好きだよ」

ちゅっと唇を落とされる。

「……顔、真っ赤だね」
「…真っ、直ぐ褒められること少なかったので……」
「かわいい」

ちゅっ、ちゅっと何度もキスされる。顔に熱が集まるのが分かる。愛人していた人たちは身体だけだったし、褒められた記憶もない。
真っ直ぐ言われるとどうにも居心地の悪さを感じる。

「うう~」
「かわいい。出会ったときから好きだよ」

唇が近付いて触れる。俺が旦那様を好きかどうかまだよく分からない。けれど隣にある熱は心地よかった。

旦那様に買われて三ヶ月と少し。
案外、幸せに生きている。
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