クロノザクロン

ジャック・アーズ

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 2章 誕生の海賊

   18話・後編「生活修行」

 その後は、狩りから帰還して船のある場所へと戻りました
狩れたのは…シカが二頭と、鳥が一羽ですね
 「解体は…まずは腹を裂いてみろ…内臓などは傷つけないようにな」
ホワードさんは途中までシカのお腹を毛を分けながら、切っています…
 「此処からは二人でやってみてくれ」
 「その短剣も自作なのですか?」
 「石同士を叩いたり削ったりして作った…これの作り方は、また今度にやろう…」
私とラグナに短剣を渡す
…これが石からとは凄いですね……
 「そーっと…そーっと………」
ラグナはゆっくりと同じように毛を分けて、お腹を切っていく…
 「こんな感じか!?」
 「あぁ…良いと言うまでやってみろ…言ったら止めるんだ」
何とか大丈夫そうですね…
 「あ、もう一頭のシカをやらないと…」
私も、シカのお腹を切っていく…………内臓が見えます…
……うっ…異臭が…凄いです………
 「うわぁ…アステラルは早いなー」
途中でラグナが話を掛けてきました
 「刃物などは慣れてますからね…」
 「…………よし、そこで止めろ。次は首の近くまでの皮を裂いてくれ」
指示に合わせながら、シカの首まで切っていく…
 「いてっ!?」
突然にラグナの声が聞こえました…
 「ラグナ、どうかしましたか?」
 「わ、悪い…指を切っちまった…」
ラグナの手を見てみると、左手の指から血が出ていました
 「ふむ…とりあえず、この葉っぱで押さえるんだ」
ホワードさんは何かの大きな葉っぱをちぎって
ラグナの指に巻きました
 「包帯の変わりにはなるだろう」
 「お、サンキュー!」
 「気をつけてくださいね…ところで、その葉っぱは?」
 「たまたま見つけたのでな…何かの罠と拠点造りに役に立つだろう…毒などはなさそうだ……それより、どうだ?」
 「こっちは終わったぜ!」
 「私もです」
 「…次は、そこにあると思われる頸動脈を折り取って血を抜くんだ……」
この細いものでしょうか…?
 「うおっ!?取ったら血が吹き出たぞ!?」
横でラグナは頸動脈を取ったようですが…かなり驚いているようですね…
 「よし、取ったのならそれで内臓などを取ってみろ……」




 その後は、シカの解体を続けて…ようやく、終わりました
皮を剥いだり…脚の肉を取るなど……
今は、シカの肉を焼くために火を着ける方法を学んでいるところです
 「な、なぁ…ホワードのおっさん……一ついいか?」
 「……ん?どうした、ラグナ?」
 「このシカの頭はどうするんだ?」
 「…まぁ食べれないしな……使えそうなのは角ぐらいか…」
 「……よし、後で埋めてあげるか!」
ラグナも動揺しているのでしょうか?…悲しそうです……
 「火を着けるのは…まず、枝や石を集めてくれ…枝は出来るだけ枯れているのを…枝は真ん中に置いて、石は火を着ける時に…他の植物などに火が燃え移らないようにするために…周りに置いてくれ」
 「集めようぜ!アステラル!私は枝を拾ってくる!」
 「では、私は石を拾ってきますね…あまり遠くに行かないでくださいよ?」
 「大丈夫だって!」


ラグナは枯れた枝を集めて…
私は砂浜にある石を拾ってきました





数分後…




 「持ってきたぜ!これでいいか!?」
 「…あぁ、枯れているし…十分に使える……」
 「石はこのぐらいで良いでしょうか?」
持ってきた石をホワードさんに見せました…
 「……問題ない…よし、次は置いてくれ…」

ラグナは枝を並べて置いて、私は石を周りに置きました
 「んで、火はどうやって着けるんだ!?」
 「ラグナ、さっきの枝を一つ渡してくれ」
 「ん?これか?」
先程の枝をホワードさんに渡す…何をするのでしょうか……?
 「今回は…この枝を、さっきの短剣で…削って薄くする……そうすると、火が着きやすい…そして、石同士をぶつけて……そのぶつけた瞬間に出来た火花を…削った枝に移し、火を着火させる……やってみろ」
 「おう!」

ホワードさんは、削った枝を私とラグナに渡す…
そして、ラグナは石同士をぶつけて
目に見えるか見えないぐらいの小さな火花を放つ…

私もやってみるのですが……
 「…あ、あれ?」
 「ん?どうした、アステラル?」
 「ひ、火花が出ないのですが……なぜでしょう?」
 「冬桜家の氷の精霊の影響の寒さで着かないのかもな…」
 「アステラルは元から冷たかったもんな!」
 「そういう問題なのですか!?」
確かに、氷の精霊とは契約してますけど…影響なんてあるのでしょうか?
 「こうして二人を見ると…どっちが元姫で……どっちが元メイドなのか……ふっ…わからないな」
 「笑っているのですか!?」
 「お、火が着いたぜ!」
いつの間に!?
 「…ん?早いな……まぁいい、その枝を…移してみろ」
 「わかったぜ!」
ホワードさんも早いと言ってますね……




 その後に、火は大きくなり……
 「よし、焼くぞ…」
説明をしてなかったのですが…
昨日の探索の途中で
ホワードさんは、木の革を剥いで…それをひねって縄を作ったようなのです
その縄を肉に巻いて、吊るして焼いてます
どうやら、弓にも使われているようですね…
 「そういえば、まだ昼ぐらいなのでしょうか?」
 「あぁ…この後はどうする?」
 「木登りと泳ぎを教えてくれ!後は、短剣や弓矢の作り方とか、他の狩りの仕方とか!」
 「まぁゆっくりとな……」
 「あ、そろそろ食べ頃ですよ」
私は二人に、焼けたシカの肉を渡しました
 「サンキュー!アステラル!んじゃ、いただきまーす!」
 「あまり早く食べると、火傷したり…蒸せますよ?」
 「大丈夫!大丈夫!って…ああっちぃぃ!?」
 「は、はぁ……言ってたらこうですよ…もう…」
 「…ふっ………」
 「また笑っているのですか?」
 「ん?あぁ…すまんな……つい…」
ホワードさんって…時々、緩くなってることがありますね…










 その後は、焼いた肉を食べ終わって……
 「ぎゃあああああ!!!」



 ドォォォーン!



 「…はぁ……やはり、まだ鍛えてからでないと……木登りは無理だな…」
今現在は…ラグナに木登りを教えてるところ……?
…あ、えっと……ラグナは木に登ろうと飛びましたが…
失敗して尻餅を着きました…
 「くぅー!よし、今度に鍛えたら再挑戦だぜ!ホワードのおっさん、次は弓矢と短剣の作り方を頼むぜ!」
 「無理はしないでくださいよ?ラグナ?」
 「おう!」
 「…ま、まぁ……教えるとしよう……そういえば、アステラル…」
 「なんでしょう?」
 「君は修行を冬桜家で終えたとはいえ…魔力の制御は大丈夫なのか?」
 「そうですね…私も、欠かさず…さらに鍛えてみましょうか」
 「うおっ!?それは、こっちも負けてられないな!」
 「き、競争か何かですか?」
 「アステラルと私、お互いに鍛えようぜ!……って思ったんだけど…先に…水とかないか?…の、喉が乾いたぜ……」
そういえば…まだ、この島に来てから……飲んでませんね……
って…先に見つけておくべきだったのでは…?
 「…あっ!海の水を飲んでくる!」
 「それはダメです!あれは塩水ですよ!?」
 「塩水??辛いのか?」
 「飲んでも乾きは回復しませんよ…とりあえず、何処かに湧水でもあれば良いのですが……」
 「…ふむ……雨が降っていたら、何かに貯めておくという方法があるが……今は雨も降ってないな……湧き水を探そう」
 「あ、あの…私の魔力で氷を出して、その氷を溶かして飲むというのは……」
 「魔力の溶け水を飲むのか…?流石に試したことないから…わからんな…」
 「とりあえず、探そうぜ!」


 私達は水を探しに、湧き水を探しに森を歩きます
 「…ペットボトルでも持ってくるべきだったな……植物でも入れておけば、乾燥して…植物から水が出てくるからな…」
 「ペットボトルってなんだ!?」
 「街などで、水などの飲み物を入れることが出来る…蓋がついてるコップみたいなものですね」
 「私の居たあそこには無いのか?」
 「ペットボトル…恐らく、無かったと思います……。ある場所は…確か、能力者という方々が住んでる街にあるんだとか…」
 「能力者?」
 「そうだな…例えば、何かの現象を起こしたりすることが出来る者達だな……」
 「…うーん?難しいなぁ…言ってることがわかんないぜ!」
 「この話は今度だ…能力者の能力も、人それぞれだからな…」




 さらに私達は森の中へと歩きます



 「この辺りは土が泥になっているな…近くに池でもあるのか?」
 「周りを探してみるか!」
 「もしくは…この泥を掘って水を出して飲むか……まぁこれだと、病気になる可能性がある……」
 「そうや、ホワードのおっさんは、どうしてそんなに鍛えれたんだ!?」
 「…さっきの魔力の話だが……元々、俺はエールデ王国の騎士団の団長……その騎士団は、他の魔力を使って戦う騎士とは違い…完全な対人としての戦い方を身に付ける為に鍛えられている…魔力に特化したのが魔術師なら…俺の騎士団は戦い方に特化した騎士…というよりは暗殺者か……」
 「んじゃ、あの時の幻覚ってのは?」
 「幻術…あれは元々は魔眼という眼の力でな……いくら対人の戦いが出来ても、魔法を使うような連中と戦うのは時間が掛かる…。そこで、魔眼の出番だ……魔眼の習得には、何かの自分が見ての…衝撃的な何かを見たことにより…魔眼は覚醒する……それがどんなのかは…わからないが……俺のは相手に幻覚を見せる力だ……だが、これを使うことは基本的にない……ちなみに、能力者の能力が覚醒するには……自分の生きた時間に関わる何かが起きたことによる覚醒だな…」
 「うーん…やっぱり、難しいな!」
 「また勉強したらいい…それより、池ならあったが……これは雨の水か?…腹を壊すかもしれないが…」
どうやら、ホワードさんは地面に貯まっていた池らしきものを見つけたようです 
 「飲めるだけマシだろ!ガブガブカブ……」
って!?ラグナはもう飲んでる!?
 「…まぁ水は確保したとして……ようやく、作り方を教えるとしよう…」










 その後は、拠点?の場へと戻り
ホワードさんに様々な物の作り方を教えてもらいました
短剣は中ぐらいの石に小さい石をぶつけて叩きながら形を作り
最後は池の水に石を濡らしながら、研いで完成しました


包丁を研ぐのと同じ感じですね…



弓矢は、先程の短剣を使って太くて長い枝を削っていきます
弓の原型まで形を作ったら、あの時に使われてきた縄を使って
弦を作りました…どうやら、これで弓は完成したようです


矢は、小さく長い木を同じように削っていきます
削ったら、枝の先端を火で炙る…もしくは
小さく尖った石を取りつけます
そして、あの時に狩った鳥の羽を先端の反対に取りつけて完成です
ちなみに、矢筒は皮と木で固定して作りました

 「ふぅー…ようやく、出来たぁぁー……!!」
 「完成したようだな…まぁ完成したとしても……何時かは物も劣化する…何度も作れるように練習するのだ…」
 「この作り方も鏡騎士さんから?」
 「あぁ…いろんな事を学ばせてもらったよ」
 「よし、早速の試し打ちだぜ!」
 「木で的は作ってある…やってみるといい」
ラグナは、自分で作った弓矢を持ち
的へと構え、打ちました



 ヒューン!



 「うげっ…やっぱり難しいなぁ…」
矢は的の横へと放たれました
 「最初はそうだ……誰もが才能でもあったとしても…何度も練習していき、才能も開花する…地道に練習をして感覚を掴んでみろ…」
 「そうとなれば!これからも、鍛えるぜ!」
才能……ですか……










 辺りは暗く……夜になり……
私は二人と少し離れて、船の近くの砂浜で海を見ていました
 「……はぁ…」
才能……私には実の兄が居ます…
冬桜家では、血の繋がりある人は執事かメイドへの道の修行を行います
私もその一人です…兄様もそうでした…
……私には魔力の才能はあったそうなのですが……
剣技の才能…そういうのは……
……兄様には、その二つがありました……
現在、兄様も修行を終えて…エールデ王国へと向かいました…

…………今更、どうして私は気にしているのでしょうか……
 「……………はぁ…」
 「お~い!アステラルぅ~!」
後ろから、ラグナの声が聞こえてきました……
 「何をしてるんだー?肉は焼けたぞ~」
 「……すみません、少し考え事です…」
 「悩み事か?私でよければ、聞いてやるよ!」
 「………ラグナは才能とか、どう思いますか?」
 「才能……うーん…ま、生まれて持てる物を持ってていいんじゃね!?んで、才能がどうかしたのか?」
 「………実は、私には兄さんが居ましてね……もう聞いたと思いますが、冬桜家は子供の時から執事かメイドの道の修行をしています…。私には、冬桜家の人達に…魔力の才能はあると言われました……けど、剣技の才能はなかったのです……兄には、その二つの才能がどちらもあったのです……私の目から見ても、兄はとても優秀で……」
 「ふーん……で、アステラルはどうしたいんだ?」
 「え?私は……その………」
 「私は冬桜の人間じゃないから、よくわかんねぇけど…人は誰もが、完璧人間なんて居ないと思うぜ?才能とかも、人それぞれ…まーその……他人は他人!自分は自分!才能とかでも、ホワードのおっさんが言うように行動をしないと、何も始まんないぜ!その才能があったとしても、自分がどの道に行きたいかだ!結局、才能なんて関係ない!」
 「……ラグナ…………そうですね、私もやってみようかと思います。これが今の自分が選んだ道なのですからね。この期を乗じて…もう一度、修行します!」
 「あっ!アステラルの顔が戻った!」
 「人の顔をあんまり見ないでくださいよ!?」
 「何か見て悪いのか!?」
 「悪くはないですけど……」
 「んなことより!早く食べようぜー!飯を食べないと、体も動けないぜ!」
 「はいはい、行きます行きますよ」



もう…本当にラグナは………………


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