異世界でも介護するんだってさ〜王宮の魔法と絆〜

ロキ

文字の大きさ
4 / 40
異世界でも介護するんだってさ 

第4話: 闇に潜む影

しおりを挟む
シャドウベアとの戦いを終え、無事に王宮へ戻った悠斗とリリス。しかし、エルドリッチの「操られていた可能性」という言葉が二人の心に重くのしかかっていた。森での異変が偶然ではないとしたら、一体誰が、何の目的で魔物を操っていたのか——その疑念は、次第に大きな不安となっていく。

新たな任務の発令
翌朝、悠斗とリリスはエルドリッチに呼び出された。彼は厳しい表情を浮かべながら二人にこう告げた。
「お前たちにはもう一つ試練を課す。この国で最近起きている異変について調査してもらいたい。特に、シャドウベアが現れた森の近くにある村で奇妙な事件が報告されている。」
エルドリッチによると、その村では最近、住民たちが次々と原因不明の病に倒れているという。医師たちが治療を試みても効果はなく、村全体が恐怖と混乱に包まれているとのことだった。
「この病気には魔法的な要因が絡んでいる可能性が高い。お前たちには現地へ行き、原因を突き止めてほしい。そしてもし解決できるならば、それも頼む。」
悠斗は戸惑いながらも頷いた。「僕たちにそんな大役が務まるでしょうか?」
エルドリッチは静かに微笑み、「お前たちはもう十分に成長している。自分を信じろ」と励ました。その言葉に背中を押された二人は、再び未知なる任務へ向かう決意を固めた。

村への旅路
村へ向かう道中、悠斗とリリスは慎重に周囲を警戒しながら進んだ。前回のシャドウベアとの戦い以降、二人は互いへの信頼感を深めており、その絆が旅の心強い支えとなっていた。
「ねえ、悠斗さん。今回の病気、本当に魔法が関係してると思う?」リリスがふと問いかける。
「正直わからない。でも、普通の病気なら医者が治せないなんてことは少ないだろうし……何か特別な力が関わっている可能性は高いと思う。」悠斗は真剣な表情で答えた。
その会話を交わしながら進む中で、二人は道端で倒れている一人の男性を発見した。彼は村から来た農夫であり、体中に黒ずんだ痣のようなものが広がっていた。
「助けて……村のみんなも……」農夫は弱々しい声で訴えかけると、そのまま意識を失ってしまった。
悠斗はすぐさま彼の脈を確認しながら、「この症状……普通じゃない」と呟いた。一方でリリスは急ぎ魔法で応急処置を施し、なんとか農夫の命を繋ぎ止めることに成功した。

村での調査
ようやく村へ到着した二人を待ち受けていたのは、不気味な静寂だった。家々には灯りもなく、人々は怯えた様子で窓から外を覗いているだけだった。
「ここ、本当に生きてる村なの?」リリスが不安げにつぶやく。
二人が村長宅を訪れると、年老いた村長が疲れ切った表情で迎えてくれた。彼によれば、この病気は数週間前から突然広まり始め、多くの住民が倒れているという。そして奇妙なことに、この病気にかかった者たちは皆、「夜になると黒い霧を見る」と口々に語っているとのことだった。
「黒い霧……?」悠斗は眉をひそめた。その言葉には何か禍々しいものを感じ取ったからだ。
黒い霧との遭遇
その夜、村長宅で休んでいた悠斗とリリスだったが、不意に外から低いうなり声のような音が聞こえてきた。二人は急いで外へ飛び出すと、そこには本当に黒い霧が漂っていた。そしてその霧から現れたのは、人間とも動物ともつかない異形の存在だった。
「これ……魔物!? でも何か違う!」リリスが驚きの声を上げる。
その存在は明らかに魔法的な力によって作り出されたものであり、生き物というよりも呪詛そのものといった印象だった。悠斗とリリスはすぐさま戦闘態勢に入り、その異形と対峙することになった。

初めての連携魔法
この戦闘では、二人の新しい力——連携魔法——が初めて発揮されることとなった。エルドリッチから教わった基礎魔法を応用し、互いの力を組み合わせることでより強力な効果を生み出す技術だ。
「私が炎で奴らの動きを封じる! 悠斗さん、その隙に光魔法で仕留めて!」リリスが指示を出す。
「わかった! 頼むぞ!」悠斗も即座に応じた。
リリスの炎魔法によって黒い霧が一時的に消散し、その隙を突いて悠斗の光魔法「ヒーリングライト」が異形へ放たれた。その光には浄化作用があり、異形は悲鳴ともつかない音を上げながら消滅していった。

陰謀への手掛かり
戦闘後、二人は異形が消滅した場所に残された痕跡を調べた。そこには奇妙な紋様——明らかに呪術的なもの——が刻まれていた。それを見て悠斗は確信する。この病気や黒い霧には、人為的な悪意が関わっている、と。
「これ……誰かが意図的に仕組んだものだよね。」悠斗が険しい表情で言うと、リリスも頷いた。「どうしてこんなこと……」
その後、村長にも報告した二人だったが、この紋様について知っている者はいなかった。ただ一つだけ分かったこと、それはこの紋様には古代魔法特有の特徴があるということだった。
次なる目的地へ
村でできる限り手当てや調査を行った後、二人はエルドリッチへ報告するため王宮へ戻ることとなった。しかしその胸中には、新たな疑問と不安が渦巻いていた。この事件の背後には何者かの陰謀——それも非常に大きな規模——が潜んでいる可能性。そしてそれこそ、この世界全体に危機を及ぼすものではないかという予感だった。
「これからどうなるんだろうね……」帰路につく中で呟くリリス。その言葉には、自分たちだけでは到底解決できないほど大きな問題へ足を踏み入れてしまった恐怖が滲んでいた。
しかし悠斗は静かな決意を込めて答えた。「僕たちはできる限りやるしかない。この世界でも誰かの役に立つためにな。」
こうして新たなる試練への幕開けとなり、大きな陰謀への第一歩として物語はさらに深まっていく——。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

1歳児天使の異世界生活!

春爛漫
ファンタジー
 夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。 ※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜

日々埋没。
ファンタジー
​「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」  ​かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。  その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。  ​レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。 ​ 地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。 ​「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」  ​新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。  一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。  ​やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。  レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

処理中です...