2 / 4
私はナイフを持っている
しおりを挟む
私はナイフを持っている。
一振りのペーパーナイフ。刺したら血は出ないが、少し痛い。そこら中に散らばっている紙を細かく切って、歩きやすくするのだ。
私はナイフを持っている。
とある人達がやってきた。
一人は私のペーパーナイフを見てこう言った。
「なんて危険なんだ。常識を知らないのか」
別の人がこう言った。
「いや、あれはペーパーナイフだ。安心していいはずだ。だが、なぜ持っているのだろうか」
さらに別の人はこう言った。
「いやいや、あれはおもちゃだ。まったくもって無害だ」
彼らは各々の意見を述べると、去っていってしまった。
私はナイフを持っている。
持っているから、疑いを持たれてしまう。
それならば、と、私はナイフをしまった。
私はナイフを持っていない。
とある人達がやってきた。
横を素通りした。
彼らは何も意見を述べず、去っていってしまった。
私はナイフを持っていない。
なぜ彼らが素通りしたか。
何も持っていないからである。
少しでも注目されたいなら何かを持たなければならない。
持たなければ、そこら辺にいるただの何かだ。
ならば、無害な棒でも持とう。
私は棒を持っている。
また彼らがやってきた。
「棒だね」と一言。そして去っていった。
そこで私は気づいた。
私は棒が持ちたかったのだろうか。
足元を見ると、あるのは紙。
そうだった。私は紙が切りたかったのだ。
私はペーパーナイフを持ち直した。
私はナイフを持っている。
私はペーパーナイフを持っているが、本当のナイフを持っている人もチラホラ見かける。 それを食材に向けて的確に仕事する料理人もいれば、自分を料理人と思いこんで人に対してナイフを振り回す人もいる。
持っていなさそうな人でも、どこかにナイフを持っている。皆、必ず持っている。持っていない人は、少なくともここにはいない。
私達はナイフを持っている。
気づかないうちに刺してしまっているかもしれない。
だが、刺した本人は気づかない。
そういうナイフを持っている。
でも、そのナイフを上手く使えば、人のためになる。
便利な道具は、要は使いようなのだ。
私達はナイフを持っている。
『言葉』という名前のナイフを。
一振りのペーパーナイフ。刺したら血は出ないが、少し痛い。そこら中に散らばっている紙を細かく切って、歩きやすくするのだ。
私はナイフを持っている。
とある人達がやってきた。
一人は私のペーパーナイフを見てこう言った。
「なんて危険なんだ。常識を知らないのか」
別の人がこう言った。
「いや、あれはペーパーナイフだ。安心していいはずだ。だが、なぜ持っているのだろうか」
さらに別の人はこう言った。
「いやいや、あれはおもちゃだ。まったくもって無害だ」
彼らは各々の意見を述べると、去っていってしまった。
私はナイフを持っている。
持っているから、疑いを持たれてしまう。
それならば、と、私はナイフをしまった。
私はナイフを持っていない。
とある人達がやってきた。
横を素通りした。
彼らは何も意見を述べず、去っていってしまった。
私はナイフを持っていない。
なぜ彼らが素通りしたか。
何も持っていないからである。
少しでも注目されたいなら何かを持たなければならない。
持たなければ、そこら辺にいるただの何かだ。
ならば、無害な棒でも持とう。
私は棒を持っている。
また彼らがやってきた。
「棒だね」と一言。そして去っていった。
そこで私は気づいた。
私は棒が持ちたかったのだろうか。
足元を見ると、あるのは紙。
そうだった。私は紙が切りたかったのだ。
私はペーパーナイフを持ち直した。
私はナイフを持っている。
私はペーパーナイフを持っているが、本当のナイフを持っている人もチラホラ見かける。 それを食材に向けて的確に仕事する料理人もいれば、自分を料理人と思いこんで人に対してナイフを振り回す人もいる。
持っていなさそうな人でも、どこかにナイフを持っている。皆、必ず持っている。持っていない人は、少なくともここにはいない。
私達はナイフを持っている。
気づかないうちに刺してしまっているかもしれない。
だが、刺した本人は気づかない。
そういうナイフを持っている。
でも、そのナイフを上手く使えば、人のためになる。
便利な道具は、要は使いようなのだ。
私達はナイフを持っている。
『言葉』という名前のナイフを。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる