秘密の多い令嬢は幸せになりたい

完菜

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第四章 幸せにつながる道

4-6

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 キャスティナが、リサと楽しくおしゃべりしているとあっと言う間に目的のお店に到着する。まず始めに衣料雑貨が置いてある店で、ハンカチを選ぶ事にした。

 店に入ると、綺麗な大人の女性店員が出迎えてくれた。

「いらっしゃいませ。キャスティナ様。シェラード公爵様より伺っております。どうぞごゆっくりご覧下さい」

 そう言うと、女性店員は丁寧に頭を下げた。

 お父様が先にお店に連絡を取ってくれてたのか……。帰ったらきちんとお礼を言わないと。キャスティナは、ダグラスの気遣いが嬉しかった。

「ありがとうございます。婦人物と紳士物のハンカチを見たいのですが、どちらですか?」

 キャスティナは、店員に尋ねる。

「では、ご案内致しますね。まず、婦人物からでよろしいですか?」

「はい。よろしくお願いします」

 キャスティナは、店員のあとに着いて行く。こんなに丁寧に接客されると緊張する……。今は、公爵令嬢なんだから恥ずかしくない態度で挑まないと!とキャスティナは気合いを入れた。

 連れて行かれた先には、沢山の種類のハンカチが所狭しと並べられていた。若者向けから大人の女性向け。可愛らしい物からシンプルな物。ゴージャスな柄や貴賓漂う柄。こんなに多くの種類がある事にキャスティナは感動して、目をキラキラさせた。

「凄い。リサ。こんなに沢山種類があるのね!私、決められるかしら?」

 隣に控えるリサに、キャスティナは興奮して話しかける。

「どれも可愛くて迷っちゃいますね。キャスティナお嬢様は、どなたに買うつもりなんですか?」

 リサが、商品を見ながら訊ねる。

「取り敢えず、婦人物はお母様にかしら。紳士物は、お父様とアルヴィンお兄様に。本当は、エヴァン様のお義母様やお義姉様にも渡したいけど。そんなに時間ないし、それはまた向こうに移ってからにしようかな」

 キャスティナは、考えながら口にした。それに対してリサが答える。

「そうですねーお嬢様は、初めての刺繍ですし時間もないので。ハンカチの色を人によって変えて、糸の色は単色にしたらどうですか?シンプルですが、間違いないかと」

「なるほど。枚数多いし、そんなに凝った物だと時間かかるものね……。そしたら、ハンカチの色を選んで糸はハンカチに合った一色を選ぼうかな」

 キャスティナは、早速ハンカチを選び始めた。リサと相談しながら迷いながらもそれぞれに贈る物を決めた。お母様には、スミレ色で繊細なレースが施してある物を。お父様には、シンプルな白の物。アルヴィンお兄様には、薄い黒に濃い黒で縁どりされた物に決めた。

 無事にハンカチを選び、満足してキャスティナは店を後にした。

 馬車の中でキャスティナは、リサと良い買い物が出来たと喜んだ。自分で選んで買い物をしたのが本当に久しぶりで、キャスティナは舞い上がっていた。

 その後は、リボンを買いにリボン屋さんに行った。沢山のリボンを前に、キャスティナは目を輝かせてゆっくりと店内を見て回った。そして、水色と黄色のチェックのリボンを三本購入した。これは秘密だが、リズとリサに自分とお揃いでプレゼントしようと考えている。それぞれに、イニシャルの刺繍を施して。

 二人とも喜んでくれるかしら?と胸がワクワクした。

 そして最後に、刺繍糸を買いに手芸屋さんに向かった。そこで、白、ピンク、青紫、黒の4色の糸を購入した。

 買い物が全て終わって馬車の前まで来た所で、リサが使用人仲間に頼まれてた物を思い出した。

「キャスティナお嬢様、申し訳ありません。買い忘れた物があって、少し馬車でお待ち頂いてもよろしいですか?」

 リサが申し訳なさそうに、キャスティナにつげる。

「大丈夫よ。馬車で待ってるわね。ブリュノ、悪いけどリサについて行ってあげて」

 キャスティナが、当たり前の様に言う。

「キャスティナお嬢様。ブリュノさんは、お嬢様の護衛なんですからダメですよ!」

 リサがビックリして、キャスティナに声を荒げた。

「でも、馬車まで少し歩くし人も多いから心配じゃない。私、ちゃんと馬車の中にいるから大丈夫。ブリュノ、ね?お願い」

 キャスティナが、ブリュノに向かってお願いする。ブリュノは、キャスティナにお願いされて断り切れない。仕方ないとばかりに、ブリュノはキャスティナを馬車に乗せる。

「絶対に馬車から出ないで下さいよ」   

 っと、キャスティナに念を押す。馬車に待機していた従者にも、キャスティナが中にいる事をことづけてから、ブリュノはリサと手芸屋さんに戻った。

 キャスティナは、馬車の中で今日の買い物が楽しかった事を振り返る。またこうやって、買い物に来たいなっと思い、窓の外の景色を見ていた。すると、小さな少女が花売りをしているのが目に入った。外は寒くて、足を止めてくれる人はいない。

 キャスティナは、せっかくだから買ってあげようと馬車の外に出る。従者が気づき声を掛けてきた。

「お嬢様。どうかしましたか?」

「ちょっと、あの子からお花を買って来るわ。すぐ戻るから」

 っと言って、キャスティナは駆けて行ってしまう。

「ダメです!お嬢様っ!一人で行かないで下さい!」

 従者が、焦って叫ぶがキャスティナは行ってしまう。馬車から離れる訳にもいかず、従者はオロオロしていた。

 キャスティナは、この時完全に気を抜いていた。久しぶりの買い物に浮かれて、自分の立場を忘れていた。

 少女に近づき、話しかける。

「こんにちは。お花売って頂ける?」 

 少女は身なりのよい令嬢が、一人で駆け寄って来た事に驚きながら答える。

「あっ、あの。お花じゃなくてポプリなんですがいいですか?」

 キャスティナは、少女が持っていた籠の中を見る。籠の中には、色とりどりの可愛らしい袋が沢山入っていた。

「そっか、冬だものね。お花はこの季節は無理よね。変わりにポプリを売ってるのね。可愛い。じゃあ、全種類の色一つづつ頂戴」

 キャスティナは、笑顔で少女に注文する。少女は、ありがとうございますと嬉しそうに言い値段を伝えた。

 キャスティナは、ポケットからコインを出そうとする。ポケットから手を出した瞬間、チャリンっとコインが落ちてしまった。コインは、少女が立っていた後ろの路地に転がって行ってしまう。

「ごめんね。ちょっと待ってて」

 そう少女に断って、路地の方にコインを拾いに足を踏み入れた。路地に入った瞬間、キャスティナの前に黒い影が被さる。びっくりして顔を上げる。見知らぬ男と目が合った。

「自分から一人になるなんて、ラッキー」

 そう言われた次の瞬間、キャスティナは白い布で口を塞がれ意識が遠のいた。
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