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scene3 美少女には間違いをおこしてしまうのが健全男子高校生
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山本さんには、祖母側のポジションに僕と向かい合うような形で座ってもらう。
座布団がしっくりくるのかこないのか、何やらもぞもぞしながらも正座をしている。
そして、山本さんが話し出した。
「あの……、ところで、あなたは誰ですか?」
そりゃそうだよね。
っていうか、知らない男子の家によくあがってきたものだな。
僕は妙な感心をしつつ応える。
「ふむ。たしかに、まだ自己紹介をしていませんでしたね。僕は鈴木優人と言います。山本さんが訪ねてきてくれた鈴木すずの孫です」
山本さんは笑顔いっぱいでちゃぶ台に手をつき身を乗り出す。
「ゆーとさん!ですね!ゆーとさんはここに住んでいますか?」
「はい。僕はここに住んでいます」
って、なんだこの英語の教科書のような会話は。
「わたしは山本ありすです。高校の一年生です。よろしくお願いします!」
「僕も高校一年です。よろしくお願いします。ってか、なんでここに住むのですか?」
「わたしと同じ歳ですね。今日から仲良くしてください」
と、にっこりの超絶可愛い笑顔をする。
向かい合っているのは自分一人。
いわゆる笑顔の独り占め。
うん、何か得した気分になるけど。
「ぜひ仲良くしてください。と、言いたいところなのですが……ここに一緒に住もうとしています?」
「はい。わたしはここに住みます。ゆーとさんも住んでいるのでしたら一緒ですね。おそろいです」
一緒でもこういう場合は「おそろい」とは言わないよなあ。
と思いつつ。
「山本さん?僕は男ですよ?」
「はい、わたしは女です」
「そうですよね」
「そうです」
ふむ。なかなか難しい。
「山本さんは、なぜここに住むのでしょうか?」
「父母はまだイギリスで仕事があります。でも、わたしは高校生になったら日本に戻ってくることが夢でしたので」
まだ輪郭的なところしか見えない。
「夢があったため山本さんは日本に戻ってきた、と。ではなぜここに住むのですか?」
けど、ちょっとずつ近づいているのを期待して言葉を続けた。
「すずさんとの約束があったので」
「約束?」
山本さんが一通の手紙を渡してくれた。
それは何度も広げて読み返していたんだろうとわかる、中々古そうな手紙だった。。
裏返して差出人の名前を見る。
鈴木すずとあり、確かに祖母の名前だ。
「開けて中を読んでも良いですか?」
山本さんがうなずいてくれたので、中身を取り出し広げて目を向ける。
なになに……、拝啓と挨拶から始まって確かに日本に来たらおいでというような内容が書いてある、が、これって遊びに来てねくらいのニュアンスでは?と思いつつ二枚目を見る。
いや、見ようとしたら山本さんが取り戻していた。
「ね。書いてあるでしょう?」
「うーん……書いてはあるような……」
「えへへー、今日から宜しくお願いします」
今日一番のくずれた笑顔になる。
先生。可愛いってのはずるいんだなと思います。
でも、
「でもですね、高校生の男女が一緒に住んで、万が一、間違いがあったら」
「わたしは間違いなんてしませんよ?大丈夫です」
じっと真っすぐに見つめられる。
僕のこの先の出会い運とかが全部使いきっちゃうように思えてくる。
そんなことも理由にして僕は抗った。
「いや、それでもまずいですよ」
「まずくないですっ!おいしくします!」
と、標準よりは少しだけ小さいそうな胸を張る。
いやいやいやいや。
ただそれだけで標準よりは小さいのかなとか想像しちゃっている僕がまずい。
「いや、まずいですって」
「おいしくしますよ……」
その返しをそれはそれでどうなんだと思いつつ山本さんをみる。
……下を見て暗い顔をしている。
やめて、それはそれで胸に突き刺さる。
「もう、日本語わかっています?山本さん」
「わたし、住むとこないですし……、間違えませんよ……」
まだ畳のヘリを見るかのような姿勢でいる。
それだけで絵になるし、それだけで感情が伝わってきてしまう。
……先生。可愛いってのは本当にずるいと思います。
山本さんが指で畳をなぞり、もっとうつむいた。
あーっ!もうっ!
「わかりました」
僕は言い切ってしまう。
「ここで住んで下さい!」
けど、まだ下を見ている……。
山本さん?
……いや、舌を出している?
上を向き、僕を見る。
「えへへー。ありがとうございます」
同時に百点満点の笑顔。
ひょっとして、やられた?
「わたし、しっかり聞きましたからねー」
と更ににっこりと百二十点の笑顔。
まてまてまて。
お巡りさーん!確信犯がここにいますよ!
「ちなみに、わたしだってまずいの意味とかわかりますよ?間違ったふりをしただけです」
しかもかなりの知能犯ですよ!
「わたしはふりですけど、間違えたのはゆーとさんですねー」
……先生。
僕の自尊心は力尽きそうです。
座布団がしっくりくるのかこないのか、何やらもぞもぞしながらも正座をしている。
そして、山本さんが話し出した。
「あの……、ところで、あなたは誰ですか?」
そりゃそうだよね。
っていうか、知らない男子の家によくあがってきたものだな。
僕は妙な感心をしつつ応える。
「ふむ。たしかに、まだ自己紹介をしていませんでしたね。僕は鈴木優人と言います。山本さんが訪ねてきてくれた鈴木すずの孫です」
山本さんは笑顔いっぱいでちゃぶ台に手をつき身を乗り出す。
「ゆーとさん!ですね!ゆーとさんはここに住んでいますか?」
「はい。僕はここに住んでいます」
って、なんだこの英語の教科書のような会話は。
「わたしは山本ありすです。高校の一年生です。よろしくお願いします!」
「僕も高校一年です。よろしくお願いします。ってか、なんでここに住むのですか?」
「わたしと同じ歳ですね。今日から仲良くしてください」
と、にっこりの超絶可愛い笑顔をする。
向かい合っているのは自分一人。
いわゆる笑顔の独り占め。
うん、何か得した気分になるけど。
「ぜひ仲良くしてください。と、言いたいところなのですが……ここに一緒に住もうとしています?」
「はい。わたしはここに住みます。ゆーとさんも住んでいるのでしたら一緒ですね。おそろいです」
一緒でもこういう場合は「おそろい」とは言わないよなあ。
と思いつつ。
「山本さん?僕は男ですよ?」
「はい、わたしは女です」
「そうですよね」
「そうです」
ふむ。なかなか難しい。
「山本さんは、なぜここに住むのでしょうか?」
「父母はまだイギリスで仕事があります。でも、わたしは高校生になったら日本に戻ってくることが夢でしたので」
まだ輪郭的なところしか見えない。
「夢があったため山本さんは日本に戻ってきた、と。ではなぜここに住むのですか?」
けど、ちょっとずつ近づいているのを期待して言葉を続けた。
「すずさんとの約束があったので」
「約束?」
山本さんが一通の手紙を渡してくれた。
それは何度も広げて読み返していたんだろうとわかる、中々古そうな手紙だった。。
裏返して差出人の名前を見る。
鈴木すずとあり、確かに祖母の名前だ。
「開けて中を読んでも良いですか?」
山本さんがうなずいてくれたので、中身を取り出し広げて目を向ける。
なになに……、拝啓と挨拶から始まって確かに日本に来たらおいでというような内容が書いてある、が、これって遊びに来てねくらいのニュアンスでは?と思いつつ二枚目を見る。
いや、見ようとしたら山本さんが取り戻していた。
「ね。書いてあるでしょう?」
「うーん……書いてはあるような……」
「えへへー、今日から宜しくお願いします」
今日一番のくずれた笑顔になる。
先生。可愛いってのはずるいんだなと思います。
でも、
「でもですね、高校生の男女が一緒に住んで、万が一、間違いがあったら」
「わたしは間違いなんてしませんよ?大丈夫です」
じっと真っすぐに見つめられる。
僕のこの先の出会い運とかが全部使いきっちゃうように思えてくる。
そんなことも理由にして僕は抗った。
「いや、それでもまずいですよ」
「まずくないですっ!おいしくします!」
と、標準よりは少しだけ小さいそうな胸を張る。
いやいやいやいや。
ただそれだけで標準よりは小さいのかなとか想像しちゃっている僕がまずい。
「いや、まずいですって」
「おいしくしますよ……」
その返しをそれはそれでどうなんだと思いつつ山本さんをみる。
……下を見て暗い顔をしている。
やめて、それはそれで胸に突き刺さる。
「もう、日本語わかっています?山本さん」
「わたし、住むとこないですし……、間違えませんよ……」
まだ畳のヘリを見るかのような姿勢でいる。
それだけで絵になるし、それだけで感情が伝わってきてしまう。
……先生。可愛いってのは本当にずるいと思います。
山本さんが指で畳をなぞり、もっとうつむいた。
あーっ!もうっ!
「わかりました」
僕は言い切ってしまう。
「ここで住んで下さい!」
けど、まだ下を見ている……。
山本さん?
……いや、舌を出している?
上を向き、僕を見る。
「えへへー。ありがとうございます」
同時に百点満点の笑顔。
ひょっとして、やられた?
「わたし、しっかり聞きましたからねー」
と更ににっこりと百二十点の笑顔。
まてまてまて。
お巡りさーん!確信犯がここにいますよ!
「ちなみに、わたしだってまずいの意味とかわかりますよ?間違ったふりをしただけです」
しかもかなりの知能犯ですよ!
「わたしはふりですけど、間違えたのはゆーとさんですねー」
……先生。
僕の自尊心は力尽きそうです。
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