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第10話
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「ふふ、そう。そんなに知りたいの。本当なら、エルフの里の出身者以外には聞かせてはいけない話なんだけど、仕方ないわねえ。特別に教えてあげるわ。長くなるわよ、覚悟しなさい。……全ての始まりは、もう一年以上前。里の秘宝である緑色の宝石――エルフィン・カルドライトが奪われたことから始まるわ。エルフの里で加工された宝石はあまりの希少性から、商人たちの間で闇取引がなされることもあり、私たちエルフは盗難や強奪を警戒して、なるべく人間と……」
こいつ本当にすげえ喋るな!
人見知りとか絶対嘘だろ!
だいたい、『里の出身者以外には聞かせてはいけない話』を、大して聞きたくもなさそうにしてる初対面の俺に話すなよ!
しかし、命の恩人ではあるし、知り合い一人いない異世界で、なんとか頼りになりそうな相手と出会えたのだ。興味のない長話に付き合うのはちょっとつらいが、腰を据えて聞き役に徹するしかないな。
俺は小さく息を吐くと、覚悟を決めてその場に腰を下ろす。
そんな俺を見下ろし、ルイーズは立ったまま、演説するように語り続けた。
・
・
・
「……そして私は海を渡った。崇高な使命を胸に秘め、いくつもの町々を転々としてきたわ。命がけの冒険。苛烈なる戦い。そして孤独な日々。私は何度もくじけそうになった。でも、そのたびに母との約束を思い出す。今でも瞳を閉じれば、母の声が鮮明によみがえるわ。『ルイーズ、あなたは私の誇りよ。あなたならきっと成し遂げられる』ええ、母さん。私、絶対にあきらめない、必ず目的を果た……」
な、なっげぇ……
もう語り始めてから1時間は経ってるぞ。
要約すれば3分くらいで終わりそうな気がするんだけど、しょっちゅう脱線する上に、途中でやたらと『語り』が入るから全然話が進まない。
しかも、ルイーズ本人ですらどこまで喋ったか時々わからなくなるのか、ちょっと話が戻って、一回話した部分をもう一度話したりするし……
いつまで続くんだこの話。
ブラックボアを一撃で倒したルイーズの魔法を恐れてか、モンスターが寄ってくる気配もないし、ルイーズ自身は、これまでの冒険談を語るうちに感情が乗って来たのか、頬を紅潮させ、自分に酔ってる感じすらある。
なんか、やばい人に助けられちゃったな……
俺、これからどうなっちゃうんだろう……
腹減ったな……
今、何時くらいかな。
ポケットの中からスマホを取り出し、時間を見る。
午後の4時15分か。
昼飯を食ってないから、腹減って当然だな。
こいつ本当にすげえ喋るな!
人見知りとか絶対嘘だろ!
だいたい、『里の出身者以外には聞かせてはいけない話』を、大して聞きたくもなさそうにしてる初対面の俺に話すなよ!
しかし、命の恩人ではあるし、知り合い一人いない異世界で、なんとか頼りになりそうな相手と出会えたのだ。興味のない長話に付き合うのはちょっとつらいが、腰を据えて聞き役に徹するしかないな。
俺は小さく息を吐くと、覚悟を決めてその場に腰を下ろす。
そんな俺を見下ろし、ルイーズは立ったまま、演説するように語り続けた。
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「……そして私は海を渡った。崇高な使命を胸に秘め、いくつもの町々を転々としてきたわ。命がけの冒険。苛烈なる戦い。そして孤独な日々。私は何度もくじけそうになった。でも、そのたびに母との約束を思い出す。今でも瞳を閉じれば、母の声が鮮明によみがえるわ。『ルイーズ、あなたは私の誇りよ。あなたならきっと成し遂げられる』ええ、母さん。私、絶対にあきらめない、必ず目的を果た……」
な、なっげぇ……
もう語り始めてから1時間は経ってるぞ。
要約すれば3分くらいで終わりそうな気がするんだけど、しょっちゅう脱線する上に、途中でやたらと『語り』が入るから全然話が進まない。
しかも、ルイーズ本人ですらどこまで喋ったか時々わからなくなるのか、ちょっと話が戻って、一回話した部分をもう一度話したりするし……
いつまで続くんだこの話。
ブラックボアを一撃で倒したルイーズの魔法を恐れてか、モンスターが寄ってくる気配もないし、ルイーズ自身は、これまでの冒険談を語るうちに感情が乗って来たのか、頬を紅潮させ、自分に酔ってる感じすらある。
なんか、やばい人に助けられちゃったな……
俺、これからどうなっちゃうんだろう……
腹減ったな……
今、何時くらいかな。
ポケットの中からスマホを取り出し、時間を見る。
午後の4時15分か。
昼飯を食ってないから、腹減って当然だな。
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