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第11話
そんな思いを胸に抱きながらも、なるべく柔らかい言い方で言葉を返す。
「泣きついて、それで助けてくれる優しいパパとママなんていません。それに、私は逃げるわけにはいかないんです。心配してくれてありがたいですが、こちらにもそれなりの覚悟と事情があります。どうぞお構いなく」
フレッドは目を丸くした。人身売買同然に連れられてきた哀れな小娘が、こんなふうに言い返してくるとは思ってもみなかったのだろう。私たちの間には沈黙が訪れ、風のそよぐ音だけが聞こえる。
そのまま数秒経過して、私はたった今の自分の発言を少しだけ後悔した。多少不躾だったとはいえ、フレッドはこちらの身を案じてくれたのだ。少なくとも、あんな生意気な言い方で言い返す必要はなかった。
フレッドに対してだけじゃない。ジェームスに対しても、アマンダに対しても、今日の私は必要以上に攻撃的になっている気がする。突然ブレアナの身代わりにされ、逃げることもできない運命に苛立っているからだろうか。
しかしこれでは、私の大嫌いなブレアナと同じく底意地の悪い女になってしまう。顔がそっくりで行動までそっくりになったら、正真正銘のブレアナの身代わり――複製品みたいじゃない。私は一度頭を冷やし、フレッドに謝罪した。
「申し訳ありません。生意気な態度を取りました。どうか、お許しください」
「……いや。俺の方こそ、そっちの事情も知らずに分かったようなことを言って悪かった。父上とジェームスが間違ったことをしているとわかっているのに、何もしてやれなくてすまない」
そう言って、フレッドは厳しい顔でジェームスを睨んだ。ジェームスはその視線を平然と受け流し、場を取り仕切るように言う。
「随分と無駄な時間を使ってしまいました。フレッド、早くこの三人のボディチェックをしてください。何も隠してはいないと思いますが、慣例ですからね」
そこでやっと、わざわざ正門前で馬車を降ろされた理由を理解した。万が一にも危険物を持ち込ませないために、大公家の敷地内に入れる前に門番が訪問者を調べておくということらしい。
フレッドはジェームスに返事をしなかったが、淡々と職務をこなしていく。まずローラ、次にアマンダの体を調べ、何もないことを確認すると最後に私を調べた。当然何かよからぬものが出てくるはずもなく、あっという間にボディチェックは終了する。去り際に、フレッドは小さく語りかけてきた。
「俺はフレッド。見ての通りこの屋敷の門番だ。お前の名は?」
「……ブレアナ・リースです」
「そうか。ブレアナ。頼れる両親などいないと言うのなら、何か困ったことがあったら俺に言え。少しは力になってやれるだろう。さっき、不愉快な思いをさせた詫びだ」
「泣きついて、それで助けてくれる優しいパパとママなんていません。それに、私は逃げるわけにはいかないんです。心配してくれてありがたいですが、こちらにもそれなりの覚悟と事情があります。どうぞお構いなく」
フレッドは目を丸くした。人身売買同然に連れられてきた哀れな小娘が、こんなふうに言い返してくるとは思ってもみなかったのだろう。私たちの間には沈黙が訪れ、風のそよぐ音だけが聞こえる。
そのまま数秒経過して、私はたった今の自分の発言を少しだけ後悔した。多少不躾だったとはいえ、フレッドはこちらの身を案じてくれたのだ。少なくとも、あんな生意気な言い方で言い返す必要はなかった。
フレッドに対してだけじゃない。ジェームスに対しても、アマンダに対しても、今日の私は必要以上に攻撃的になっている気がする。突然ブレアナの身代わりにされ、逃げることもできない運命に苛立っているからだろうか。
しかしこれでは、私の大嫌いなブレアナと同じく底意地の悪い女になってしまう。顔がそっくりで行動までそっくりになったら、正真正銘のブレアナの身代わり――複製品みたいじゃない。私は一度頭を冷やし、フレッドに謝罪した。
「申し訳ありません。生意気な態度を取りました。どうか、お許しください」
「……いや。俺の方こそ、そっちの事情も知らずに分かったようなことを言って悪かった。父上とジェームスが間違ったことをしているとわかっているのに、何もしてやれなくてすまない」
そう言って、フレッドは厳しい顔でジェームスを睨んだ。ジェームスはその視線を平然と受け流し、場を取り仕切るように言う。
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「俺はフレッド。見ての通りこの屋敷の門番だ。お前の名は?」
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