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第11話
「い、いや、だがしかし! あの『氷華の魔王』レオナールが率いる魔導の軍団に、かなうはずがない……! うぐぐ……! この国には雑魚の兵隊しかおらんのか! くそっ! くそぉっ!!」
人の半分程度の能力しかないくせに、プライドだけは十人前のウィルハルド王太子にとって、自らを侮辱したレオナールへの憎しみは相当なものなのだろう。思った通りのリアクションが返ってこなかったことに、アフィリアは内心で毒づいた。
(ほんと、ば~っかじゃないの、こいつ。正真正銘の馬鹿なんだから、馬鹿にされて当然でしょーが。あんたにできることなんて、私を甘やかして、宝石と特権を与えることだけよ。ま、でも、あの憎たらしいインチキ聖女のマリエラを罰したことだけは褒めてあげるわ。できるなら火あぶりで死んでほしかったけどね)
火あぶりで死んでほしかった――
人が、人に対し、これほどの殺意と憎悪を抱く原因は何だろうか? アフィリアからこれほど憎まれるようなことを、マリエラはしたのだろうか?
実は、何もしていない。それどころか、二人は口をきいたこともない。もっと言うなら、マリエラはアフィリアのことを知りもしない。
つまりはアフィリアが、一方的にマリエラを憎んでいるのだ。
アフィリアはかつて、聖女を目指していた。と言っても、聖女の実際の仕事も苦労も知らず、単に国の要職であり、多額の報酬と権威が手に入り、なおかつ目立つと思っていたから――その程度の動機である。
当然、その程度の動機の人間が聖女になれるはずもない。才能もなかったし、アフィリアが神託を受けることはなく、書類選考の段階で落選となった。誰がどう考えても当たり前の帰結なのだが、自己評価の異様に高いアフィリアは、選考者たちに激烈な怒りを抱いた。
その怒りは、妬みと絡み合い、煮詰まり、どぶのような恨みとなって、聖女マリエラに向けられることになったのである。正直言って、アフィリアはマリエラのことなどよく知らない。ただ『自分がなりたかったものになった女』――それだけで、彼女にとってはマリエラの何もかもが許せないのである。
聖女の才能はかけらほどもなかったアフィリアだが、愚かな権力者に取り入る才能に関してはトップクラスだった。下劣な色香、くだらない弁舌、良心の呵責などない嘘。この三つを上手に使い、あっという間に王太子ウィルハルドのお気に入りとなった彼女は、妬みと恨みのままに、理不尽で身勝手な復讐をやり遂げたのである。
(それにしても、マリエラを連れてったあの魔王。いい男だったわね。でもまあ、いくら美形でも魔王の女になるなんてお断りだけどね。ウィルハルド王太子への態度を見る限り、かなり冷酷そうだったし。ぷっ、くくくっ、マリエラの奴、今頃どんな目にあってるのかしら。想像するだけで笑えるわ。あはははっ)
人の半分程度の能力しかないくせに、プライドだけは十人前のウィルハルド王太子にとって、自らを侮辱したレオナールへの憎しみは相当なものなのだろう。思った通りのリアクションが返ってこなかったことに、アフィリアは内心で毒づいた。
(ほんと、ば~っかじゃないの、こいつ。正真正銘の馬鹿なんだから、馬鹿にされて当然でしょーが。あんたにできることなんて、私を甘やかして、宝石と特権を与えることだけよ。ま、でも、あの憎たらしいインチキ聖女のマリエラを罰したことだけは褒めてあげるわ。できるなら火あぶりで死んでほしかったけどね)
火あぶりで死んでほしかった――
人が、人に対し、これほどの殺意と憎悪を抱く原因は何だろうか? アフィリアからこれほど憎まれるようなことを、マリエラはしたのだろうか?
実は、何もしていない。それどころか、二人は口をきいたこともない。もっと言うなら、マリエラはアフィリアのことを知りもしない。
つまりはアフィリアが、一方的にマリエラを憎んでいるのだ。
アフィリアはかつて、聖女を目指していた。と言っても、聖女の実際の仕事も苦労も知らず、単に国の要職であり、多額の報酬と権威が手に入り、なおかつ目立つと思っていたから――その程度の動機である。
当然、その程度の動機の人間が聖女になれるはずもない。才能もなかったし、アフィリアが神託を受けることはなく、書類選考の段階で落選となった。誰がどう考えても当たり前の帰結なのだが、自己評価の異様に高いアフィリアは、選考者たちに激烈な怒りを抱いた。
その怒りは、妬みと絡み合い、煮詰まり、どぶのような恨みとなって、聖女マリエラに向けられることになったのである。正直言って、アフィリアはマリエラのことなどよく知らない。ただ『自分がなりたかったものになった女』――それだけで、彼女にとってはマリエラの何もかもが許せないのである。
聖女の才能はかけらほどもなかったアフィリアだが、愚かな権力者に取り入る才能に関してはトップクラスだった。下劣な色香、くだらない弁舌、良心の呵責などない嘘。この三つを上手に使い、あっという間に王太子ウィルハルドのお気に入りとなった彼女は、妬みと恨みのままに、理不尽で身勝手な復讐をやり遂げたのである。
(それにしても、マリエラを連れてったあの魔王。いい男だったわね。でもまあ、いくら美形でも魔王の女になるなんてお断りだけどね。ウィルハルド王太子への態度を見る限り、かなり冷酷そうだったし。ぷっ、くくくっ、マリエラの奴、今頃どんな目にあってるのかしら。想像するだけで笑えるわ。あはははっ)
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