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聞きたいけど、聞くのが怖い話
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「そう言えばモルセラ。君は何処でアリッサ嬢達と2度目の戦いをしたんだ?」
エリンジウムが政務をしながら、護衛に就いているモルセラに話し掛けた。
「魔道具を学園中に掛けてから、直ぐにです」
簡潔すぎる答えに満足しなかったエリンジウムが目で話せ、と言えばモルセラがフッと笑い、話し始めた。
カーバンクルが密猟されて数を減らしている、と聞いて直ぐにアリッサ達が動き出し、密猟者討伐隊が編成された。
「その話なら私も知っている」
殆ど表に出なかった密猟者の情報が一気に集まり、かなりの密猟者が逮捕された話だ。
「その最中に、アリッサ嬢とファルシオン先生が悪い奴らは根絶やしにしないと、と言い出して」
彼女達は、密猟者の上前を刎ねていた役人達まで2人は捕縛したのだ。
「ちょっと待て。それって……」
「はい。魔法省と内務省の癒着が明るみになり、首謀者を捕まえる時に少々いざこざがありました」
両役所の一部の人間が行なっていたとは言え、余りにも外聞が悪すぎた為、緘口令が引かれた事件である。
しかも、かなりの戦闘が行われたのだ。
「司法省が尻尾が掴めず苛立っていた事案か」
「なんでも、アリッサ嬢の2度目の人生で嫌がらせをしていた者達が絡んでいたらしく、ファルシオン先生が徹底的に潰したそうです」
モルセラが一瞬遠い目をしたから、その討伐はかなり徹底していたのだろう。
「お陰で、アリッサ嬢の兄上と姉上が有能だ、と周知されましたので不正は激減すると思われます」
事の顛末を一から十まで聞きたいが、エリンジウムは、何故か聞いてはいけない気がした。
「不正が減る事は、いい事だ」
「はい」
当然、エリンジウムは詳しい事を聞かず、モルセラはそれ以上話さなかった。
夏の長い休みも終盤に差し掛かった頃、トラップの解析が終わった、と魔法使いの塔から知らせが入り、マロウとランタナがファルシオンの元を訪れていた。
「トラップは冬のパーティーが最後で、それ以降のものはないようですね」
マロウが解析結果を見ながらファルシオンに目を向けるとファルシオンも頷いた。
「何故、ここで終わりなのかが気になります」
ランタナも不服そうに頷く。
トラップの目的を考えると、ここで終わるのは中途半端過ぎる。
「この後に何を狙っているのかが判らない」
ファルシオンも元凶を特定できたが、その目的が分からず次の手が打てないでいた。
「もしかしたら、トラップである感情を増幅させていたら此処で終わりにしても問題はありませんね」
アリッサが解析結果の書かれている紙を見ながら呟いた。
「ある感情?」
ランタナが、不思議そうにアリッサを見た。
「元凶を好意的に思う、所謂、魅了魔法の応用です」
アリッサはさり気なく言っているが、それが本当ならば、国を揺るがす事態だ。
「可能性はあるな」
ファルシオンも否定せず頷く。
「魅了魔法は禁忌の魔法。もし……。いや、そうかもしれない。アイツの言動はそう取られてもおかしく無い」
マロウの眉間の皺が深くなった。
「魅了が出来て、元凶を好意的に思う気持ちが完成すれば、後は元凶が好き勝手出来るはずです」
無表情になったアリッサをファルシオンは何も言わずに見ている。
「では、トラップに仕掛けた機能は良い目眩しになりましたね」
ランタナが不意にクスクス笑いながらファルシオン達を見た。
「トラップに何を仕掛けたんですか?」
「解析していた時、妙な音がしたのでその音が鳴るようにしました」
トラップ改造を知らないアリッサが首を傾げると、マロウが楽しげに話し始めた。
エリンジウムが政務をしながら、護衛に就いているモルセラに話し掛けた。
「魔道具を学園中に掛けてから、直ぐにです」
簡潔すぎる答えに満足しなかったエリンジウムが目で話せ、と言えばモルセラがフッと笑い、話し始めた。
カーバンクルが密猟されて数を減らしている、と聞いて直ぐにアリッサ達が動き出し、密猟者討伐隊が編成された。
「その話なら私も知っている」
殆ど表に出なかった密猟者の情報が一気に集まり、かなりの密猟者が逮捕された話だ。
「その最中に、アリッサ嬢とファルシオン先生が悪い奴らは根絶やしにしないと、と言い出して」
彼女達は、密猟者の上前を刎ねていた役人達まで2人は捕縛したのだ。
「ちょっと待て。それって……」
「はい。魔法省と内務省の癒着が明るみになり、首謀者を捕まえる時に少々いざこざがありました」
両役所の一部の人間が行なっていたとは言え、余りにも外聞が悪すぎた為、緘口令が引かれた事件である。
しかも、かなりの戦闘が行われたのだ。
「司法省が尻尾が掴めず苛立っていた事案か」
「なんでも、アリッサ嬢の2度目の人生で嫌がらせをしていた者達が絡んでいたらしく、ファルシオン先生が徹底的に潰したそうです」
モルセラが一瞬遠い目をしたから、その討伐はかなり徹底していたのだろう。
「お陰で、アリッサ嬢の兄上と姉上が有能だ、と周知されましたので不正は激減すると思われます」
事の顛末を一から十まで聞きたいが、エリンジウムは、何故か聞いてはいけない気がした。
「不正が減る事は、いい事だ」
「はい」
当然、エリンジウムは詳しい事を聞かず、モルセラはそれ以上話さなかった。
夏の長い休みも終盤に差し掛かった頃、トラップの解析が終わった、と魔法使いの塔から知らせが入り、マロウとランタナがファルシオンの元を訪れていた。
「トラップは冬のパーティーが最後で、それ以降のものはないようですね」
マロウが解析結果を見ながらファルシオンに目を向けるとファルシオンも頷いた。
「何故、ここで終わりなのかが気になります」
ランタナも不服そうに頷く。
トラップの目的を考えると、ここで終わるのは中途半端過ぎる。
「この後に何を狙っているのかが判らない」
ファルシオンも元凶を特定できたが、その目的が分からず次の手が打てないでいた。
「もしかしたら、トラップである感情を増幅させていたら此処で終わりにしても問題はありませんね」
アリッサが解析結果の書かれている紙を見ながら呟いた。
「ある感情?」
ランタナが、不思議そうにアリッサを見た。
「元凶を好意的に思う、所謂、魅了魔法の応用です」
アリッサはさり気なく言っているが、それが本当ならば、国を揺るがす事態だ。
「可能性はあるな」
ファルシオンも否定せず頷く。
「魅了魔法は禁忌の魔法。もし……。いや、そうかもしれない。アイツの言動はそう取られてもおかしく無い」
マロウの眉間の皺が深くなった。
「魅了が出来て、元凶を好意的に思う気持ちが完成すれば、後は元凶が好き勝手出来るはずです」
無表情になったアリッサをファルシオンは何も言わずに見ている。
「では、トラップに仕掛けた機能は良い目眩しになりましたね」
ランタナが不意にクスクス笑いながらファルシオン達を見た。
「トラップに何を仕掛けたんですか?」
「解析していた時、妙な音がしたのでその音が鳴るようにしました」
トラップ改造を知らないアリッサが首を傾げると、マロウが楽しげに話し始めた。
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