［完結］私、物語りを改竄します。だって、女神様が全否定するんだもん

呆然と立ち尽くす彼ら

鑑定儀式が終わった講堂で、新入生の鑑定儀式を見ていた2人の男子生徒は言葉を失ったように立ち尽くしていた。

「あれがアデリーン・アドラー公爵令嬢」
「ニール殿下」

ニールと呼ばれた、王族特有の色である銀髪の様に見える薄い金髪に母親譲りの緑の瞳をした生徒が唖然とした顔でアデリーンを見ていた。

「子供の頃、俺様の婚約者にって母上が希望したのにアイツ断りやがったんだ」

母親である王妃が憎々しげに話していた事を思い出し、ニールは眉を吊り上げた。


ニールの同世代の高位貴族の令嬢はアデリーンだけでは無く、かなりの人数が居たが王妃はアデリーンにいや、アドラー公爵家に固執し、今現在もニールの婚約者を探す事をしていない。

しかも、公爵令嬢だと言うのにアデリーンは幼い頃から王宮に出入りを全くしていなかった為彼女の事は名前しか知らなかった。

文字通り初めて見たアデリーンにニールは憎しみを感じた。

王子の自分より女子に人気があるだけで無く首席入学と言う優秀さに加え美しい容姿に恵まれ、全属性と言う優れた才能。
どれを取っても自分より優秀な存在感が憎らしい。

「ニール殿下。子供は親の影響を受けるものです。殿下の素晴らしさを知れば向こうから擦り寄ってくるはずです」
「フロン」

火属性の持ち主らしく、赤い髪に赤い目をした騎士の様な姿の青年、フロン。
だが、騎士の様な姿をしていてニールの護衛の様な事をしていても彼は騎士科の生徒ではなく、ただ少しだけ剣が使える、と言うだけ。

「少し様子を見ましょう」
「そうだな。焦る必要はないな」

2人はそう言ってついさっき受けた衝撃を誤魔化そうとしていた。