1 / 1
ウサギとワカメ
しおりを挟む
カメとの勝負に敗れたウサギは荒れていた。
悪態のかぎりを尽くし、近づく者皆傷つけた。
ネズミさん、ネズミさん、さっき向こうでネコさんがキミのことを探していたよ。血眼で。と嘘を付き
キツネさん、キツネさん、実はいい難いのだけれど、キミ達がエキノコックスで皆に嫌われているのは僕達ウサギが持っている菌のせいなんだ、ごめんね。だからもうウサギは食べないで、とデタラメを。
カラスさん、カラスさん、ナナカマドより美味しい食べもの教えてあげる。街に行ったらゴミ箱っていうところに美味しい食べものが沢山あるよ、と人間達に嫌われるように仕向けた。
ウサギはこの山の天下を取った気分になり、山の頂きで下界を見下ろした。
あの海から太陽が登り、あの山に沈んで行く、あの山を越えると何があるのだろう、あの海の向こうには何があるのだろう。ワタシはいつかあの月のいつも餅をついているべっぴんさんと結婚するんだ!
ウサギは海にやってきた。
海を覗くとワカメが話かけてきた。
ウサギさん、ウサギさん僕と勝負しませんか?
ウサギはワカメごときが何を言っているのだろう、と思いました。
ワカメさん、ワカメさん勝負って何の勝負だい?キミはせいぜいその場でユラユラしていることしかできないんだろう?ワカメなんだから、
あの山の頂上まで競争しようじゃないか、とワカメは言いました。
ウサギは耳を疑いましたが、こんなにも長い耳です。耳を疑うということは、自分自身を否定することにもなり兼ねません。耳の短いウサギは既にウサギではないのです。
ウサギは聞き返したい気持ちを抑えワカメに言いました。
ワカメさん、ワカメさんキミは海から出たらカラカラに干からびてしまうんじゃないか?
ウサギさん、ウサギさんそんなことやってみないとわからないじゃないか、まさかカメさんに負けて、また負けるのが怖いんじゃない?
ウサギはムッとして言いました。
じゃあ勝負だ。何を賭けるんだい?
ウサギさんが勝ったらウサギさんの夢を叶えてあげるよ、僕が勝ったら僕の夢を叶えて。
夢ってなんだい?
それは勝ってからのお楽しみ。
ウサギは思いました。
勝って当然の勝負だ、まぁいいだろうと。
わかった、やろうじゃないか。
じゃあ行くよ!よーいどん!
ウサギは山の頂上目指して駆けて行きました。
ウサギは振り返りワカメの様子を伺った。
やっぱりワカメはユラユラしているだけ、カメさんとの勝負では昼寝をし油断して負けてしまったけれど、今回は冬眠したって勝てる気がする。はじめから勝負になんてならないんだ。
すると急に雨が降りはじめました。
ウサギは木の根元に空いた穴で雨宿りをすることにしました。
ワカメさんはまだあの場でユラユラしているだけ、雨が止むまでひと眠りしよう。
ウサギは寝てしまいました。
一方ワカメは、ユラユラー、ユラユラー。
そこに一匹のサカナさんが通りかかりました。
サカナさん、サカナさん僕をあの山の頂きまで連れて行ってくれないか?
サカナは言いました。
ごめん、オイラ、ワカメは食べないんだ。
ワカメはユラユラしながら言いました。
僕にはニシンの卵が付いてるよ、幻の子持ちワカメなんだ。
えっまぼろしー?
じゃあ遡上したらモテモテになるんじゃないかい?
そうだよ、上流階級でセレブでマリネになれるよ!
えっマリネー?何かいい響きだね!
その話乗ったよ。
サカナさんはワカメさんをパクッとしました。
ワカメさん準備はいいかい?
この川をのぼるよ!
サカナさんは凄い勢いで川を登って行きました。
上流まで来たところでサカナさん達が集まっています。産卵のはじまりです。
ワカメさん、ワカメさんオイラの役目は終わったよ、おかげでモテモテだったよ、頂上までは連れて行ってあげられないけどお礼にあそこにいるクマさんにお願いしてみるよ。
そう言ってサカナさんはクマさんの元へやってきました。
クマさん、クマさんお願いがあるんだ。
なんだいサカナさん、キミも食べて欲しいの?
うん、食べて下さい。そして僕の中にいるワカメさんをこの山の頂上まで連れて行ってあげてほしいんだ。
クマさんは言いました。そんなことは容易いことだよ。
だが断る。
どうしてだい?
冬眠前にサカナさんを沢山食べないといけないからね。オラは忙しいんだ。
そうか、それなら良いことを教えてあげるよ。
一方ウサギさん
雨が止みそろそろ出ようとワカメさんの様子を伺った。
ワカメさんがいない!?
どういうこと?
ウサギさんは耳だけでなく目も疑った。
ウサギから赤くて可愛いまんまるお目目を取ったらウサギどころでは無くなるじゃないか、自分ははじめからウサギでは無かったのか?
いやまだ、このピョンピョン跳ねる脚がある。これはウサギの代名詞だ。
そう自分に言い聞かせてとにかく頂上へ向かって全速力でピョンピョン走り出した。
ウサギはあっという間に頂上へ辿り着いた。
良かった。ワカメさんはまだ来てないじゃないか、いっときは自分を見失いかけたが、やっぱりワタシはウサギだ。ワカメごときに負けるはずがない。今頃ワカメさんはカラカラに干からびているだろう。
すると聞き覚えのある声が、
ウサギさん、ウサギさん遅かったね、どうやら僕の勝ち見たいだ。
ウサギはまたもや耳を疑い周りをキョロキョロと見回した。
ワカメさん、ワカメさんどこにいるの?どうして声だけ聞こえるの?
ここだよ、ここ。
ウサギはまたもや目を疑った。
声の主は地面に横たわる大きなクマのフン。
僕はこんなことになっちゃったけど勝ちは勝ちだよね。
じゃあ、僕の夢を叶えさせてもらうよ。
すると草むらから大きなクマが現れてウサギさんを食べてしまいました。
おしまい。
悪態のかぎりを尽くし、近づく者皆傷つけた。
ネズミさん、ネズミさん、さっき向こうでネコさんがキミのことを探していたよ。血眼で。と嘘を付き
キツネさん、キツネさん、実はいい難いのだけれど、キミ達がエキノコックスで皆に嫌われているのは僕達ウサギが持っている菌のせいなんだ、ごめんね。だからもうウサギは食べないで、とデタラメを。
カラスさん、カラスさん、ナナカマドより美味しい食べもの教えてあげる。街に行ったらゴミ箱っていうところに美味しい食べものが沢山あるよ、と人間達に嫌われるように仕向けた。
ウサギはこの山の天下を取った気分になり、山の頂きで下界を見下ろした。
あの海から太陽が登り、あの山に沈んで行く、あの山を越えると何があるのだろう、あの海の向こうには何があるのだろう。ワタシはいつかあの月のいつも餅をついているべっぴんさんと結婚するんだ!
ウサギは海にやってきた。
海を覗くとワカメが話かけてきた。
ウサギさん、ウサギさん僕と勝負しませんか?
ウサギはワカメごときが何を言っているのだろう、と思いました。
ワカメさん、ワカメさん勝負って何の勝負だい?キミはせいぜいその場でユラユラしていることしかできないんだろう?ワカメなんだから、
あの山の頂上まで競争しようじゃないか、とワカメは言いました。
ウサギは耳を疑いましたが、こんなにも長い耳です。耳を疑うということは、自分自身を否定することにもなり兼ねません。耳の短いウサギは既にウサギではないのです。
ウサギは聞き返したい気持ちを抑えワカメに言いました。
ワカメさん、ワカメさんキミは海から出たらカラカラに干からびてしまうんじゃないか?
ウサギさん、ウサギさんそんなことやってみないとわからないじゃないか、まさかカメさんに負けて、また負けるのが怖いんじゃない?
ウサギはムッとして言いました。
じゃあ勝負だ。何を賭けるんだい?
ウサギさんが勝ったらウサギさんの夢を叶えてあげるよ、僕が勝ったら僕の夢を叶えて。
夢ってなんだい?
それは勝ってからのお楽しみ。
ウサギは思いました。
勝って当然の勝負だ、まぁいいだろうと。
わかった、やろうじゃないか。
じゃあ行くよ!よーいどん!
ウサギは山の頂上目指して駆けて行きました。
ウサギは振り返りワカメの様子を伺った。
やっぱりワカメはユラユラしているだけ、カメさんとの勝負では昼寝をし油断して負けてしまったけれど、今回は冬眠したって勝てる気がする。はじめから勝負になんてならないんだ。
すると急に雨が降りはじめました。
ウサギは木の根元に空いた穴で雨宿りをすることにしました。
ワカメさんはまだあの場でユラユラしているだけ、雨が止むまでひと眠りしよう。
ウサギは寝てしまいました。
一方ワカメは、ユラユラー、ユラユラー。
そこに一匹のサカナさんが通りかかりました。
サカナさん、サカナさん僕をあの山の頂きまで連れて行ってくれないか?
サカナは言いました。
ごめん、オイラ、ワカメは食べないんだ。
ワカメはユラユラしながら言いました。
僕にはニシンの卵が付いてるよ、幻の子持ちワカメなんだ。
えっまぼろしー?
じゃあ遡上したらモテモテになるんじゃないかい?
そうだよ、上流階級でセレブでマリネになれるよ!
えっマリネー?何かいい響きだね!
その話乗ったよ。
サカナさんはワカメさんをパクッとしました。
ワカメさん準備はいいかい?
この川をのぼるよ!
サカナさんは凄い勢いで川を登って行きました。
上流まで来たところでサカナさん達が集まっています。産卵のはじまりです。
ワカメさん、ワカメさんオイラの役目は終わったよ、おかげでモテモテだったよ、頂上までは連れて行ってあげられないけどお礼にあそこにいるクマさんにお願いしてみるよ。
そう言ってサカナさんはクマさんの元へやってきました。
クマさん、クマさんお願いがあるんだ。
なんだいサカナさん、キミも食べて欲しいの?
うん、食べて下さい。そして僕の中にいるワカメさんをこの山の頂上まで連れて行ってあげてほしいんだ。
クマさんは言いました。そんなことは容易いことだよ。
だが断る。
どうしてだい?
冬眠前にサカナさんを沢山食べないといけないからね。オラは忙しいんだ。
そうか、それなら良いことを教えてあげるよ。
一方ウサギさん
雨が止みそろそろ出ようとワカメさんの様子を伺った。
ワカメさんがいない!?
どういうこと?
ウサギさんは耳だけでなく目も疑った。
ウサギから赤くて可愛いまんまるお目目を取ったらウサギどころでは無くなるじゃないか、自分ははじめからウサギでは無かったのか?
いやまだ、このピョンピョン跳ねる脚がある。これはウサギの代名詞だ。
そう自分に言い聞かせてとにかく頂上へ向かって全速力でピョンピョン走り出した。
ウサギはあっという間に頂上へ辿り着いた。
良かった。ワカメさんはまだ来てないじゃないか、いっときは自分を見失いかけたが、やっぱりワタシはウサギだ。ワカメごときに負けるはずがない。今頃ワカメさんはカラカラに干からびているだろう。
すると聞き覚えのある声が、
ウサギさん、ウサギさん遅かったね、どうやら僕の勝ち見たいだ。
ウサギはまたもや耳を疑い周りをキョロキョロと見回した。
ワカメさん、ワカメさんどこにいるの?どうして声だけ聞こえるの?
ここだよ、ここ。
ウサギはまたもや目を疑った。
声の主は地面に横たわる大きなクマのフン。
僕はこんなことになっちゃったけど勝ちは勝ちだよね。
じゃあ、僕の夢を叶えさせてもらうよ。
すると草むらから大きなクマが現れてウサギさんを食べてしまいました。
おしまい。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる