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side エドガー
隣国の王子 エドガー
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「は? どういうことだ?」
戦地から王城へと戻った僕は、数日前の新聞の記事を読んで頭の中が真っ白になった。
アメリア嬢が処刑されただと!? 聖女を殺そうとした? あのアメリア嬢が? ふざけるな! 何かの間違いに決まっている!!
そのふざけた内容に怒りが込み上げ、手にしていた新聞を真っ二つに引き裂いた。
アメリア嬢と出会ったのは八年前。イースト国で開かれた他国交流パーティーに、ウエスト国の第一王子として招待された時の事だった。
「エドガー王子、こちらが私の娘のアメリアです。今年で十歳になりました」
父親に紹介されたアメリア嬢は、ニッコリと私に微笑みかけ、スカートを摘んでお辞儀をしてみせた。
その姿がなんとも可愛らしい妖精さんのようで、胸が高鳴るのを感じた。
アメリア嬢と僕は、同じ年齢だった事もあって、すぐに打ち解けた。
誰に対しても笑顔で接するアメリア嬢の評判は良く、僕もそんな彼女の笑顔に惹かれていった。
だが、ふとした時に彼女が見つめる視線の先には、常にサルウェル王子がいた。
恋する乙女の様に、サルウェル王子を見るアメリア嬢に僕は苛立ちを覚えた。
衝動的に、彼女が付けていた髪飾りを掴み取り、走り出した僕は人にぶつかって髪飾りを落としてしまった。
髪飾りは誰かの足によって踏まれ、グシャッと不吉な音を発し、装飾部分が潰れてしまった。
壊すつもりなんてなかった。彼女の気を引いたらすぐに返すつもりだった。
(どうしよう、彼女に嫌われてしまう……。とにかく、同じデザインの物をすぐに用意しないと……)
壊れた髪飾りを拾い、どう謝ろうかと考えていると、アメリア嬢が僕の所へやってきた。
彼女は壊れた髪飾りを暫くジッと見つめた後、顔を上げた。
「形あるものはいずれ壊れますわ。この髪飾りはきっと、ここで壊れる運命だったのでしょう。どうか気にしないで下さいませ」
そう言ってニッコリと笑う彼女の表情が、悲しみを必死に堪えている様に見えて胸がツキンと痛んだ。
同じ物を用意したとしても、きっと彼女は喜ばない。そんな事はしないでほしい、と言われている気がした。
壊れた髪飾りが、亡くなった彼女の母親の唯一の形見だったと知ったのは、もう少し後の事だった。
自分が恥ずかしかった。
僕は自分の事しか考えていなかった。なのに、彼女は自分が傷付いているにも関わらず、僕を気遣ってくれていた。
同じ年のはずなのに、彼女は僕よりもずっと大人だった。
その出来事をきっかけに、僕は自分の行動を見つめ直した。
何かと不平不満を漏らしていた口を閉ざし、反抗心から繰り返していたイタズラも全てやめた。
いつか彼女と再会しても恥ずかしくないよう、心を入れ替えた僕は、この国の王太子として相応しい人物になるべく努力を惜しまなかった。
そのことが認められ、正式に王位継承権を手にした僕は、国民からも期待されるようになった。
それなのに――
彼女にもう会うことが出来ないなんて。
居ても立っても居られなくなった僕は、ある男性の元へと向かっていた。
以前、戦地に取り残されていた彼を助けた僕は、この国で住める場所を与えた。
「この御恩は一生忘れません。貴方がもしも本当に困った時には是非、私を訪ねてください。どんな不可能な事でも、可能にして差し上げましょう」
彼と別れの挨拶を交わした時、そんな事を言っていた。
それならば、死んだ人を甦らせる事も可能なのか?
そんな夢物語みたいな事を思ってしまうくらい、僕は彼女が死んだ事実を受け入れられなかった。
戦地から王城へと戻った僕は、数日前の新聞の記事を読んで頭の中が真っ白になった。
アメリア嬢が処刑されただと!? 聖女を殺そうとした? あのアメリア嬢が? ふざけるな! 何かの間違いに決まっている!!
そのふざけた内容に怒りが込み上げ、手にしていた新聞を真っ二つに引き裂いた。
アメリア嬢と出会ったのは八年前。イースト国で開かれた他国交流パーティーに、ウエスト国の第一王子として招待された時の事だった。
「エドガー王子、こちらが私の娘のアメリアです。今年で十歳になりました」
父親に紹介されたアメリア嬢は、ニッコリと私に微笑みかけ、スカートを摘んでお辞儀をしてみせた。
その姿がなんとも可愛らしい妖精さんのようで、胸が高鳴るのを感じた。
アメリア嬢と僕は、同じ年齢だった事もあって、すぐに打ち解けた。
誰に対しても笑顔で接するアメリア嬢の評判は良く、僕もそんな彼女の笑顔に惹かれていった。
だが、ふとした時に彼女が見つめる視線の先には、常にサルウェル王子がいた。
恋する乙女の様に、サルウェル王子を見るアメリア嬢に僕は苛立ちを覚えた。
衝動的に、彼女が付けていた髪飾りを掴み取り、走り出した僕は人にぶつかって髪飾りを落としてしまった。
髪飾りは誰かの足によって踏まれ、グシャッと不吉な音を発し、装飾部分が潰れてしまった。
壊すつもりなんてなかった。彼女の気を引いたらすぐに返すつもりだった。
(どうしよう、彼女に嫌われてしまう……。とにかく、同じデザインの物をすぐに用意しないと……)
壊れた髪飾りを拾い、どう謝ろうかと考えていると、アメリア嬢が僕の所へやってきた。
彼女は壊れた髪飾りを暫くジッと見つめた後、顔を上げた。
「形あるものはいずれ壊れますわ。この髪飾りはきっと、ここで壊れる運命だったのでしょう。どうか気にしないで下さいませ」
そう言ってニッコリと笑う彼女の表情が、悲しみを必死に堪えている様に見えて胸がツキンと痛んだ。
同じ物を用意したとしても、きっと彼女は喜ばない。そんな事はしないでほしい、と言われている気がした。
壊れた髪飾りが、亡くなった彼女の母親の唯一の形見だったと知ったのは、もう少し後の事だった。
自分が恥ずかしかった。
僕は自分の事しか考えていなかった。なのに、彼女は自分が傷付いているにも関わらず、僕を気遣ってくれていた。
同じ年のはずなのに、彼女は僕よりもずっと大人だった。
その出来事をきっかけに、僕は自分の行動を見つめ直した。
何かと不平不満を漏らしていた口を閉ざし、反抗心から繰り返していたイタズラも全てやめた。
いつか彼女と再会しても恥ずかしくないよう、心を入れ替えた僕は、この国の王太子として相応しい人物になるべく努力を惜しまなかった。
そのことが認められ、正式に王位継承権を手にした僕は、国民からも期待されるようになった。
それなのに――
彼女にもう会うことが出来ないなんて。
居ても立っても居られなくなった僕は、ある男性の元へと向かっていた。
以前、戦地に取り残されていた彼を助けた僕は、この国で住める場所を与えた。
「この御恩は一生忘れません。貴方がもしも本当に困った時には是非、私を訪ねてください。どんな不可能な事でも、可能にして差し上げましょう」
彼と別れの挨拶を交わした時、そんな事を言っていた。
それならば、死んだ人を甦らせる事も可能なのか?
そんな夢物語みたいな事を思ってしまうくらい、僕は彼女が死んだ事実を受け入れられなかった。
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