堀川零。

坂伊京助。

文字の大きさ
1 / 1

~三日目前の雨衣氏別荘~

しおりを挟む
 その屋敷は青々と生い茂った森の中にひっそりと存在していた。外観は古めかしい日本家屋の様でもありながら屋根からはレンガ造りの煙突が伸びている。正面の観音開きの扉を開けるとその内装は、外観とは打って変わって西洋の館を想像させる造りとなっている。一階は、正面から右側に部屋が一つと四隅にそれぞれ小さな部屋があるが現在は、半分物置状態になっている。そして反対側には小さな厨房が一つある。建物の中に入って正面にある階段を上り二階へ行くと一人で使うのには少し広い部屋が四つ。
 その日、雨衣氏の別荘には四人の訪問者があった。一人目は、笠井聡、三十五歳、男性。笠井は、雨衣貞彦の秘書をしていた男。笠井聡は、仕事ができる部類の人間で雨衣からの信頼も厚く、同僚からも一目置かれている。笠井自身も雨衣の事を心から尊敬していて雨衣の下で働いていることを誇りに思っている。
 二人目は、絹谷淳、二十六歳、男性。若き研究者で、絹谷の研究に雨衣は多額の資金援助をしていた。そして絹谷の研究が認められ権威のある賞を受賞することができた。受賞後のメディアの取材でも雨衣への感謝を述べている。三人目は、古志谷志保、二十八歳、女性。古志谷は、雨衣本人がライバル会社から直接ヘッドハンティングをしてきた敏腕の営業。部下の育成にも大変、長けていて上司や同僚からの信頼もある。ヘッドハンティングをされた際に一度は断ったが、雨衣からの熱烈なアピールに最後は首を縦に振った。四人目は、雨衣健二、四十歳、男性。雨衣貞彦の息子、四十歳にして今だに定職にも就かずにいるが、ただの遊び人という訳ではなく。アルバイトなどで資金を貯めては、発展途上国の子どもに勉強を教えている。そして、貞彦を除く親族からは一族の面汚しと言われ忌み嫌われている。しかし、貞彦だけは密かに健二の味方をしている。五人目は、眞田正樹、十九歳、男性。眞田は、絵描きを目指して新聞配達のバイトなどをしながらプロの絵描きを目指している青年である。貞彦が屋敷の完成をしに足を運んだ時に眞田の姿を目にし、その一生懸命さに心を打たれて話しかけたことが二人が知り合ったきっかけである。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)その後

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合つまた。 その後、大学を卒業した祐輔(ユウスケ)の新たなストーリーが始まった。 全15話を予定

処理中です...