八月三十一日の向日葵

みのる

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マサルさん

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『あ、今の言葉…
もしかして気に障った?ごめんね』

ある人が私を気遣い、付け加えた台詞である。

『いえ、別に大丈夫です』

この時、本当に私はその人に対してそんな感情は皆無であった。
結構この「マサルさん」は、人からの自分への反応を気にする人である。

(別に気になるような事は言われてないんだけど……)

私もどちらかと言うと、マサルさんのように人の反応を逐一気にするタイプではある。

私は痛いほどに熟知している。
こういうタイプの人間は、相手を気遣うあまりに知らず知らずのうちに自分がストレスを被っている。

だからそんなマサルさんの為にも、

『そんなに相手を気遣わなくても大丈夫ですよ』

伝えてはいるのだが、マサルさんの性格がもうそうプログラムされているのであろう。


人の性格は簡単には変わらない。

そんな中でも相手も自分もストレスを蓄積しないような環境に近づけてゆくのには一体どうすれば良いか?

……頭の回転のよろしくない私には大きな宿題である。


自分が相手に放ってしまった言葉は、どんなに後悔しても過去の自分の行動の結果であるからしてどうしようもないものなので。

私は相手と言葉を交わす時は特に気をつけるようにしているつもりである。


そんなワケで、私から会話を切り出す事は極めて稀である。
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