【桑原家外伝】入れ歯物語

みのる

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本編

おふくろの味

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今日もカクラ夫妻がやってきた、ワシの家に。手には買い物袋。
『台所、お借り出来ますか?』
と、家内に申し出るのは、キヨナさん。家内は快く、
『あぁ、いいよ?…何作るんだい?』
と、キヨナさんに聞く。
『…きっと、クラナも喜んでくれると思います(照)』
ちょっと恥ずかしげに。
そしてキヨナさんは、1人で台所に立った。

その間、ワシはカクラと雑談。無論題材は『クラナについて』。ワシは、カクラに今までクラナと食べに行った物を語った。(…まだ、あんまり無いのう…(笑))意外な場所での息子との遭遇など、語り始めたら、火がついて止まらなくなっとった。
ほどなくして、台所から用事を終えたキヨナさんが現れた。


『クラナ、ママの作った「おみそしる」のんでくれる?』
そう言って、まだ湯気の立つ出来たての味噌汁を持ってきた。
『ちょっと熱いかもしれないから、「ふーふー」してから飲むのよ?』
ワシの入れ歯クラナが、
“うん!ありがとう!ぼく、ままのつくったおみそしるだいすき♪”と、母親キヨナさんに嬉しそうに言う。

ワシは、持って来てもらった味噌汁を見る。
”ぼくのだいすきな、『とうふとわかめのおみそしる…』“
ワシはひと口飲む。
『”あのときとおなじあじだ………………“』
何故かワシは、そう口走り、とめどなく涙が流れ落ちた。

(これは、クラナの記憶…?)
ー食卓を、カクラとキヨナさん、そしてクラナの3人で囲み…笑いながら朝食を摂っている姿ー

ワシは味噌汁を最後の一滴まで飲み尽くし、
『”ごちそうさま、まま。おいしかったよ“』
それでも、涙が止まらなかった。



感動的な場面に……ならなかった……OTL
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