【桑原家外伝】入れ歯物語

みのる

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本編

憧れの夏祭り

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今日は、街の『夏祭り』じゃ!入れ歯クラナが朝から待ち切れなくてワクワしとった。
『ワシと、夕方「夏祭り」に行こうかの?』
見かねたワシは、入れ歯クラナを夏祭りに誘う。
”ぼく、おまつりいままでいったことないの…“と、とても嬉しそうに入れ歯がカタカタ鳴った。(まだ、わたあめくらいしか食べれんからのぅ…(哀れ))


夕方、ワシは『夏祭り』に出かけた。さすが祭り、花火も上がるから人でごった返しとる!
”うわぁ…(感嘆)すごいひと…“入れ歯は雰囲気に大はしゃぎじゃ。
(生きていた時に…雰囲気だけでも味わえたら良かったのにのぅ)ワシは祭りに連れて行って貰えなかった孫を再度哀れんだ。
歩いていくと、入れ歯クラナが、
”じぃじ、あれたべたい‼“と、1軒のテキ屋さんをワシの意識に映像を送る。ー丸く、温かい湯気を発する、実にワシ好みの食べ物、ーたこ焼きー
ワシも食べたくなり、
『よし!買うか!』
とお店に向かう。

『らっしゃぁい!』
威勢のいい兄ちゃん。
『1つ貰おうかの?』
とワシ。
『あいよ~』
と出てくる焼き立てのたこ焼き。
『ありがとうの。』
とお金を払う。
『毎度ありぃ!』
店を後にするワシら。
”たこやき…たのしみ、おいしそう…“入れ歯クラナが初めてのたこ焼きに感動する。
『どれ…いただくかの。』
と、人気の無いところに座る場所を見つけ腰を下ろす。
『“いただきます”』
熱々のたこ焼きを1つ、頬張る。程よい生地の焼け具合。ソースの甘辛さ。全てがワシ好みで、
『“おいしいなぁ………”』
と2人で楽しんだ。
全て食べてしまい、残念に思いながら、
『“ごちそうさまでした”』
と、次を探す。

“じぃじ!つぎは、『りんごのやつ』たべたい‼”おぉ、『リンゴ飴』じゃな。
ワシはリンゴ飴を買いに行った。
『いらっしゃい♪』
今度は優しそうなお姉ちゃん。
『1つ、貰えるかの?』
『ありがとうございます、どれにしますか?』
色んな色がある。うーむ…
『クラナ、どれがいい?』
ワシは訊ねる。
“あかいのがいい!”迷いもなく、赤いリンゴ飴を選んだ。
『この、赤いのを貰おう。』
お姉ちゃんは、
『毒ははいっていませんからね(笑)』とお茶目な事を言う。
お金を払って、店を後にするワシら。


『少し行儀が悪いが、歩きながら食べるかのぉ。』
とワシはビニールを外した。
“たのしみだなぁ(ドキドキ)”期待いっぱいのクラナ。
そこにまた見馴れた親子4人の背後姿が!

ワシは『おぉ~い!!』と声をかけた。
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