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多分こんな事が行われているんじゃないか?

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『おう、上がれよ』

『『毎度お邪魔しまぁ~す♪』』

慣れた様子で俺ン家のドアを開け、靴を脱ぐふたり。

ナツオとカレナ。
ふたりは俺と同じ仕事場の後輩だ。
出会った頃からコッチが目も当てられない程に熱々のカップルである。

俺は年老いた父親とふたりで一軒家に暮らしている。
今は「事情」で父親は外出している。

ーふたりで暮らすには割と広すぎるこの2階建ての家ー


『早速、お前らふたりで先にシャワー浴びろよ』

『じゃあ!遠慮なくお借りしまぁす♡』

そう言うと、ふたりはまるで我が家の如くに颯爽と2階へと向かう。
既に何処に何があるかやら全てを記憶している彼らは、あたかも当然のように2階にある衣装ケースよりバスタオルを1枚取り出す。

『センパイ、タオルお借りしますよ~』

『あぁ!!』

ナツオのバカデカい声が家中響き渡る。
ヤツらに届くよう、俺も声を張り上げる。



「…………しかし……ミオのヤツ、遅ぇな……」

壁にかかる時計に目をやる。
短針が「10」という数字を指していた。

やがて、上から水が天井を叩きつける音が聞こえてきた。

「ぼちぼちラウンドワンの開始かね」

シャワールームの中で行われている試合を想像すると、俺のコカンも熱を持ち始める。


♪♪♪~

『あ、ミオからのLINE』

即座に開いてみると、

「「ゴメン、ちょっと今日は無理かも」」

俺は思わず地に着きそうな程に肩を落とした。

『~~~っンだよ!来れねぇってのか!?』

腹いせに手に持つスマホを床に投げつける。
ハズミでスマホからカバーが吹っ飛んだ。

まぁ………良いか、
ヤスダセンパイの友達も今日は来ることになってるし?
ナツオたちの同期も来るってったな。



そこに…………

♪ピンポーン♪♪

呼び鈴が来客を示した。
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