ブラックベリーとラズベリー

みのる

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龍樹の決意(ハタチの告白の後)

夜のデート※

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デートを何度か重ねて……ある日、僕は遂に‼陽菜さんを「夜のデート」にお誘いする事に成功した。
でも、その日は陽菜さんは仕事の日らしい。(無念)
僕は夜7時に、前の嬢ちゃん広場での待ち合わせを獲得した。


今度こそ‼姉ちゃんを……(良からぬ考え)


しかし、気がつけばもうすぐ2月だ。約束の期限が近づいている。どんなにデートを重ねても陽菜さんの僕に対する態度は”甥っ子“を見る目そのもの。
いや、いやいや‼諦めてはいけないのだ!
陽菜さん以外の女性なんて僕の目には映らない。
でも陽菜さんは……?やはり僕は陽菜さんの「甥っ子」にしかなれないのだろうか?

今日は陽菜さんとご飯食べて(無論マッグとかでは無い)そうだな、パスタとか好きそうだな♡
そのあとショットバーとかに連れてって…


陽『あたし~ちょっと酔っちゃったみたい~♡(ヨロリ)』

龍『陽菜さん、大丈夫かい?(キリッ)…あそこの建物で…少し休もうか?』

陽『うん……♡』


計画はバッチリだ~っ‼←アンタ少し変わったね?


と、1人で妄想していると、もう時間の5分前だ⁉向こうから走ってくる人影。

『ハァッ!ハァッ!…ま、間に合った……!お待たせ、龍樹』

…まぁ、帰ってる暇など無かったのだろうな。仕事帰りそのまんまな陽菜さん。(どんな格好でも陽菜さんは陽菜さんは陽菜さんだ‼)

僕もお腹減ったので、陽菜さんに何が食べたいか聞いてみる。すると、意外な答えが返ってきた。

『居酒屋で、焼き鳥食べたい‼』


えぇ~っ‼焼き鳥??パスタでは無く?


早くも僕の予想は外れた。街にはちょうど居酒屋が何軒かある。美味しいと評判な「あい鶏」に行く事になった。

居酒屋あい鶏の暖簾をくぐる。

『らっしゃいませー‼』

と威勢のいい声がかかる。僕達はカウンター席に通された。
お通しを出され、陽菜さんがメニューを広げる。

『とりあえず焼き鳥とチューハイよね~♪』

…僕は…なににしようかな?(鶏は嫌いではない)

因みに!僕はこの日初めての飲酒である。…やはり飲みやすいのはチューハイなのかな?
(でも陽菜さんには聞けない)
陽菜さんは早速店員を捕まえてオーダー。

『えっと、焼き鳥盛り合わせと…グレフルのチューハイ下さい!龍樹は?』

と陽菜さんに聞かれ僕も同じ物をと店員に告げた。


……ところで……、陽菜さんはお酒に強いの…かな?(大きな謎)


『おまっせ致しましたァ‼グレープフルーツのチューハイ2つです!』

まずはチューハイからやってきた。陽菜さんは忘れずに僕に祝いの言葉をくれる。

『初めての飲酒に…カンパイ‼』

カチンっ…とジョッキを合わせる。
そして…陽菜さんは……
瞬く間に‼それ(一杯目)を喉に流し込んだ。

そしてすかさず、店員を捕まえ…


『お兄さん、今度は青リンゴチューハイ1つね~!』

そのあまりのハイペースぶりに…僕の目は点となった。

程なくして、

『おまっせ致しましたァ!焼き鳥盛り合わせ2つになりまぁす!』

山と盛られた多種多様な焼き鳥の部位の盛り合わせ、到着。陽菜さんはそれはそれは美味しそうに頬張り始めた。


何か…何か野菜が必要だ!(僕だけでも)


と焦りを感じた僕はメニューを開く。ん~、「シャキシャキキャベツ」…これだァ‼
と僕も店員を捕まえてオーダー。

『すみません!このシャキシャキキャベツを1つ下さい‼』

店員の、

『お待ち下さいませ~‼』

という威勢の良い返事が聞こえた。

『おまっせ致しましたァ!青リンゴチューハイとシャキシャキキャベツになりまぁす!』

陽菜さんは店員からまたそれを受け取り……更にごくごくと流し込む。


陽菜さんは(間違いなく!)お酒に強い…OTL


僕は1杯目半分にして既に「あ、もう結構です!」状態である。


でも、陽菜さん…明らかになんかテンションが高い…(これはイケるのか⁉)←淡い期待


僕はシャキシャキキャベツを貪りながら陽菜さんの様子を伺う事にした。
陽菜さんは、3杯目に突入した。

『お兄さぁん!白桃のチューハイ1つとぉっ!また焼き鳥盛り合わせ!』

注文を控えた店員の元気な一声。

『お待ち下さいませ‼』

陽菜さんは、なんか会社の愚痴をぐちぐち吐き始めた。(陽菜さんの気持ちが楽になるなら幾らでも)

『ウチの課長がさぁ、ものすっごくイヤミなんだァ…!「高須賀さん、この数字は“1”なのか?それとも“7”なのか?」って…あたしの文字がそんなに読めないのかってねぇ‼』


ひ…陽菜さん…(ダラリダラダラ…)もうその辺りで止めた方が…


『あり?…無くなっちった♪…もぉ1杯…♡』

いや、いやいや!陽菜さん!そろそろ止めといて下さい‼僕は陽菜さんからメニューを取り上げて、

『ほ、ほら!烏龍茶にしよう?今日はもう飲み過ぎだよ…!』

陽菜さんは据わった目で僕の事を見る。

『……なんだぁ⁉龍樹まであたしに文句言うのかァ~⁉』
違う!違います!陽菜さん‼…ただ、お酒はもう控えた方が……


隣の席では、何処かの大学の兄ちゃんと姉ちゃんが飲み会をしていた。

『岡田泰昭!いただきます‼』

ぐびぐびと豪快に喉を鳴らす兄ちゃん。
それにその他の人達からの歓声が上がる。

『よっ!岡田ちゃん!良い飲みっぷり♪』

どっかの大学生みたいな人がもてはやす。
ジョッキ1杯の麦酒を空けた兄ちゃんが言う。

『ごちそうさまでしたぁ‼』

陽菜さんは…なんかぶちぶち言いながら焼き鳥食べてる…(滝汗)烏龍茶片手に。
僕は陽菜さんにおそるおそる言う。

『ひ、陽菜さん?そ…そろそろお茶漬けでも食べて…次、行かない…?』

するとそれまで据わった目で僕の事を見ていた陽菜さんが…目付きを変えて僕に言う。

『お茶漬け…♡あたし、梅ねぇ♪』


酒乱……酒乱って奴なのか?これ……


陽菜さんに梅茶漬けを頼み、自らも同じ物をお願いする。程なくして、お茶漬けがやってきた。
それを相変わらずのぐでんぐでん具合で口に運ぶ陽菜さんに、僕は告げる。

『陽菜さん?…コレ食べたら…もうココ出ようよ?……飲み直しに行こう?』

陽菜さんはお茶漬けを啜りながら、僕を見て

『うんっ‼』

と頷いてた。


僕は、嘘は言ってないよ?


お会計を何とか僕が支払い、陽菜さんを支えて街の灯りの迷路を彷徨う。漸く辿り着いたその場所。ー言わずと知れた、あの場所ー



てか…キタナイ夜景…
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