3 / 3
春の誘い
しおりを挟む春の桜が、まるで私を嘲笑うようにふわふわと舞っていた。高校3年生になったばかりの私は、人目につかないよう下校ルートを急いでいた。クラスではいつも隅っこで、目立たないのが私の居場所。友達はほとんどいないし、目立つなんて考えただけで冷や汗が出る。そんな私が、こんな春の夕暮れに、人生最悪の恥をかくなんて、想像もしていなかった。
朝からバタバタしてた。授業の合間にトイレに行く勇気がなくて、いつも人の少ない時間を見計らうのに、今日はタイミングを逃した。昼休みも、教室の喧騒に圧倒されて、隅で本を読んでいたらトイレのことを忘れてた。放課後、先生に呼ばれて進路の話を少ししたけど、緊張で頭が真っ白になって、やっぱりトイレに行けなかった。家まで我慢すればいい…そう思って、Y駅に向かった。
桜の花びらが地面に散る中、Y駅に着いたとき、尿意が急に襲ってきた。お腹の奥が、ずんって重くなる感じ。「うっ…まずい、かな…」。駅のトイレに寄ろうかとちらっと頭をよぎったけど、ホームに電車が来る音が聞こえた。「K町のコンビニまで…10分くらい、だよね…我慢できる、たぶん」。自分に言い聞かせて、電車に乗り込んだ。
電車の中は、春なのにちょっと寒かった。窓の外の桜を見ながら、太ももをぎゅっと閉じて、なんとか尿意を抑えた。座席は全部埋まってて、立ってるしかなかった。周りの人の視線が怖くて、俯いて本を読むふり。K町までは3駅。時計をチラチラ見て、心の中で「早く、早く」って呟いた。
K町の駅に着いたとき、尿意はもう限界ギリギリだった。改札を抜けるたびに、歩く振動でお腹がキリキリした。「だ、大丈夫…コンビニまで、すぐそこ…」。駅前の横断歩道を渡れば、いつものコンビニがある。そこまでたどり着ければ…。私は下を向いたまま、急いで歩いた。桜の花びらが靴にくっついて、なんだか余計に恥ずかしくなった。
でも、横断歩道の真ん中で、最初の失敗が起きた。信号待ちで立ち止まった瞬間、緊張が少し緩んで、ちょろっと温かいものが漏れた。「…っ! や、やば…」。慌てて力を込めて止めたけど、パンツがじんわり湿ってるのが分かった。スカートが濃い色でよかった、誰も気づかない…はず。でも、心臓がバクバクして、顔が熱い。誰か見てないよね? 見られてたら…考えただけで頭が真っ白。
「まだ…まだ大丈夫、コンビニまで…」。自分を励まして、横断歩道を渡り終えた。コンビニの明かりが見えた瞬間、ちょっとだけ安心した。トイレまであと少し。だけど、その安心が命取りだった。ガラスドアに手をかける直前、膀胱がもう耐えきれなかった。
「…だ、だめっ…」。ジョロジョロって音が、静かな夕暮れに響いた。おしっこが一気に溢れて、パンツを突き抜けて、太ももを伝って、ストッキングを濡らした。地面に小さな水たまりができて、春の風が冷たく足に当たる。周りの人の視線が、まるで私を刺すみたいだった。高校3年生で、こんな…こんな恥ずかしいこと…。
コンビニのトイレに駆け込んで、個室に閉じこもった瞬間、涙がぼろぼろ溢れた。「なんで…なんで私が…」。濡れたスカートをどうにか拭きながら、情けなくて、恥ずかしくて、ただ泣いた。目立たないように生きてきたのに、こんな目立つ失敗をするなんて。誰かに見られてたら…もう学校行けない…。
桜の季節が来るたびに、この日のことを思い出す。恥ずかしさは少し薄れたけど、あの時の自分に言いたい。「…大丈夫、誰もそんなに気にしてないよ。たぶん」。それでも、トイレのタイミングだけは、絶対に逃さないって、心に刻んだ。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる