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捕まっちゃった件。
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重たい瞼をこじ開けながら起きる朝6時半。あの告白の日から約五年が経った今、俺は立派な社会人の一人として生きている。
高校卒業後、無事県外の大学に進入でき、亮とは顔を今でも合わすことなく引越した。実はあの後、亮からの連絡が怖くて連絡先を消したのはいい思い出だ。
…そういえば、友達の一人が執拗に「亮の連絡見た?」と聞いてきたが、あれはなんだったんだろう。俺の事を話したんだろうか?その割には友達は何も言ってこなかったけど。
この五年間、色々あった。それこそ、彼女も一瞬ではあったがいたし、合コンも沢山出た。どれも、亮と比べてしまう自分に嫌気がさすだけだったけど。
今、亮は何してるかな?
そう気づけば考えてしまっていたし、その度に可愛い彼女作ってるんだろうな、だなんて勝手に傷ついて。
けどまあ。五年という年月は気持ちが落ち着くには十分な時間だったらしい。
もうこんな事をしていたのを、初恋は叶わない、なんて言うしなぁ。と笑えるようになったのがいい証拠だろう。
今なら、もし亮に会ったとしても平気かな。まあ会う気はないし、向こうもいい迷惑だろうから、実家には相変わらず帰らないし、クラスの同窓会も行ってない。
同窓会に関しては、誰が可愛くなってた、金持ちになってた、だなんてのは友達から聞いていたから少し行ってみたい気持ちにはなったけど。
結局、悪気はなかったんだろうけど、亮が女の子といい雰囲気だった、だなんて言われて、思い出して落ち込んでたから行かなかったんだよな。
まあ!そんな話は終わりにしよう。
最後にカバンを持って家を出る。今日は同期の山田と飲み会だ。仕事早く終わらせて山田の奥さんの惚気でも聞くか!
だなんて思って、仕事を終わらせて、山田と飲みに行った事までは覚えてるんデスけども。
「…は?」
「ん?どーしたの、奏太?」
ニッコリ、という効果音が付きそうな顔で笑っている亮。しかも、俺に馬乗りになっている。
俺の頭の中は???で埋め尽くされた。え、なんで亮が?いや、俺、山田と飲んでたよな?待って、まってくれ、なんで?え…
「…ッあ♡…ちょ、やめ、、!」
「あは!かーわいいねぇ、奏太?オレに触られて興奮してんだ?ふふ、」
待 っ て く れ 。
え?なに、なにしてんの?コイツ。俺のモノに触ってるとか、いや、え?こいつ、本当に亮?俺の亮はもっと王子様で、、こんな、こんな、、。
いつもとは様子が違う亮に戸惑いながらも、俺は必死に動き回る亮の手を抑え、抵抗する。それが面白くないのか、亮はその整った顔を顰めながら俺に近づけてく、、?
「待て!!…おまっ、!何して…っ!」
「……この手、退けてくれない?…なぁに、そのいかにもショック受けました~~って顔。………ふふ、煽ってるの…?」
「は!?いや、なんでお前こんなことしてんだよ、、!どけろ!」
「へえ。奏太覚えてないんだ?……居酒屋でぇ、僕に「やだ…♡亮だめ♡行っちゃやぁ♡」って言ってたの。その場で襲わなかった僕を褒めて欲しいぐらいだけど。」
瞬間。俺は時が止まったかのように錯覚した。
待て。待ってくれ。…俺…、山田の惚気聞いてて、イイ感じに酔いも回ってきて。恋バナになったから、俺の初恋を話したんだ。
…それで?なんか途中から横に誰かいて…うんうん、って聞いてくれるから、嬉しくなっていっぱい話して…「きっとその亮も好きだったんじゃない?」って言われて、、そして、、、
「あ♡その顔思い出した?真っ赤になっちゃって可愛いねぇ。」
「ち、違うッ!!」
「ん?何が違うって~?奏太クンは亮クンがだ~い好きだったんだもんね?あ、なに?その場で襲って欲しかったってこと?」
「お、お前に言うハズじゃ、、」
「…は?オレ以外に言うつもりだったの?」
ニコニコと笑いながら軽い様子で話してた亮から一変して凄く低い声で目をバキバキにしながら聞いてくる。心なしか、握られている手も離さない、だなんて言われているかのように更に強く握られる。
そんな、亮以外に言う人なんて、、そう思うけど、余りに怖い亮に声が出ない。
「なんか言えよ。オレぇ、浮気とか、、絶対ぇ許さないから。相手殺して、お前のことかんき」
「りょお、ちが、りょおいがい、に、いな、い…か、ら…」
「ふふ♡だよねぇ。奏ちゃんは僕しか好きじゃないもんね?ああ、ごめんね?こんな震えちゃって。……ーでも奏太が悪いんだよ?僕はこんなに奏太のことが好きなのに。」
「ご、ごめんなさ、ッ、」
ううん、可愛い奏太は大好きだよ、ごめんね?だなんて言いながら、あまりの怖さで涙目になっている目に唇を寄せてくる亮。
…そこからの展開はお察しの通り。…あまりにも離してもらえなくて次の日に動けなくなってブチ切れた俺に亮が世話するまでがセットだった。
あの後。亮が言うには、俺の告白を受けて、すぐにコイビトになろうとしたらしい。亮はそれこそ俺が好きになる前から俺が好きだったらしく、俺が逃げるとは思ってなかったからこんなに愛し合うのが遅くなっただとかほざいていた。
まあ。こんな平凡な俺が亮となんて吊り合わない、だとか。亮はもっと幸せになれる、だとか。色んなことを言ったけど、亮はそういう事を言う度に怒って、俺に分からせた。
可愛い可愛い、好きだと言われながら亮と過ごすのは悪くない。なんかまだ色々と不可解なことはあるし、なんであの飲み屋に居たのか、とか聞かなきゃいけないことは沢山あるけど、、、
まあ、幸せだからいっか!
*
end.
高校卒業後、無事県外の大学に進入でき、亮とは顔を今でも合わすことなく引越した。実はあの後、亮からの連絡が怖くて連絡先を消したのはいい思い出だ。
…そういえば、友達の一人が執拗に「亮の連絡見た?」と聞いてきたが、あれはなんだったんだろう。俺の事を話したんだろうか?その割には友達は何も言ってこなかったけど。
この五年間、色々あった。それこそ、彼女も一瞬ではあったがいたし、合コンも沢山出た。どれも、亮と比べてしまう自分に嫌気がさすだけだったけど。
今、亮は何してるかな?
そう気づけば考えてしまっていたし、その度に可愛い彼女作ってるんだろうな、だなんて勝手に傷ついて。
けどまあ。五年という年月は気持ちが落ち着くには十分な時間だったらしい。
もうこんな事をしていたのを、初恋は叶わない、なんて言うしなぁ。と笑えるようになったのがいい証拠だろう。
今なら、もし亮に会ったとしても平気かな。まあ会う気はないし、向こうもいい迷惑だろうから、実家には相変わらず帰らないし、クラスの同窓会も行ってない。
同窓会に関しては、誰が可愛くなってた、金持ちになってた、だなんてのは友達から聞いていたから少し行ってみたい気持ちにはなったけど。
結局、悪気はなかったんだろうけど、亮が女の子といい雰囲気だった、だなんて言われて、思い出して落ち込んでたから行かなかったんだよな。
まあ!そんな話は終わりにしよう。
最後にカバンを持って家を出る。今日は同期の山田と飲み会だ。仕事早く終わらせて山田の奥さんの惚気でも聞くか!
だなんて思って、仕事を終わらせて、山田と飲みに行った事までは覚えてるんデスけども。
「…は?」
「ん?どーしたの、奏太?」
ニッコリ、という効果音が付きそうな顔で笑っている亮。しかも、俺に馬乗りになっている。
俺の頭の中は???で埋め尽くされた。え、なんで亮が?いや、俺、山田と飲んでたよな?待って、まってくれ、なんで?え…
「…ッあ♡…ちょ、やめ、、!」
「あは!かーわいいねぇ、奏太?オレに触られて興奮してんだ?ふふ、」
待 っ て く れ 。
え?なに、なにしてんの?コイツ。俺のモノに触ってるとか、いや、え?こいつ、本当に亮?俺の亮はもっと王子様で、、こんな、こんな、、。
いつもとは様子が違う亮に戸惑いながらも、俺は必死に動き回る亮の手を抑え、抵抗する。それが面白くないのか、亮はその整った顔を顰めながら俺に近づけてく、、?
「待て!!…おまっ、!何して…っ!」
「……この手、退けてくれない?…なぁに、そのいかにもショック受けました~~って顔。………ふふ、煽ってるの…?」
「は!?いや、なんでお前こんなことしてんだよ、、!どけろ!」
「へえ。奏太覚えてないんだ?……居酒屋でぇ、僕に「やだ…♡亮だめ♡行っちゃやぁ♡」って言ってたの。その場で襲わなかった僕を褒めて欲しいぐらいだけど。」
瞬間。俺は時が止まったかのように錯覚した。
待て。待ってくれ。…俺…、山田の惚気聞いてて、イイ感じに酔いも回ってきて。恋バナになったから、俺の初恋を話したんだ。
…それで?なんか途中から横に誰かいて…うんうん、って聞いてくれるから、嬉しくなっていっぱい話して…「きっとその亮も好きだったんじゃない?」って言われて、、そして、、、
「あ♡その顔思い出した?真っ赤になっちゃって可愛いねぇ。」
「ち、違うッ!!」
「ん?何が違うって~?奏太クンは亮クンがだ~い好きだったんだもんね?あ、なに?その場で襲って欲しかったってこと?」
「お、お前に言うハズじゃ、、」
「…は?オレ以外に言うつもりだったの?」
ニコニコと笑いながら軽い様子で話してた亮から一変して凄く低い声で目をバキバキにしながら聞いてくる。心なしか、握られている手も離さない、だなんて言われているかのように更に強く握られる。
そんな、亮以外に言う人なんて、、そう思うけど、余りに怖い亮に声が出ない。
「なんか言えよ。オレぇ、浮気とか、、絶対ぇ許さないから。相手殺して、お前のことかんき」
「りょお、ちが、りょおいがい、に、いな、い…か、ら…」
「ふふ♡だよねぇ。奏ちゃんは僕しか好きじゃないもんね?ああ、ごめんね?こんな震えちゃって。……ーでも奏太が悪いんだよ?僕はこんなに奏太のことが好きなのに。」
「ご、ごめんなさ、ッ、」
ううん、可愛い奏太は大好きだよ、ごめんね?だなんて言いながら、あまりの怖さで涙目になっている目に唇を寄せてくる亮。
…そこからの展開はお察しの通り。…あまりにも離してもらえなくて次の日に動けなくなってブチ切れた俺に亮が世話するまでがセットだった。
あの後。亮が言うには、俺の告白を受けて、すぐにコイビトになろうとしたらしい。亮はそれこそ俺が好きになる前から俺が好きだったらしく、俺が逃げるとは思ってなかったからこんなに愛し合うのが遅くなっただとかほざいていた。
まあ。こんな平凡な俺が亮となんて吊り合わない、だとか。亮はもっと幸せになれる、だとか。色んなことを言ったけど、亮はそういう事を言う度に怒って、俺に分からせた。
可愛い可愛い、好きだと言われながら亮と過ごすのは悪くない。なんかまだ色々と不可解なことはあるし、なんであの飲み屋に居たのか、とか聞かなきゃいけないことは沢山あるけど、、、
まあ、幸せだからいっか!
*
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