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みんな襲われてるのに、どうやら俺は相手にされてないようだ。

13. 信長の真実

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 古民家はかなり広かった。俺はここで謎の共同生活をする様だ。もみこから案内された二階の屋根裏部屋には少々不満だったけど、一応仕切られた広々とした空間なので我慢するとしよう。

 ちなみにのりおは仕切られた向こう側にいる。

 鬱陶しいな。

 それよりも彼女はどの部屋なのか凄く気になっていた。

「ねえ、もみこちゃんはどこで寝泊まりしてるの?」

 お、流石は厚顔無恥なやつだ。こういう時だけ役に立つ。

「わたくしも二階ですよ。この居間の隣です」

 ほほう、割と近いな。ちょっぴり嬉しいぞ。だが淫乱なのりおを厳しく監視しとかないとな。こいつは寝込みを襲うかもしれない。

「で、信長公の話だけど」
「はい。説明しなければなりませんね」
「そうそれ、僕も気になるう」
「えーと、わたくしも聞いた話なのですが……」

 もみこの説明はこうだった。本能寺の変を直前に知らされた信長は森蘭丸らと金銀財宝をかき集め、近くの山林へ逃げ込んだらしい。

 つまり信長は自害などしておらず、生き延びていたのだ。

 その山林へ行く途中、村人を襲うマァンティスに遭遇し成敗した。この時、初めて見る地球外生物に脅威を感じた様だ。やがて、自分しか斬れないことに気がついてそれ以降、天下のことなど放り投げ、ひたすら山でマァンティス狩りに没頭したと言う。

「それと寿命が伸びる話はどう繋がってるんだ?」
「はい。実はマァンティスを捕食すると不思議な能力を授かり、歳を取らないそうです」

 ん、んなアホな。

「食糧事情もよろしくなかった様で、上様だけはよく召し上がっておられたとか。それで気づけば、同世代で自分だけが生き延びていたのです」

 は? それが信長の真実なのか? 俄には信じられん。そんな奇奇怪怪な話。

「わたくしもまだ半信半疑なのですが、上様の特殊な能力や会話の節々から、そうなのかなって……」
「超能力?」
「はい。だって自身と同じ血液型のわたくしや青葉さん、それに近い正随さんが、どこに住んでるのか分かるくらいですからね」

 まあそこは……。だが、そもそも俺は本当に黄金血液なのかな。あのマァンティスを斬れるのかい?

 その答えを知る機会がやがて訪れることになる。
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