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22.鶏舎
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※ジェラール視点
「殿下、お花なんて洒落た贈り物して~!ヒュー、ヒュー!」
軽いな、コイツ…。あれはな、かなり悩んだ末に決断したんだ。セーターを貰ってその御礼に、と言うのはどうなんだって引っかかっていた。彼女を歓迎したい気持ちはあるけど“罪人”だからな。複雑なんだよ。軽々しく茶化してほしくないね。
「アニエス様は毎日嬉しそうにお世話してますよ」
「そうか」
素っ気ない返事をした。だが、彼女が喜んでるならそれで良いと、ココロの中でホッとする。
「さて、本日の報告ですが、敷地内でニワトリを飼うことになりまして」
「な、何?ニワトリ?」
また、突拍子もないことを…?
「はい。自給自足を目指しておられるので、先ずは飼いやすいニワトリから始めようと」
「自給自足って、生活が苦しい訳でもあるまい」
彼女一人分なら王都からの給金で充分なはず。それとは別に非公式だが、オードラン公爵からも寄付と言う形で納められている。まあ、これは何かの時にと預かってるけど。
「…で?」
「はい、それで鶏舎を作ることになって、材料を集めたのは良いけど…」
「どうした?」
「僕、工作とか苦手でして。アニエス様に良い格好したかったのにー」
「そ、そうか」
「だから、ベロムを呼ぼうと」
「待て。ベロムとは誰だ?」
「あ、漁師ですよ。地引網漁を仕切ってる人」
「ああ、思い出した。彼なら作れそうだな」
「それでね、港へ行こうとしたら丁度、薄唇殿に会っちゃて…も~う、最悪~!」
ここで、また…彼の愚痴を…聞かされるのか…?
「リアルに回想して良いですか?」
「手短にな」
※バルナバ視点
お屋敷の広大な敷地に、木材など鶏舎を建てる材料を山積みにして、僕は港へ向かった。途中の草原で不謹慎にもキセルを吹かせながら悠々と歩いて来る男と出会う。
「おい、罪人を置いてどこへ行く?」
「あ、監視官殿、おかえりなさい!」
あちゃー、嫌な奴とばったり会っちゃったな。
仕方ないので理由を言うと──。
「お前らヒマだな。まあいい。俺が作ってやろう」
「え?監視官殿が?」
「ああ、そういうのは得意だ。お前は助手をやれ」
この時から僕は嫌な予感がした…。
カンカンカンっと手際よく木材を組み立てる薄唇殿は、いつもの倍増しで偉そうだった。
「おい、端っこを持て。高さを合わせろ!」
そして、恐れていた事態に陥る。アニエス様とコリンヌが様子伺いにやって来たのだ。薄唇殿にこき使われてる情けない姿を見られてしまう。
「わあー、監視官殿って器用ねえ!すっごーい!」
二人の美しい女性の視線は僕ではなく、薄唇殿に注がれた。完全に持っていかれた。
「…と言うことで、凄く悔しかったです!」
※ジェラール視点
「……」
目を閉じて面倒臭い話を長々と聞いていたが、やっと終わった様だ。
「まあでも鶏舎は出来たのだろう?」
「はい。それはもう立派な建物です。やはり材料が良かったのだと思います!」
「そ、そうだな」
いや、違うだろ…とは言わなかった。
「それにしても殿下、気になることがあります」
「何だ?」
「どうも、薄唇殿のアニエス様に対する態度が以前と違ってる様に思えてなりません」
「何がどう違う?」
「今まで冷酷な目で見てたのに、ちょっと優しい感じに変わってるんです。アイツ、セータ貰って何か勘違いしてるんだ。殿下、うかうかしてられませんよ!」
な、何を言い出すのだ?だが、聞き捨てならない。ヤツが彼女に気があるって?まさか、まさか??
「バルナバ、報告ありがとう。すまないが一人にしてくれないか?」
アニエスに会いたい…。
私はジリジリする気持ちをどう治めればよいのか、答えが見つからなかった。
「殿下、お花なんて洒落た贈り物して~!ヒュー、ヒュー!」
軽いな、コイツ…。あれはな、かなり悩んだ末に決断したんだ。セーターを貰ってその御礼に、と言うのはどうなんだって引っかかっていた。彼女を歓迎したい気持ちはあるけど“罪人”だからな。複雑なんだよ。軽々しく茶化してほしくないね。
「アニエス様は毎日嬉しそうにお世話してますよ」
「そうか」
素っ気ない返事をした。だが、彼女が喜んでるならそれで良いと、ココロの中でホッとする。
「さて、本日の報告ですが、敷地内でニワトリを飼うことになりまして」
「な、何?ニワトリ?」
また、突拍子もないことを…?
「はい。自給自足を目指しておられるので、先ずは飼いやすいニワトリから始めようと」
「自給自足って、生活が苦しい訳でもあるまい」
彼女一人分なら王都からの給金で充分なはず。それとは別に非公式だが、オードラン公爵からも寄付と言う形で納められている。まあ、これは何かの時にと預かってるけど。
「…で?」
「はい、それで鶏舎を作ることになって、材料を集めたのは良いけど…」
「どうした?」
「僕、工作とか苦手でして。アニエス様に良い格好したかったのにー」
「そ、そうか」
「だから、ベロムを呼ぼうと」
「待て。ベロムとは誰だ?」
「あ、漁師ですよ。地引網漁を仕切ってる人」
「ああ、思い出した。彼なら作れそうだな」
「それでね、港へ行こうとしたら丁度、薄唇殿に会っちゃて…も~う、最悪~!」
ここで、また…彼の愚痴を…聞かされるのか…?
「リアルに回想して良いですか?」
「手短にな」
※バルナバ視点
お屋敷の広大な敷地に、木材など鶏舎を建てる材料を山積みにして、僕は港へ向かった。途中の草原で不謹慎にもキセルを吹かせながら悠々と歩いて来る男と出会う。
「おい、罪人を置いてどこへ行く?」
「あ、監視官殿、おかえりなさい!」
あちゃー、嫌な奴とばったり会っちゃったな。
仕方ないので理由を言うと──。
「お前らヒマだな。まあいい。俺が作ってやろう」
「え?監視官殿が?」
「ああ、そういうのは得意だ。お前は助手をやれ」
この時から僕は嫌な予感がした…。
カンカンカンっと手際よく木材を組み立てる薄唇殿は、いつもの倍増しで偉そうだった。
「おい、端っこを持て。高さを合わせろ!」
そして、恐れていた事態に陥る。アニエス様とコリンヌが様子伺いにやって来たのだ。薄唇殿にこき使われてる情けない姿を見られてしまう。
「わあー、監視官殿って器用ねえ!すっごーい!」
二人の美しい女性の視線は僕ではなく、薄唇殿に注がれた。完全に持っていかれた。
「…と言うことで、凄く悔しかったです!」
※ジェラール視点
「……」
目を閉じて面倒臭い話を長々と聞いていたが、やっと終わった様だ。
「まあでも鶏舎は出来たのだろう?」
「はい。それはもう立派な建物です。やはり材料が良かったのだと思います!」
「そ、そうだな」
いや、違うだろ…とは言わなかった。
「それにしても殿下、気になることがあります」
「何だ?」
「どうも、薄唇殿のアニエス様に対する態度が以前と違ってる様に思えてなりません」
「何がどう違う?」
「今まで冷酷な目で見てたのに、ちょっと優しい感じに変わってるんです。アイツ、セータ貰って何か勘違いしてるんだ。殿下、うかうかしてられませんよ!」
な、何を言い出すのだ?だが、聞き捨てならない。ヤツが彼女に気があるって?まさか、まさか??
「バルナバ、報告ありがとう。すまないが一人にしてくれないか?」
アニエスに会いたい…。
私はジリジリする気持ちをどう治めればよいのか、答えが見つからなかった。
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