島流しされた悪役令嬢は、ゆるい監視の元で自由を満喫します♪

鼻血の親分

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35.ポジティブ

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「アニエス様ー、こちらの要望が全て通りましたよー、いやあ、殿下は太っ腹ですねえ!」

視察を終えたバルナバが明るく報告してくれた。

「ごめんなさい。わたくし上手く説明出来なくて」
「いえいえ、良いんですよ。殿下も多分、ドキドキしてたんだと思います。あ、そうだ。今度、お城で面談したいって」
「ジェラール様が?」
「はい。二人っきりで話がしたいって」

そ、そっか…。でも、また泣いちゃうかなぁ。

「とても心配されてましたよ」
「ありがとう、バルナバさん。今度はちゃんとするから」

──とは言ったものの、自信はない。会って何をお話すればいいの?

『わたくしはケヴィン様に襲われそうになって、結婚するのが嫌で、態と罪を被って此処へ来ました』って言ったら困るよねえ。でも、彼には本当のことを知って欲しい。誤解されたまま、島で過ごすのは気が引けるわ。


「アニエス様、監視官殿とソフィアが早速、畑を耕しておいでです!」
「まあ!」
「コリンヌ、わたくしたちもお手伝いに行きましょう!」
「あ、はい!」
「ああん、待って、僕も行くよー!キース、お前もおいで!」
「ワン、ワン、ワ、ワンー!」

わたくしたちは牧場を駆けって行く。ジェラール様との対面が上手くいかなかったけど、クヨクヨしても始まらない。またチャンスを作ってくれたのだ。ココロの準備は整ってないけど、今度こそは!と、ポジティブに考えるしかない。


「おい、バルナバ。牧場が広がったんだ。柵を張り巡らしたいから材料を調達してこい」

くわを持った監視官殿が、せっせと土地を整備している。

「監視官殿、張り切ってますねー」
「お前を材料調達係に任命する。しっかりやれ」
「は?は?何で貴方が仕切ってんですか?」

その問いには答えず、薄唇さんがチラッとわたくしを見た。

「アニエス、この牧場は農園の拡大で大っきくなるぞ。泣いてる暇などない!」
「だーかーらー、さっきからどんな立場で言ってるんですかあ?」
「ありがとう。監視官殿。わたくしもお手伝いしますからね」
「アニエス様?」
「皆んなで楽しくやりましょう。ね、バルナバさん!」
「は、はあ。まあ、そう仰るのなら…勿論、材料は揃えますけどね。いや、それは僕しか出来ないことだし…ぶつぶつ…」

不満げなバルナバにコリンヌがそっと手を握って、慰める。二人は見つめ合って軽く頷いた。

うふふ、見せつけてくれるわね。

「ところでアニエス、お前、薬草に詳しいんだってな。山で調達して…あ、でも一人じゃ無理だな。山は危険だ。今度、俺と一緒に行こうか」
「あ、はい!」

薬草畑を作りたいって言ったのはわたくしだ。子供たちが病気や怪我をしても、この島は医療が万全ではない。程度によっては本土からお医者様を呼ばなければ対応出来ないこともある。

だからせめて応急処置くらいはしたい。

わたくしは薄唇さんと薬草を採りに行くことになった。





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