41 / 105
41.黒髪
しおりを挟む
※ブリス視点
「では、ルーク様に接見して参ります」
俺は陛下から『弟君へ宛てた書簡』を持たされた。これで堂々と会うことが出来る。いや、別に会いたくはないが…。
「うむ、隙あれば殺してまいれ」
「は?…それは流石に無理かと」
「お前は策を考えてないのか?」
はい、何も。と、この場で言えるほど度胸はない。咄嗟に思いついたことを口にする。
「先ずは健康状態と世話役が誰なのか確認します。その世話役を通じて毒盛りを仕掛けようと」
「ほう。毒殺か」
「囚人島にはトリカブトが自生しております」
「いいだろう。その世話役は彼の執事と使用人だ。私が一緒に島流ししたからな。今でも覚えてるぞ」
「では、監獄の中に?」
「はて、そこまでは知らん。だが、そうだろう。でないと世話できんからな。確か執事の名はカスタニエ、使用人は…ソフィア。ジェントリのソフィア・ラサーニュだ」
──えっ?
『な、何だって!?あのソフィアがかっ!?』
その瞬間、俺の記憶が鮮明によみがえる。十年前、特殊部隊に配属されたばかりのことだ。ルーク様を捕らえるために軍隊の応援で宮殿へ向かった俺は、既に確保されていた弟君を遠巻きに眺めていた。そこへ、走って逃げる少女が目に止まったのだ。
「ソフィアは関係ない!逃げろー!」
「おい、その娘を捕まえろー!」
つ、捕まえる?何故こんな少女を?いや、考えてる暇はない。命令に従うのみだ!
俺は走って追いかける。こんな少女など直ぐに追いついて、そのか細い腕をガシッと掴んだ。
「お前を連行する。抵抗したら殺すぞ」
少女は怯えていた。俺を見ようともしない。ただ、項垂れて諦めた様子だった。
…綺麗な黒髪だな。
「よーし、良くやったぞ。お前の名は?」
「は…特殊部隊のブリスでございます」
後ほど、国王陛下にねぎらいのお言葉を賜った。俺は陛下にお会いできて感動した。この御方のために命を捧げようと思った。以降、陛下から直接命令を受けることになる。何人か敵対する貴族を闇に葬ったものだ。
そうか、あの時の娘がソフィアだったのか。俺は別に彼女に恋してる訳ではない。やはり思い違いだったのだ。
気になっていた答えが見つかって安心する。さて、頭を切り替えよう。
「陛下、宜しければ書簡の内容を教えて頂けませんか?」
使者としてある程度は把握しておきたい。
「うむ、まあ大したことは書いてない。国家安寧のため、犠牲になられて申し訳ない。お体は如何か?必要なものは何でも送るから遠慮なくブリスに申し出よ…とな」
なるほど。社交辞令で様子見か。
「かしこまりました。お役目果たして参ります」
複雑な心境だ。暗殺などする気もないが、このまま何ごともなく時が過ぎるほど甘くはないだろう。
いっそ、俺も島流しされるのも良いかなと思ってしまう。牧場であいつらとのんびり過ごすのも悪くはない…。
「では、ルーク様に接見して参ります」
俺は陛下から『弟君へ宛てた書簡』を持たされた。これで堂々と会うことが出来る。いや、別に会いたくはないが…。
「うむ、隙あれば殺してまいれ」
「は?…それは流石に無理かと」
「お前は策を考えてないのか?」
はい、何も。と、この場で言えるほど度胸はない。咄嗟に思いついたことを口にする。
「先ずは健康状態と世話役が誰なのか確認します。その世話役を通じて毒盛りを仕掛けようと」
「ほう。毒殺か」
「囚人島にはトリカブトが自生しております」
「いいだろう。その世話役は彼の執事と使用人だ。私が一緒に島流ししたからな。今でも覚えてるぞ」
「では、監獄の中に?」
「はて、そこまでは知らん。だが、そうだろう。でないと世話できんからな。確か執事の名はカスタニエ、使用人は…ソフィア。ジェントリのソフィア・ラサーニュだ」
──えっ?
『な、何だって!?あのソフィアがかっ!?』
その瞬間、俺の記憶が鮮明によみがえる。十年前、特殊部隊に配属されたばかりのことだ。ルーク様を捕らえるために軍隊の応援で宮殿へ向かった俺は、既に確保されていた弟君を遠巻きに眺めていた。そこへ、走って逃げる少女が目に止まったのだ。
「ソフィアは関係ない!逃げろー!」
「おい、その娘を捕まえろー!」
つ、捕まえる?何故こんな少女を?いや、考えてる暇はない。命令に従うのみだ!
俺は走って追いかける。こんな少女など直ぐに追いついて、そのか細い腕をガシッと掴んだ。
「お前を連行する。抵抗したら殺すぞ」
少女は怯えていた。俺を見ようともしない。ただ、項垂れて諦めた様子だった。
…綺麗な黒髪だな。
「よーし、良くやったぞ。お前の名は?」
「は…特殊部隊のブリスでございます」
後ほど、国王陛下にねぎらいのお言葉を賜った。俺は陛下にお会いできて感動した。この御方のために命を捧げようと思った。以降、陛下から直接命令を受けることになる。何人か敵対する貴族を闇に葬ったものだ。
そうか、あの時の娘がソフィアだったのか。俺は別に彼女に恋してる訳ではない。やはり思い違いだったのだ。
気になっていた答えが見つかって安心する。さて、頭を切り替えよう。
「陛下、宜しければ書簡の内容を教えて頂けませんか?」
使者としてある程度は把握しておきたい。
「うむ、まあ大したことは書いてない。国家安寧のため、犠牲になられて申し訳ない。お体は如何か?必要なものは何でも送るから遠慮なくブリスに申し出よ…とな」
なるほど。社交辞令で様子見か。
「かしこまりました。お役目果たして参ります」
複雑な心境だ。暗殺などする気もないが、このまま何ごともなく時が過ぎるほど甘くはないだろう。
いっそ、俺も島流しされるのも良いかなと思ってしまう。牧場であいつらとのんびり過ごすのも悪くはない…。
0
あなたにおすすめの小説
断罪の準備は完璧です!国外追放が楽しみすぎてボロが出る
黒猫かの
恋愛
「ミモリ・フォン・ラングレイ! 貴様との婚約を破棄し、国外追放に処す!」
パルマ王国の卒業パーティー。第一王子アリオスから突きつけられた非情な断罪に、公爵令嬢ミモリは……内心でガッツポーズを決めていた。
(ついにきたわ! これで堅苦しい王妃教育も、無能な婚約者の世話も、全部おさらばですわ!)
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について
夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。
ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。
しかし、断罪劇は予想外の展開へ。
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません
由香
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。
破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。
しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。
外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!?
さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、
静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。
「恋をすると破滅する」
そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、
断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜
桐生桜月姫
恋愛
シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。
だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎
本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎
〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜
夕方6時に毎日予約更新です。
1話あたり超短いです。
毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。
「僕が望んだのは、あなたではありません」と婚約破棄をされたのに、どうしてそんなに大切にするのでしょう。【短編集】
長岡更紗
恋愛
異世界恋愛短編詰め合わせです。
気になったものだけでもおつまみください!
『君を買いたいと言われましたが、私は売り物ではありません』
『悪役令嬢は、友の多幸を望むのか』
『わたくしでは、お姉様の身代わりになりませんか?』
『婿に来るはずだった第五王子と婚約破棄します! その後にお見合いさせられた副騎士団長と結婚することになりましたが、溺愛されて幸せです。 』
『婚約破棄された悪役令嬢だけど、騎士団長に溺愛されるルートは可能ですか?』
他多数。
他サイトにも重複投稿しています。
【完結】冷遇され続けた私、悪魔公爵と結婚して社交界の花形になりました~妹と継母の陰謀は全てお見通しです~
深山きらら
恋愛
名門貴族フォンティーヌ家の長女エリアナは、継母と美しい義妹リリアーナに虐げられ、自分の価値を見失っていた。ある日、「悪魔公爵」と恐れられるアレクシス・ヴァルモントとの縁談が持ち込まれる。厄介者を押し付けたい家族の思惑により、エリアナは北の城へ嫁ぐことに。
灰色だった薔薇が、愛によって真紅に咲く物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる