81 / 105
81.布石
しおりを挟む
※ジェラール視点
「アニエス、今の仕事がひと段落したら一緒に島へ行こうか」
執務室でベルティーユから報告を受けた後、私は微笑みながら彼女へ提案してみた。すると、ぱぁーっと表情が明るくなっていくのが分かった。
「とっても嬉しいお誘いです。殿下、ありがとうございます!」
彼女の日常はアルフィーから聞いている。以前の様な覇気もなく、屋敷へ引きこもっていると聞いて心配していたのだ。
その原因は予測がつく。一度、罪人と言うレッテルを貼られた以上、世間の目は中々厳しい。いくら無実だと貴族の間で広めても限界というものがある。
この状況を劇的に変えられるものは何か?と、考えた時にこじつけながら良い案が浮かんだ。
それは…。
『プロポーズすること』
即ち、王太子の婚約者になってもらう。これなら庶民に至るまで広く一般的に知れ渡るだろう。世間の目が一新するほどのインパクトがある。
勿論、同情だけではない。初恋の相手だ。十年ぶりに再開して、益々その想いは強くなっていた。アニエス以外、私のパートナーは考えられない。だから彼女の好きなペチャア島で海や山を見ながら婚求したいと思っている。
──私にとっては一世一代の大イベントなのだ。
「あの…殿下?…殿下?」
ハッっと我に返った。彼女の前で自分の世界に入ってる場合ではない。
「…ん?どうした?」
「でも、お忙しいのでは?」
「あ、ああ。十日くらいなら大丈夫だよ。それに城へ残した仕事も放り投げて王都へ来たからね。…バルナバに全てを押し付けるのは申し訳ない」
ビソンが滞在してるとはいえ、ベルティーユが抜けた上にビルニー元陛下やカリーヌを収監させてるのだ。何かと神経をすり減らしてるに違いない。
それと急ぎではないが、陛下の命でソフィアを一時的に呼ばなくてはならなくなった。そうなると牧場や農園が心配だ。というか、やはり彼女は何か秘密を知ってる様だな。それは、今のところ私にも分からないが…。
「では、明日からベルティーユと別荘を回って貰おう。勿論、役人と警護の者も付ける」
「はい。かしこまりました」
にっこり笑ったアニエスがとても美しいと、少々ドキッとしたがココロの内がバレそうだったので、ここで話を切り上げることにする。
彼女が帰ったと入れ違いにアルフィーが執務室へ戻って来た。
「殿下、お心遣いありがとうございます」
「何がだ?」
「お姉様を島へお誘い下さったそうで」
「うむ、彼女には元気を取り戻して欲しいからな」
「また、ロイヤルファミリーのご婦人方にも感謝されたと伺いましたが…?」
「それは関知してない。たまたまだろう」
実はベルティーユに彼女を誘ってくれと頼んだのは私だ。そして、元陛下のコレクションを分配することの便宜を図ることで、これからお付き合いするであろう口うるさいご婦人方を味方に付ければと、一計を案じたのだ。無論、ルーク様の承認を得ている。あとはベルティーユに任せば上手く行くはず。
私はアニエスをロイヤルファミリーにする布石を打ったのだ。
「アニエス、今の仕事がひと段落したら一緒に島へ行こうか」
執務室でベルティーユから報告を受けた後、私は微笑みながら彼女へ提案してみた。すると、ぱぁーっと表情が明るくなっていくのが分かった。
「とっても嬉しいお誘いです。殿下、ありがとうございます!」
彼女の日常はアルフィーから聞いている。以前の様な覇気もなく、屋敷へ引きこもっていると聞いて心配していたのだ。
その原因は予測がつく。一度、罪人と言うレッテルを貼られた以上、世間の目は中々厳しい。いくら無実だと貴族の間で広めても限界というものがある。
この状況を劇的に変えられるものは何か?と、考えた時にこじつけながら良い案が浮かんだ。
それは…。
『プロポーズすること』
即ち、王太子の婚約者になってもらう。これなら庶民に至るまで広く一般的に知れ渡るだろう。世間の目が一新するほどのインパクトがある。
勿論、同情だけではない。初恋の相手だ。十年ぶりに再開して、益々その想いは強くなっていた。アニエス以外、私のパートナーは考えられない。だから彼女の好きなペチャア島で海や山を見ながら婚求したいと思っている。
──私にとっては一世一代の大イベントなのだ。
「あの…殿下?…殿下?」
ハッっと我に返った。彼女の前で自分の世界に入ってる場合ではない。
「…ん?どうした?」
「でも、お忙しいのでは?」
「あ、ああ。十日くらいなら大丈夫だよ。それに城へ残した仕事も放り投げて王都へ来たからね。…バルナバに全てを押し付けるのは申し訳ない」
ビソンが滞在してるとはいえ、ベルティーユが抜けた上にビルニー元陛下やカリーヌを収監させてるのだ。何かと神経をすり減らしてるに違いない。
それと急ぎではないが、陛下の命でソフィアを一時的に呼ばなくてはならなくなった。そうなると牧場や農園が心配だ。というか、やはり彼女は何か秘密を知ってる様だな。それは、今のところ私にも分からないが…。
「では、明日からベルティーユと別荘を回って貰おう。勿論、役人と警護の者も付ける」
「はい。かしこまりました」
にっこり笑ったアニエスがとても美しいと、少々ドキッとしたがココロの内がバレそうだったので、ここで話を切り上げることにする。
彼女が帰ったと入れ違いにアルフィーが執務室へ戻って来た。
「殿下、お心遣いありがとうございます」
「何がだ?」
「お姉様を島へお誘い下さったそうで」
「うむ、彼女には元気を取り戻して欲しいからな」
「また、ロイヤルファミリーのご婦人方にも感謝されたと伺いましたが…?」
「それは関知してない。たまたまだろう」
実はベルティーユに彼女を誘ってくれと頼んだのは私だ。そして、元陛下のコレクションを分配することの便宜を図ることで、これからお付き合いするであろう口うるさいご婦人方を味方に付ければと、一計を案じたのだ。無論、ルーク様の承認を得ている。あとはベルティーユに任せば上手く行くはず。
私はアニエスをロイヤルファミリーにする布石を打ったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
断罪の準備は完璧です!国外追放が楽しみすぎてボロが出る
黒猫かの
恋愛
「ミモリ・フォン・ラングレイ! 貴様との婚約を破棄し、国外追放に処す!」
パルマ王国の卒業パーティー。第一王子アリオスから突きつけられた非情な断罪に、公爵令嬢ミモリは……内心でガッツポーズを決めていた。
(ついにきたわ! これで堅苦しい王妃教育も、無能な婚約者の世話も、全部おさらばですわ!)
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
断罪中、味方が多すぎて王子が孤立している件について
夏乃みのり
恋愛
バーンスタイン伯爵家の令嬢ラミリアは、魔力も剣の才能もない「ごく普通」の地味な女性。
ある日のパーティーで、婚約者であるジェラルド第二王子から「地味で無能で嫉妬深い」と罵られ、身に覚えのない罪で婚約破棄を突きつけられてしまう。
しかし、断罪劇は予想外の展開へ。
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません
由香
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。
破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。
しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。
外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!?
さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、
静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。
「恋をすると破滅する」
そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、
断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
[完]本好き元地味令嬢〜婚約破棄に浮かれていたら王太子妃になりました〜
桐生桜月姫
恋愛
シャーロット侯爵令嬢は地味で大人しいが、勉強・魔法がパーフェクトでいつも1番、それが婚約破棄されるまでの彼女の周りからの評価だった。
だが、婚約破棄されて現れた本来の彼女は輝かんばかりの銀髪にアメジストの瞳を持つ超絶美人な行動過激派だった⁉︎
本が大好きな彼女は婚約破棄後に国立図書館の司書になるがそこで待っていたのは幼馴染である王太子からの溺愛⁉︎
〜これはシャーロットの婚約破棄から始まる波瀾万丈の人生を綴った物語である〜
夕方6時に毎日予約更新です。
1話あたり超短いです。
毎日ちょこちょこ読みたい人向けです。
【完結】冷遇され続けた私、悪魔公爵と結婚して社交界の花形になりました~妹と継母の陰謀は全てお見通しです~
深山きらら
恋愛
名門貴族フォンティーヌ家の長女エリアナは、継母と美しい義妹リリアーナに虐げられ、自分の価値を見失っていた。ある日、「悪魔公爵」と恐れられるアレクシス・ヴァルモントとの縁談が持ち込まれる。厄介者を押し付けたい家族の思惑により、エリアナは北の城へ嫁ぐことに。
灰色だった薔薇が、愛によって真紅に咲く物語。
【完結】追放された大聖女は黒狼王子の『運命の番』だったようです
星名柚花
恋愛
聖女アンジェリカは平民ながら聖王国の王妃候補に選ばれた。
しかし他の王妃候補の妨害工作に遭い、冤罪で国外追放されてしまう。
契約精霊と共に向かった亜人の国で、過去に自分を助けてくれたシャノンと再会を果たすアンジェリカ。
亜人は人間に迫害されているためアンジェリカを快く思わない者もいたが、アンジェリカは少しずつ彼らの心を開いていく。
たとえ問題が起きても解決します!
だって私、四大精霊を従える大聖女なので!
気づけばアンジェリカは亜人たちに愛され始める。
そしてアンジェリカはシャノンの『運命の番』であることが発覚し――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる