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96.正拳
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※バルナバ視点
「バルナバ様、大丈夫なのですか?」
「シェリー、心配はいらない。リンダとは話がついてる」
屋外の建築実習する敷地内を立入禁止にして、二人の対決の場を提供した。本来、こんなことは許されないがカリーヌのためだと自分に言い聞かせて…。
今、リンダとカリーヌは対峙している。その周りは三階の二号室から五号室のリーダー四人が見守っていた。リンダ不在であったが一号室のリーダーになったカリーヌは階ボスの洗礼を受けることになる。これは囚人棟の秩序を保つ闇のルールなのだ。
言い換えれば三階の覇権を賭けた闘いでもある。
因みにシェリーは囚人でありながら僕のスパイだ。特別な取引きをして、三階の情報を提供する部下の様なもの。この手の囚人は各階に存在している。
「でもリンダ様はカッとなると自制を失うので…」
そのリスクは当然考えてる。万が一の事態に備えて囚人には分からない様、建屋の中に警備の者を忍ばせていた。いざとなれば止めるまでだ。
「上手くいくさ…」
カリーヌより一回り大きいリンダは、ガッチリした体格。軍隊出身で特殊部隊に所属していた元オンナ兵士なのだ。麻薬の常習犯で薬抜けや不祥事で独房と大部屋を行き来してるが本物の強者。どう考えてもカリーヌは歯が立たないだろう。
昨晩、独房の前で僕は彼女と密約を結んだことを思い出す。
…
…
…
「リンダ、お前の居ない間に公爵令嬢がシェリーや皆んなを倒してリーダーになったぞ」
「な、何だと!?公爵令嬢が!?意味わからん!」
「色々事情があってな。で、頼みがある」
「そいつを倒すのか?頼まれなくてもやる!」
「お前が本気出せば危ないだろ。手加減してやれ」
「取引きか…。いいだろう。条件は刑期短縮か?」
「一年短縮してやる。どうだ?」
「よし、なるべく怪我させずに上手く倒せばいいんだな?」
「ああ。頼んだぞ」
…
…
…
「ねえねえ、アンタだれ?つか、呼び出して何の用なのよお」
カリーヌはこれから何が起こるのか分かってなく、まるで緊張感がない。
「ふふふふ…ぶっ飛んだ公爵令嬢だ。アタシはリンダ。三階の主だ」
「あん?主って何なの?」
「だから三階のボスだ。お前、いつの間にか部屋のリーダーになった様だが?」
「だってええ、皆んなキモかったんだもん」
「キモいってな。…ま、いい。お前を倒す」
「なーんだ。私に挑戦するんだ。いいよー」
「ち、挑戦だと?…ま、いい。…ま、いい。かかってきな、お嬢さん!」
じりじりと間合いを詰める二人に、僕は内心ドキドキしていた。
──どうか、怪我なくカリーヌが負けます様に!
そう祈る。でも…でも…!?
「ふぉあ!」「はいや!」「てえっ!」「あちょ!」と、凄く本格的な格闘を繰り広げていた。リンダは手加減してるだろうけどカリーヌは余裕で彼女の攻撃を躱している。
「バルナバ様…やはり彼女も相当な使い手では?」
「いやいやいやいや、聞いてないよお?」
「でも、部屋の者は全員一撃で倒したのですよ?」
「そ、それは…」
確かに強いだろう。だけど相手は元特殊部隊の兵士だ。きっと手加減し過ぎてるに違いない。
と、その時だ!
『バキィィィィーーーーッ!!』
「ああっ!?」
「ええっ!?」
それは一瞬の出来ごとだった。カリーヌの正拳がリンダの顎元に食い込んだのだ。
二人は時間が止まったかの如く、その姿勢のままで動かない。が、やがて白目をむいたリンダがズドーンと倒れた。
「…は?…は?…は?」
何で?何で?何やってんの?リンダ?
僕は目の前の起こったことが受け入れられない。
「バルナバ様、遅かったか…」
気がつくとベルティーユが隣に居た。
「バルナバ様、大丈夫なのですか?」
「シェリー、心配はいらない。リンダとは話がついてる」
屋外の建築実習する敷地内を立入禁止にして、二人の対決の場を提供した。本来、こんなことは許されないがカリーヌのためだと自分に言い聞かせて…。
今、リンダとカリーヌは対峙している。その周りは三階の二号室から五号室のリーダー四人が見守っていた。リンダ不在であったが一号室のリーダーになったカリーヌは階ボスの洗礼を受けることになる。これは囚人棟の秩序を保つ闇のルールなのだ。
言い換えれば三階の覇権を賭けた闘いでもある。
因みにシェリーは囚人でありながら僕のスパイだ。特別な取引きをして、三階の情報を提供する部下の様なもの。この手の囚人は各階に存在している。
「でもリンダ様はカッとなると自制を失うので…」
そのリスクは当然考えてる。万が一の事態に備えて囚人には分からない様、建屋の中に警備の者を忍ばせていた。いざとなれば止めるまでだ。
「上手くいくさ…」
カリーヌより一回り大きいリンダは、ガッチリした体格。軍隊出身で特殊部隊に所属していた元オンナ兵士なのだ。麻薬の常習犯で薬抜けや不祥事で独房と大部屋を行き来してるが本物の強者。どう考えてもカリーヌは歯が立たないだろう。
昨晩、独房の前で僕は彼女と密約を結んだことを思い出す。
…
…
…
「リンダ、お前の居ない間に公爵令嬢がシェリーや皆んなを倒してリーダーになったぞ」
「な、何だと!?公爵令嬢が!?意味わからん!」
「色々事情があってな。で、頼みがある」
「そいつを倒すのか?頼まれなくてもやる!」
「お前が本気出せば危ないだろ。手加減してやれ」
「取引きか…。いいだろう。条件は刑期短縮か?」
「一年短縮してやる。どうだ?」
「よし、なるべく怪我させずに上手く倒せばいいんだな?」
「ああ。頼んだぞ」
…
…
…
「ねえねえ、アンタだれ?つか、呼び出して何の用なのよお」
カリーヌはこれから何が起こるのか分かってなく、まるで緊張感がない。
「ふふふふ…ぶっ飛んだ公爵令嬢だ。アタシはリンダ。三階の主だ」
「あん?主って何なの?」
「だから三階のボスだ。お前、いつの間にか部屋のリーダーになった様だが?」
「だってええ、皆んなキモかったんだもん」
「キモいってな。…ま、いい。お前を倒す」
「なーんだ。私に挑戦するんだ。いいよー」
「ち、挑戦だと?…ま、いい。…ま、いい。かかってきな、お嬢さん!」
じりじりと間合いを詰める二人に、僕は内心ドキドキしていた。
──どうか、怪我なくカリーヌが負けます様に!
そう祈る。でも…でも…!?
「ふぉあ!」「はいや!」「てえっ!」「あちょ!」と、凄く本格的な格闘を繰り広げていた。リンダは手加減してるだろうけどカリーヌは余裕で彼女の攻撃を躱している。
「バルナバ様…やはり彼女も相当な使い手では?」
「いやいやいやいや、聞いてないよお?」
「でも、部屋の者は全員一撃で倒したのですよ?」
「そ、それは…」
確かに強いだろう。だけど相手は元特殊部隊の兵士だ。きっと手加減し過ぎてるに違いない。
と、その時だ!
『バキィィィィーーーーッ!!』
「ああっ!?」
「ええっ!?」
それは一瞬の出来ごとだった。カリーヌの正拳がリンダの顎元に食い込んだのだ。
二人は時間が止まったかの如く、その姿勢のままで動かない。が、やがて白目をむいたリンダがズドーンと倒れた。
「…は?…は?…は?」
何で?何で?何やってんの?リンダ?
僕は目の前の起こったことが受け入れられない。
「バルナバ様、遅かったか…」
気がつくとベルティーユが隣に居た。
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