番様と私

羽柴 玲

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❤︎竜神の花嫁  参【完結】

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「え・・・なんで、沙羅がここにいるの?ちゃんと、送り届けたと思うんだけど・・・」

マシリは沙羅の姿を認めると、困惑の表情でそんな事を言う。

「えっと・・・帰りましたよ?これは、父様に連れてこられまして・・・」

「長蔵に?・・・ちょっとまって」

沙羅の困惑した答えに、マシリは目をつむり何事かに集中している。

「あ・・・あった・・・これだ・・・来いナァツ

淡い光と共に、マシリの手に一通の手紙が現れる。
それは、沙羅には見慣れた、長蔵の紋があしらわれていた。
マシリは迷うことなく、封を切り内容を確認すれば、片手で頭を抱えている。

「マシリ?大丈夫?・・・それ、父様からのものよね?」

マシリは「大丈夫」と返答すると共に、手紙を沙羅へと突き出してくる。
戸惑いながらも、彼女はそれを受け取ったが、念のために確認だけはしておく。

「私が見てもよろしいのですか?」

「ああ。見てから君が判断するといい」

マシリの言葉を聞くと、沙羅は手紙へと目を通す。


༻೫✤ஜ༻೫✤ஜ༻೫✤ஜ༻
竜神太子マシリ殿下

この度は、沙羅の嫌疑を晴らしていただき、大変感謝しております。
私どもでは、こうも上手く立ち回れなかったことでしょう。
ただ、今回のこともそうですが、この子は恐らく火種になります。
太子候補の順位は高くありませんが、何故か能力的には評価されております。
本人の努力の賜物ではあるのですが、こうなってみると少々やり過ぎだったのでしょう。

鴉としては、殿下の思いも沙羅の思いもあまり歓迎は致しません。そこに、どんな理由があろうとも。
ただし、一人の親としては、両人の思いが通ずることを嬉しく思っております。
殿下は思い人を必ず守り、沙羅は思い人を支えられると信じております故。

きたる吉日。殿下の元へ思い人を送り届けましょう。

鴉長蔵
༻೫✤ஜ༻೫✤ஜ༻೫✤ஜ༻

「・・・父様?」

手紙を読み終わり、沙羅は呆然とそれだけを呟いている。
瞳は戸惑いの色を宿し、マシリへと向けられている。

「どういうこと?」
───いえ。何となくわかってはいるのだけど・・・

手紙をマシリへと返しながら、不安そうに沙羅が問えば、マシリは沙羅の手を取り、長椅子へと座らせる。
自身も沙羅の傍へと腰掛け、彼女の問へと返答する。

「まぁ、君との仲を鴉としては認められないけど、一人の親としては認めるよって事だろう。
そもそも、君をココに連れてきている時点で、そう言うことだ」

「そう言うこと?」

「ああ。既成事実でも作ってしまえってことだろう。
子でも孕めば、君との仲は揺るがないだろうし」

「は?!」

沙羅の声は、戸惑いと驚きを含んでいる。顔が上気しているのは、羞恥からだろうか。

「長蔵の思惑通りに動くのはちょっと癪ではあるんだが・・・俺としては、君を抱きたいよ?
キスもしたい。でも、もうそれだけじゃ満足できないかな」

「ちょっちょっとまって・・・」

沙羅が慌てて、マシリの口を押さえようとするも、その手は彼によって阻まれている。

「だってそうだろう。君をココに匿っている間、キスは散々した。翻弄される君は可愛くて煽情的で・・・それなのに、印の更新だけで我慢してた。まぁ、ちょっと悪戯はしたけど。
君とのしがらみが、竜神と龍人であること。王家の血筋であることだけなら、俺は・・・」

マシリは、掴んでいた沙羅の手を引き、抱きしめる。
沙羅の手は、あわあわと宙を彷徨っている。

「沙羅・・・好き。愛してる・・・俺を受け入れて?」

耳元で吐息にのせるように囁けば、沙羅の身体は強ばり、これでもかと赤くなる。
囁かれた耳もまた、真っ赤で・・・マシリの目を楽しませている。
沙羅は、「あー」とか「うー」とか、言葉にならない声を発している。

どれくらいそうしていただろうか。
マシリが沙羅を抱きしめたまま、彼女の反応を待っていれば、沙羅の手がマシリの背に周り抱きしめ返してきた。

「私も・・・マシリが好き」

消え入るような小さな声で、沙羅はマシリへと伝える。
それを聞いたマシリは、腕に力を込め徐に沙羅を抱き上げる。

「きゃっ」

沙羅の驚いた声を尻目に、マシリは寝室へと向かう。
彼女を抱き上げたまま、器用に扉をあけると中に入り、きっちりと締める。

防音スカンラチラーチア

そして、少しだけ考えもう一つ術式を重ねる。

鍵穴隠しスティールイルパセルス・・・これでいいか」

「何を?」

マシリはベッドサイドへ腰掛け、その前に沙羅を立たせる。

「んー音漏れの防止とこの部屋に誰も入れないようにする細工?」

そう答えながらも、マシリの手は沙羅の羽織を脱がし、帯を解いている。
沙羅は、真っ赤な顔をしながら、時折マシリの手を止めようとする。しかし、それは力が込められていない。
そんなものは妨害にもならないと慣れた手つきで、沙羅を襦袢だけにすると、再度抱き上げベッドへと座らせる。

「そんなに怖がるなって言っても無理そうだよね・・・んーめいっぱい優しくする」

「・・・うん」

身体を強ばらせたままの沙羅に、マシリは触れるだけの口づけを何度かする。
少しずつ強ばりが溶けていくのを感じながら、啄むような口づけへと変える。
ちゅちゅっと小さな音をさせながら、マシリは沙羅の柔らかな唇を堪能している。
そして、長い口づけをしながら、沙羅の唇を舌先でつつき、舐める。それを合図としたように、沙羅は薄く唇を開け、彼の舌を受け入れている。
歯列を丁寧に舐め上げ、沙羅の舌先を舐めて誘う。
怖ず怖ずと沙羅が舌を差し出せば、マシリは自身の舌を絡ませていく。
ちゅくちゅくと淫猥な水音をさせながら、マシリの手は沙羅の頭を支え、深い口づけを与えていく。

「んっ・・・ふぅ・・・んぅ・・・」

時折角度を変えながらも、長くそして深い口づけ。
重なり合う唇から、唾液が溢れ伝っている。

「んぁ・・・ふぁ・・・んん・・・」

沙羅の唇から時折漏れる甘い声は、お互いの情欲を刺激し高めていく。
少し鼻にかかったような・・・それでいて普段よりも甘さを多く含んだ声・・・
マシリは襦袢の伊達締めを緩ませ取り除く。
一度口づけをやめ、沙羅を押し倒し組み敷くと、再度口づけを始める。
沙羅の思考は蕩け、マシリに与えられる口づけしか考えられなくなっている。

「沙羅・・・」

口づけの合間に、沙羅の名を呼び、邪魔な己の衣服を脱ぎ去る。
そこには、沙羅がいつかの朝に見た、程よく筋肉のついた肉体が惜しげもなくさらけ出されている。

「沙羅可愛い」

とろんと惚けた瞳は、マシリの肉体を物欲しそうに見つめている。
沙羅の髪を何度か梳き、露わになった首筋へと唇を這わす。
手は、胸元へとのび大きな胸へと触れる。

「あ・・・」

小さな沙羅の声に応えるように、首の抜け根を強く吸い、花を咲かせる。
両手で胸を掬うようにもみ、手のひらで揉み込んでいく。
唇は鎖骨へと滑り胸元へ。気か向くままに、赤い花を咲かせながら移動をしている。

「ん・・・んん・・・はぁ・・・」

ふにふにと優しく、そして強く緩急を付けながら、マシリは沙羅の柔らかい胸を好きに遊ぶ。
胸の谷間へと舌を這わしながら、頂へと目を向ける。
そこは、慎ましく主張をはじめていた。
マシリは、引き寄せられるように、舌全体を使い舐める。

「ぁぁ・・・」

何度か舐め上げ、乳輪ごと口に含み、ちろちろと舌先で舐め、吸い上げる。時に唇でしごき、かるく歯をたてる。
同時に、反対を手のひらで捏ねながら、頂を指先で擦り込む。
沙羅の口からは、甘い声が微かに聞こえる。

「んん・・・んぅ・・・」

そちらに目を向ければ、手の甲を唇に当て、漏れる声を我慢する姿があった。

「沙羅・・・声を聞きたいから・・・我慢しないで?」

胸への刺激はそのままに、少し掠れる声で告げる。
空いた手で、口元にある沙羅の手をどけ、指を絡め握り混む。

「あっ・・・んぁ・・・ゃぁ・・・」

「きもひい?」

沙羅の甘い声にそう聞いてやれば、彼女はいやいやと首を左右に振る。
けれど、口元から漏れる声は、艶やかで甘い声。それは、マシリの情欲だけでなく、沙羅自身の情欲も刺激していた。

「ぁぁ・・・っ・・・んん・・・ぁっ・・・」

しばらく丁寧にそしてしつこく胸を愛撫する。
両の手で揉み込み、頂を刺激する。時に埋め込むように、指先でつまみかるくひねったり。
舌は乳房を舐め、時に花を咲かせる。頂を含み刺激することも忘れない。
沙羅の羞恥は次第に薄れ、思考は甘く蕩かされていく。
次第に腰が揺れ、股をすり合わせるような動きを始めるが、マシリはしばらく胸への愛撫を続けていた。

気が済んだのか、胸への愛撫を辞め、マシリは身を起こす。

「んっ・・・ましり・・・?」

沙羅は少しだけふわふわした思考のままに、彼を呼ぶ。
マシリは、優しく沙羅へと口づけながら、腹へと指を這わし、下着をはだけさせる。
そして、陰部へと直接指を這わせれば、くちゅりという淫猥な水音と共に、沙羅の甘い声があがる。

「ひぁ・・・」

閉じられた花弁を開き、蜜壷の入口をくるくると指で刺激する。
そうしていれば、くちゅくちゅという水音が次第に大きくなっていく。

「よかった・・・ちゃんと濡れてる」

マシリの呟きは沙羅の耳には届かず、甘い声だけをあげている。
少し指を上へと這わせれば、赤く主張を始めた花芯へとたどり着く。

「やっ・・・まっ・・・」

指先でくるくると優しく刺激していれば、くちゅと小さな水音も混ざる。

「こりこりしてきた・・・」

「ひぁ・・・ぁぁ・・・ゃぁ・・・」

「舐めてもいいんだけど・・・どうする?」

マシリの問に、沙羅はいやいやと首を左右に振る。
けれど、その間も甘い声は次第に高く甘さを増していく。

「んー・・・わかった。じゃあ、今度ね」

そう言ってマシリは、花芯へと触れる速度をあげる。
触れる指先は優しく、それでいて速度だけが上がっていく。
沙羅が逃げ出さないように、押さえ込み愛撫を続ける。

「ゃぁ・・・まっ・・・こわ・・・なに・・・んっ」

沙羅の声は、甘さを増すが、そこに少しの怯えが見え隠れする。

「大丈夫・・・怖くないから・・・気持ちよくなって?」

止むことのない、甘い責め苦。痛いわけではない。優しくて・・・それでいて・・・気持ちいい・・・
マシリは愛撫を辞めることなく、沙羅を追い詰めていく。
くちゅくちゅという淫猥な水音は、絶え間なく聞こえていて、それもお互いの情欲を刺激する。

「んっ・・・ぁぁぁ・・・・・・っ」

沙羅の腰が跳ね、弛緩する。
マシリは指先を蜜壷へと移動させ、つぷんと埋め込んだ。

「ぁぁ・・・っ」

「せまい・・・けど、うねうねしてる」

マシリはごくりと喉ならしながら、焦らないようゆっくりと円を描くように動かしながら、指を埋め込んでいく。
根本まで埋め込んだところで、沙羅の表情に苦痛がないことを確認する。

「大丈夫?」

「んっ・・・変な感じする・・・」

「そっか・・・」

マシリは沙羅の唇へと口づけを落とし、ゆっくりと指を動かし始める。
円を描くように動かしながら、指先で引っかくような動きをさせる。

「ひぁ・・・っ」

「ん?ここか?」

マシリは、沙羅の反応が違った箇所を執拗に指先で刺激を始める。
くちゅくちゅという水音と共に、沙羅の甘い声が響く。
蜜壷はマシリの指先を抱き込むように収縮し、うねっている。

「んっぁぁ・・・っ」

どれ位そうしていたか・・・ひときわ高い甘い声とともに、蜜壷が締まり、そして弛緩する。
マシリは埋める指を増やし、抽挿を始める。
ぐちゅぐちゅという水音に空気の抜けるような音が混じる。

「ぁっ・・・ぁぁ・・・んっ・・・」

指は次第に増え、蜜壷は三本の指をくわえ込んでいた。
そして、三度目に達したとき、ふわふわと微睡んでいる沙羅の蜜壷から指を抜き、花弁へとマシリ自身をあてがう。
何度かゆるゆると花弁の上を滑らせ、マシリ自身の硬く立ち上がったそれへと蜜を絡ませている。

「沙羅・・・受け止めて」

彼女の返事も待たず、マシリは己自身を蜜壷へと埋め込み、そして一気に突く。

「くっ」

そう漏れたのは、どちらの声だったろうか・・・
快感に飲まれていた沙羅の瞳には、少しの苦痛が浮かんでいる。

「ごめん・・・大丈夫?」

「んっ・・・ちょっと苦しい・・・」

「そっか、しばらくこうしてる」

マシリは沙羅へと深い口づけを与え、胸を軽く刺激する。
沙羅から漏れる声に甘い色が濃くなる頃、マシリは時折腰を揺らし、別の刺激を与えてやる。

「ふっ・・・んっ・・・」

しばらくそうしていれば、沙羅の声は甘く艶やかなものに戻っていた。

「ごめん・・・そろそろ、限界」

マシリは大きく腰を引き、そして突く。
沙羅が反応を示した箇所を擦るように抽挿を繰り返す。

「はっ・・・」

「んっ・・・ぁっ・・・」

ぐちゅぐちゅという音に時折空気が混ざる。そして、肉と肉がぶつかり合うパンパンという音が響いていた。
それにかき消されるように、マシリの小さな声と沙羅の甘い声が混じっている。

「ぁっ・・・ぁっ・・・ま・・・しり・・・もう・・・」

「ん・・・俺もそろそろ・・・」

その会話を皮切りに、マシリの腰の動きが早まり、抽挿の速度があがる。
それに伴うように、沙羅の甘い声が大きく切羽詰まったものにかわる。

ぐちゅぐちゅぐちゅ・・・
ぱん・・・ぱん・・・ぱん・・・

沙羅が一際大きく甘い声を発し達した。
それを追うように、マシリも何度か腰を振れば、沙羅を抱きしめ最奥へと欲望を吐き出した。
沙羅は己の中に暖かなものが流れ出るのを感じながら意識を手放した。


「・・・沙羅?」

マシリが達した感覚から戻り、沙羅へと呼びかけるも反応はない。

「・・・はぁ」

沙羅が意識を手放していることに気づき、彼女の蜜壷から自身を引き抜く。
それに合わせるように、くぷっと言う音共に、己の欲望が溢れ出た。

「このまま眠ってしまいたいが・・・清めてやるか・・・」

マシリは一度浴室へと生き、自身のみを清めると同時に、未だ燻る熱を発散させる。
そして、ぬれタオルで沙羅の身体を清める。
その際にぐずぐずになった、襦袢と下着をそっとはぎとる。

「・・・このままで、いいか」

しばらく沙羅の裸体を眺めていたマシリは、彼女の横へと転がり掛布に包まる。
そして、沙羅の裸体を己の裸体で包み込むように抱きしめ、眠りに落ちていった。


❧❧❦❧❧

沙羅は夢を見ていた。
恋と言うには、淡い想い。けれど、確かにそれはあった。

「忘れないでくれてありがと」

それは、礼と共に沙羅へと溶け込み、自身と一つになる。
そして・・・新たなる想いに変わり・・・想いは確かなものになる。

「これからは、いっしょ」


❧❧❦❧❧

早朝。少しだけ明るい室内で、沙羅は目を覚ます。

「ん・・・」

目の前に広がる、胸板に少しの羞恥と安堵が胸に広がる。

───昨日私は彼と・・・

少し身動ぎをすれば、己の中から何かが漏れるのを感じ、慌て、そして顔を羞恥に染める。
己から溢れるものが、彼の欲望であると思い至ったからだ。
そして、無意識に胸板へと唇を寄せ、見よう見まねで花を散らしてみる。
薄く頼りなげな花ではあるけれど、どこか心の柔らかい所で満足感を感じる。

「ふふ」

指先で触れ、彼の体温を感じていれば、頭上から何時もよりも色が多分に含まれた声が振ってきた。

「・・・朝から煽った覚悟はできてる?」

「え?」

沙羅の驚きなど意に介さず、掛布の中でマシリは沙羅を組み敷いた。

「沙羅は無意識に煽るよね。だから、俺みたいなのに食べられる」

そう言って、いきなり深い口づけをする。
多分に戸惑いながらも、沙羅はそれに応えている。


清々しい朝日が差し込む中、二人の色を含む甘い声にくちゅくちゅという淫猥な水音が響く。時には肉がぶつかる音も紛れ、それは日が高く昇るまで絶えることはなかった。


二人の行く末は、平坦なものではないだろう。
既に眼前に問題が山積みされている。
けれど、二人なら大丈夫。そう思える何かをお互いに感じていた。



おわり
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