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1章
風の吹く村
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「本当に巻き込んでごめんね。」
「宿代が浮いたから気にしてないさ。」
時間が経ち日も落ちきった時間にエマの部屋で持ち物の整備を始めた。
整備といっても汚れを拭き取るだとかカバンの中を整理する程度だ。
エマはその様子を枕を抱えながらベッドの上でソワソワと見ている。
「見たいならどうぞ?」
「いいの!?」
ベッドから降りて私の道具を恐る恐る触る。
珍しい道具ばかりだからか目を輝かせながら楽しそうにしている。
「これはなんの道具?」
「それは...。」
エマが持っているのは星をモチーフにした金属でできた飾りだった。
「ただのペンダントトップだよ。ほら、ネックレスの。」
「え?やだ、恥ずかしい。」
顔が赤くなるエマを少し笑えば怒ったように肩を叩く。
エマから星のペンダントトップを返してもらい少しそれを眺める。
「...。」
「あ、そうだわ!」
エマが思い出したように手を叩くもんだから少し驚きながら星のペンダントトップをカバンにしまう。
「ここね星が綺麗なのせっかくなら見に行かない?」
そう言われ窓の方を見れば確かに部屋の中からでも星が見えた。
「怒られない?」
「大丈夫。お父様そうゆうことは気にしないの。」
少し困ったように笑うエマを余所に広げていた道具を次々にカバンに入れ立ち上がる。
「それじゃ連れてってくれる?」
「...!もちろん!」
外に出ると風が冷たく気持ちがいい。
むしろ肌寒いほどだった。
「こっち!」
エマは慣れた足取りで楽しそうに村の外れへと向かう。
畑を抜け、小道を少し登った先。
小さな家が1軒建つ開けた場所へ出た。
「ここ好きなの。」
そう言ってこちらを振り返るエマの向こうで星空が降るように煌めいていた。
旅の最中星を見る時間はいくらでもあった。
だがこの星空はそれを超える美しさだ。
村の灯りは遠く、夜が濃い。
空は深く星が近い。
「...綺麗だな。」
それしか言えなかった。
「でしょ?」
エマが得意げに胸を張る。
「小さい頃はねお父様とお母様とよくここに来て星を見ていたの。」
エマが草の上に腰をおろし星を眺める。
私もその横に立ったまま星を見上げる。
「私、あの時間がいちばん好きだった。」
思い出に浸るようにそんな話をしていた。
声色からも伝わる程うっとりとした気持ちは心からの本心だろう。
数秒静かな時が流れた。
エマが絞り出すように話し出す。
「お父様ね、お母様が死んでからあぁなっちゃったの。優しくてお母様と笑ってるお父様はもういなくなっちゃった。」
表情は見えなかった。
どんな思いで彼女がこの話を私にしたのかは定かじゃない。
こうゆう時、私はどんな言葉を返せばいいか分からない。
「ねぇ、旅って楽しい?」
先ほどとは打って変わって純粋な顔をこちらに向けていた。
若干の気まずさにどうしようか考えていればそんな楽しそうな顔を向けてくるものだから笑ってしまう。
エマの隣に腰をおろす。
星をひとつ眺めながらゆっくり口を開く。
「楽しいよ。」
一言呟けばエマが隣でクスクスと笑う。
「...なんで笑うんだ。」
「本当に旅が好きなんだなぁ、って。」
その反応に恥ずかしながらもため息を着く。
「私ね、自由で居たいの。旅人って自由の象徴じゃない?だから私も旅人になるって嘘ついたけど、別に旅人だけが自由じゃないと思うの。」
エマが立ち上がり私の前で大きく手を広げる。
「だってこんなにも世界は広くて星が綺麗なのよ?」
エマのよく分からない主張に頬を緩ませながら立ち上がればエマは私の手を取り丘の上を軽快に走り回る。
夜風が吹く。
草が揺れ、星が瞬く。
目の前の少女は楽しそうに丘を駆け巡る。
その様子は悪いもんじゃない。
たまにはこうゆう旅だっていいじゃないか。
「宿代が浮いたから気にしてないさ。」
時間が経ち日も落ちきった時間にエマの部屋で持ち物の整備を始めた。
整備といっても汚れを拭き取るだとかカバンの中を整理する程度だ。
エマはその様子を枕を抱えながらベッドの上でソワソワと見ている。
「見たいならどうぞ?」
「いいの!?」
ベッドから降りて私の道具を恐る恐る触る。
珍しい道具ばかりだからか目を輝かせながら楽しそうにしている。
「これはなんの道具?」
「それは...。」
エマが持っているのは星をモチーフにした金属でできた飾りだった。
「ただのペンダントトップだよ。ほら、ネックレスの。」
「え?やだ、恥ずかしい。」
顔が赤くなるエマを少し笑えば怒ったように肩を叩く。
エマから星のペンダントトップを返してもらい少しそれを眺める。
「...。」
「あ、そうだわ!」
エマが思い出したように手を叩くもんだから少し驚きながら星のペンダントトップをカバンにしまう。
「ここね星が綺麗なのせっかくなら見に行かない?」
そう言われ窓の方を見れば確かに部屋の中からでも星が見えた。
「怒られない?」
「大丈夫。お父様そうゆうことは気にしないの。」
少し困ったように笑うエマを余所に広げていた道具を次々にカバンに入れ立ち上がる。
「それじゃ連れてってくれる?」
「...!もちろん!」
外に出ると風が冷たく気持ちがいい。
むしろ肌寒いほどだった。
「こっち!」
エマは慣れた足取りで楽しそうに村の外れへと向かう。
畑を抜け、小道を少し登った先。
小さな家が1軒建つ開けた場所へ出た。
「ここ好きなの。」
そう言ってこちらを振り返るエマの向こうで星空が降るように煌めいていた。
旅の最中星を見る時間はいくらでもあった。
だがこの星空はそれを超える美しさだ。
村の灯りは遠く、夜が濃い。
空は深く星が近い。
「...綺麗だな。」
それしか言えなかった。
「でしょ?」
エマが得意げに胸を張る。
「小さい頃はねお父様とお母様とよくここに来て星を見ていたの。」
エマが草の上に腰をおろし星を眺める。
私もその横に立ったまま星を見上げる。
「私、あの時間がいちばん好きだった。」
思い出に浸るようにそんな話をしていた。
声色からも伝わる程うっとりとした気持ちは心からの本心だろう。
数秒静かな時が流れた。
エマが絞り出すように話し出す。
「お父様ね、お母様が死んでからあぁなっちゃったの。優しくてお母様と笑ってるお父様はもういなくなっちゃった。」
表情は見えなかった。
どんな思いで彼女がこの話を私にしたのかは定かじゃない。
こうゆう時、私はどんな言葉を返せばいいか分からない。
「ねぇ、旅って楽しい?」
先ほどとは打って変わって純粋な顔をこちらに向けていた。
若干の気まずさにどうしようか考えていればそんな楽しそうな顔を向けてくるものだから笑ってしまう。
エマの隣に腰をおろす。
星をひとつ眺めながらゆっくり口を開く。
「楽しいよ。」
一言呟けばエマが隣でクスクスと笑う。
「...なんで笑うんだ。」
「本当に旅が好きなんだなぁ、って。」
その反応に恥ずかしながらもため息を着く。
「私ね、自由で居たいの。旅人って自由の象徴じゃない?だから私も旅人になるって嘘ついたけど、別に旅人だけが自由じゃないと思うの。」
エマが立ち上がり私の前で大きく手を広げる。
「だってこんなにも世界は広くて星が綺麗なのよ?」
エマのよく分からない主張に頬を緩ませながら立ち上がればエマは私の手を取り丘の上を軽快に走り回る。
夜風が吹く。
草が揺れ、星が瞬く。
目の前の少女は楽しそうに丘を駆け巡る。
その様子は悪いもんじゃない。
たまにはこうゆう旅だっていいじゃないか。
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