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配達準備
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「じゃあ、今年のプレゼント配達ルートを説明しますね」
「ああ」
一つ、日を跨いで今はクリスマスイブの昼下がり。
家のフローリングに日本地図を広げて、ミルが配達経路を発表しようとしていた。
「今年は九州地方から行こうと思います。その後、四国、中国、近畿……って感じに進んで、最後に北海道で締めくくりましょう」
「うえ……やっぱり今年も全部周るのかよ……」
「当たり前ですよ」
「ほら、四国辺りは飛ばしてもバレないと思うんだけど……」
「バレるわ!そもそもそーゆー問題じゃないし!」
「お願いだから真面目にやって下さいよ……」
気を取り直して、ミルが説明を続ける。
「例年同様に、今年も一四歳以下の子供達にプレゼントを配ります。その数、約二千万人です」
「おえ……」
「ダラダラしてるとクリスマスまでに間に合わなくなる危険性があるので、迅速に配っていきましょう。出発は子供達が寝静まる頃の午後九時です」
「寝るの早いな~感心感心」
「あ、それからシンジさんにはコレを」
コレと言って、ミルからスマートフォンの様な機械を渡された。この機械を使う事で、一人一人の欲しいものが一目で知る事が出来るのだ。
「毎度お馴染み、サンタフォンです」
「毎回思うんだけど名前ダサいよな」
「仕方ないじゃないですか。他に思いつかなかったんですから」
「ああそう……全く。これさえ壊れてくれればサボれるのになあ」
「いや、それ絶対壊れない様に作られてるから」
俺の独り言に、すかさずジェイがツッコミを入れる。
昔のサンタは、大きな白い袋に全てのプレゼントを詰め込んで配達していたと聞くが、今ではそんな非合理的な事はしない。(そもそも重すぎて動けない)
サンタフォンは、子供達が欲しがっている物を知ることが出来ると同時に、それを一瞬で出現させることも可能だからだ。
そんな事なんて知らずに、世間はクリスマスイブという事で、カップル達が楽しい一日を過ごしているに違いない。きっと今頃は二人で仲良く昼ご飯を食べているのだろう。
それに比べてこっちは強制労働か。虚しさで涙が出そうだった。
「あーあっ、俺も一回くらいクリスマスは女の子と過ごしてみたいものだな。変なトナカイとじゃなくて !」
「悪かったな変なトナカイで」
「ま、良いじゃないですか。どっちにしろシンジさん彼女いないんですし」
「うっさいわ!ジンギスカンにしてやろうか!?」
「それ羊肉ですよ……」
「じゃあ馬刺しにしてやる!」
「それは馬肉だよ……漢字に馬って入っちゃってるじゃん」
鹿肉の料理名が分からず、つい滅茶苦茶な事を言ってしまった。ミルとジェイが呆れた様な口調で訂正してくるので、何とか俺は冷静を取り戻して言った。
「いいんだよもう。来年は絶対彼女作って楽しいクリスマスを過ごすから」
「それよりも、今は目の前のことに集中してくださいよ。さっきも言った様に、夜の九時に出発なんですよ」
「まだまだ時間あるじゃん。ゲームでもしよっかな」
「ダメ!シンジは今から出発の時間まで睡眠を取るんだよ!」
「なんで!?眠くないんだけど!」
「プレゼント配ってる最中に眠たくなったら大変だからだよ!ソリから落ちて死ぬのは嫌だろ?ちゃんと時間になったら起こすからさ」
「そうですよ。去年も一昨年もその前も大丈夫!って言いながら、仕事中ウトウトしてたじゃないですか」
「くっそぉ……鬼め…….!」
「悪かったな鬼で」
しぶしぶ自分の部屋に戻り、布団に入って電気を消した。
起きたばかりだったので、絶対眠れないと思っていたのだが、意外にも横になってみると眠気が現れてきた。
子供達に夢を与え、自分の自由時間を失う仕事を、もう八年も続けている。八年間、いつも与える側なので、たまにはこっちから願い事をしてみるのも悪くないだろう。そう思って、小さな声で呟いた。
「神様……俺に幸せな時間をください」
クリスマスイブの昼空には、二日連続で白い雪が降っていて、辺り一面に銀世界を作り上げていた。
「ああ」
一つ、日を跨いで今はクリスマスイブの昼下がり。
家のフローリングに日本地図を広げて、ミルが配達経路を発表しようとしていた。
「今年は九州地方から行こうと思います。その後、四国、中国、近畿……って感じに進んで、最後に北海道で締めくくりましょう」
「うえ……やっぱり今年も全部周るのかよ……」
「当たり前ですよ」
「ほら、四国辺りは飛ばしてもバレないと思うんだけど……」
「バレるわ!そもそもそーゆー問題じゃないし!」
「お願いだから真面目にやって下さいよ……」
気を取り直して、ミルが説明を続ける。
「例年同様に、今年も一四歳以下の子供達にプレゼントを配ります。その数、約二千万人です」
「おえ……」
「ダラダラしてるとクリスマスまでに間に合わなくなる危険性があるので、迅速に配っていきましょう。出発は子供達が寝静まる頃の午後九時です」
「寝るの早いな~感心感心」
「あ、それからシンジさんにはコレを」
コレと言って、ミルからスマートフォンの様な機械を渡された。この機械を使う事で、一人一人の欲しいものが一目で知る事が出来るのだ。
「毎度お馴染み、サンタフォンです」
「毎回思うんだけど名前ダサいよな」
「仕方ないじゃないですか。他に思いつかなかったんですから」
「ああそう……全く。これさえ壊れてくれればサボれるのになあ」
「いや、それ絶対壊れない様に作られてるから」
俺の独り言に、すかさずジェイがツッコミを入れる。
昔のサンタは、大きな白い袋に全てのプレゼントを詰め込んで配達していたと聞くが、今ではそんな非合理的な事はしない。(そもそも重すぎて動けない)
サンタフォンは、子供達が欲しがっている物を知ることが出来ると同時に、それを一瞬で出現させることも可能だからだ。
そんな事なんて知らずに、世間はクリスマスイブという事で、カップル達が楽しい一日を過ごしているに違いない。きっと今頃は二人で仲良く昼ご飯を食べているのだろう。
それに比べてこっちは強制労働か。虚しさで涙が出そうだった。
「あーあっ、俺も一回くらいクリスマスは女の子と過ごしてみたいものだな。変なトナカイとじゃなくて !」
「悪かったな変なトナカイで」
「ま、良いじゃないですか。どっちにしろシンジさん彼女いないんですし」
「うっさいわ!ジンギスカンにしてやろうか!?」
「それ羊肉ですよ……」
「じゃあ馬刺しにしてやる!」
「それは馬肉だよ……漢字に馬って入っちゃってるじゃん」
鹿肉の料理名が分からず、つい滅茶苦茶な事を言ってしまった。ミルとジェイが呆れた様な口調で訂正してくるので、何とか俺は冷静を取り戻して言った。
「いいんだよもう。来年は絶対彼女作って楽しいクリスマスを過ごすから」
「それよりも、今は目の前のことに集中してくださいよ。さっきも言った様に、夜の九時に出発なんですよ」
「まだまだ時間あるじゃん。ゲームでもしよっかな」
「ダメ!シンジは今から出発の時間まで睡眠を取るんだよ!」
「なんで!?眠くないんだけど!」
「プレゼント配ってる最中に眠たくなったら大変だからだよ!ソリから落ちて死ぬのは嫌だろ?ちゃんと時間になったら起こすからさ」
「そうですよ。去年も一昨年もその前も大丈夫!って言いながら、仕事中ウトウトしてたじゃないですか」
「くっそぉ……鬼め…….!」
「悪かったな鬼で」
しぶしぶ自分の部屋に戻り、布団に入って電気を消した。
起きたばかりだったので、絶対眠れないと思っていたのだが、意外にも横になってみると眠気が現れてきた。
子供達に夢を与え、自分の自由時間を失う仕事を、もう八年も続けている。八年間、いつも与える側なので、たまにはこっちから願い事をしてみるのも悪くないだろう。そう思って、小さな声で呟いた。
「神様……俺に幸せな時間をください」
クリスマスイブの昼空には、二日連続で白い雪が降っていて、辺り一面に銀世界を作り上げていた。
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