天使のような君に恋をした

雨のち晴れ

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第一章 君を好きになる

オリエンテーションキャンプ一日目①

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 五月中旬に入った今日この頃。青龍高校一年生達は皆気分が上がっていた。その理由はオリエンテーションキャンプと言う行事の存在だ。オリエンテーションキャンプとはクラスの友達だけでは学年全体として仲を深めクラス以外の人と友達になるのが目的だ。もちろんよりクラスの絆を深めようと言う目的もある。二泊三日の宿泊行事はきっと良い思い出になることだろう。
 日曜日の午前中俺は妹と買い物に来ていた。なぜ妹がいるのか。それは俺がシスコンだからではない。オリエンテーションキャンプ用の服を買いに行くと妹に伝えると「私も行く!」と後をつけて来た。自分の服を選ぶセンスは少しばかり不安があるので、自称オシャレ上級者と言う中学三年の妹を連れてきた。

「お兄ちゃんが服を買うなんて信じられないよ」

今までオシャレなど興味は無かった。毎日部活だった中学時代は練習着だけでよかったし。たまに出かける時は母が買ってきたユニクロかGUの服を着ていた。しかし、最近の高校生はオシャレな服を着ている人が多い。このままでは春奈を振り向かせることは出来ないと考えたのだ。とりあえず一店舗に入った。

「お兄ちゃんさ、好きな人でもできた?」

背筋がビクッとなる。なかなかに感の鋭い妹だ。

「さあー、どうだろうね」
「初恋の子はもういいの?」

初恋の子とは小学生の修学旅行で行った京都で出会った。グループで自由行動の時、俺は迷子になってしまった。一人で何も知らない京都をぐるぐる歩いていた。その時たまたま違う小学校の先生に助けてもらえた。担任の先生が来るまでその初恋の子が遊んでくれたんだ。小学校の名前も初恋の子の名前もわからない。ただ手元にはあの時撮った一枚の写真が残っていた。少し昔のことを思い出していたけれど大切なは今の恋だ。きっとあの子もう俺を忘れている。彼氏がいるかもしれない。一枚の写真をそっと閉まった。「その写真まだ持ってたんだ」と言う妹は俺のために真剣に服を選んでくれていた。

「初恋の子みたいに明るくて素敵な笑顔する人に出会ったんだ」
「新しい恋を見つけたんだね。お兄ちゃん」

嬉しそうな妹と恥ずかしくなっている俺。その後も二店舗くらい服屋を周り、妹が選んだ服を試着して買い物は終わった。俺は妹にお礼としてアイスクリームをプレゼントした。アイスクリームを食べながら妹が聞いてきた。

「連絡先はもう交換したの?」
「まだ、してない」
「本当にお兄ちゃんは恋愛初心者だね!連絡先は必須だよ!」 

ショッピングモールのフードコートで自分の妹による恋愛相談会が始まっていた。こうして俺は恋愛のノウハウを妹に叩き込まれたのだ。

 そして迎えたオリエンテーションキャンプ一日目。学校の前には大型バスが三台止まっていた。ちなみに俺は三号車、春奈は二号車だ。 

「おはよう!勝利君!」

肩をトントンとして挨拶をしてくれた春奈。またも弱っているはずの心臓が激しく動き始めた。

「おはよう!キャンプ楽しみだね」
「うん!楽しみ!バス違うけど、キャンプ場着いたらまた話そうね」

春奈は同じバスに乗る友達とどこかへ行ってしまった。春奈と仲良くしている友達もいるようだ。

「おーい!橘、そろそろバス乗ろうぜ!」

幸助が俺を呼んでいる。前の方の座席の俺たちが席につくと、少ししてからバスが動き始めた。俺たちの二泊三日の旅が始まる。

 俺たちはバスからサービスエリアでトイレ休憩をするために降りることにした。ここのサービスエリアはトイレの数がびっくりするほど多かった。これには幸助も「どこで放尿するかなぁ」と気持ちの悪い言葉使いだがトイレの数に驚いたようだ。二人で並んでトイレをしている時に幸助が話しかけてきた。

「橘、お前小さくねぇか」
「どこ見てんだよ。エロ坊主ってあだ名がそりゃ付くわ」

トイレが終わった俺たちは手を洗い、バスへと帰って行く。俺は席につくと一日目の予定を見るためにしおりを開いた。一日目はまず到着してテントを建てる。そして夕飯のカレー作り、夜にはキャンプファイヤーと天体鑑賞があるようだ。

「狙い目はこのキャンプファイヤーだな」

幸助が俺にもたれながらしおりを見てきた。

「春奈さん狙ってるんだろ。協力するぜ!」
「別に狙ってるとは言ってない」
「素直になれよ。一人や二人協力してくれる仲間はいた方がいい」

幸助が肩に手を回してそう言った。確かに妹も「友達に協力してもらうのはあり」と言っていた。俺は「頼むわ」と一言だけ添えてお願いした。幸助は親指を立てて「グッド」と言って笑った。これは春奈から聞いた話だが、このキャンプファイヤーを好きな人と見ると両思いになるとかどうとか言っていた。多分このことはみんな噂程度だろうけど知っているはずだ。俺が春奈を誘ってことはつまり告白しているようなものだと思う。俺は昔から変わらない。周りの目線ばかり気にして、周りの評価ばかりを気にする俺が嫌いだった。幸助や翔飛のようにもっと自分に素直になれたら恋は少し楽になるだろうか。

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