150 / 185
えぴろーぐ
1
しおりを挟むピンクのチューリップ『誠実な愛』
四本のチューリップ『あなたを一生愛します』
ジャスミン『あなたと一緒にいたい』
百八本の薔薇『結婚してください』
三百六十五本の薔薇『あなたが毎日恋しい』
ユーフォルビア・ダイヤモンドフロスト『君にまた会いたい』
ストック『愛の絆』
花々が語る愛の言葉。
★ ★
──予感がして、家の外に出た。
樹が外で待っている予感が。
昨年の今日樹が僕の卒業を祝ってくれたように、僕も樹の卒業を祝いたい。
贈り物を手に。
外は雪がちらついていた。
濃いピンク色の花をつけた河津桜に雪が積もり、それが朝焼けで紅く染まる。
昨年の今日とまるで同じ光景。
僕らと一緒に卒業出来なかった樹が卒業するこの日に、再び見ることの出来た奇跡。
パタパタと道を渡って来た樹は高校の制服を着ていて、樹と一緒に卒業したかった昨年の、制服姿の僕と繋がったような気がした。
樹はフェンスの向こう側ではなく、フェンスを回って河津桜の下にいる僕の傍らまで来た。
「いっくん、卒業おめでとう」
樹の顔を見上げ、僕は言う。
「ありがとう、ナナ」
樹の少し照れ臭いような顔が眩しくて、僕はどきどきした。
でも、どきどきしているのはそれだけじゃない。
後ろ手に持っている樹への贈り物がカサっと音を立てる。
花言葉は。
一つの花にいくつか意味があったり、時には色や本数にも意味がある。ネットで調べてもライターに依って微妙に解釈も違う。
だから樹がくれた花たちも、僕が都合よく思っている意味とは違うかも知れない。そもそも目についた花を買っただけで、意味なんてない可能性も大きい。
(女の子とつき合っていたいっくんが、男の僕のことを……なんて、考え辛い……)
間違ってるかも。でも、気持ちは伝えよう。
樹なら受け止めて、間違いでも『親友』でいさせてくれることを信じて。
「あの……いっ……」
「俺!」
言いかけてところで、それを遮られた。樹には珍しい性急さが声に現れている。
「大学も合格して、卒業も出来たら、ナナに伝えようと思った。俺」
(わわっいっくんっ何言うつもりだろっ。でも、とりあえず僕がさきっ)
「あ、待って待って」
僕は慌てて遮り返した。
「え……」
「あの……先プレゼント渡していい?」
上目遣いに見る。
樹の顔に訝しむような色が滲む。
「あの……これ……」
後ろ手に隠していた贈り物を自分の顔の前に持ってきた。
──赤い薔薇の花九本の花束。
「あ……」
花の間を透かしてみると、切れ長の目が一瞬まん丸になったような気がした。
僕は花束で隠れた顔をひょいと覗かせて。
それからおずおずと短い言葉を発する。
「あの…………僕、間違ってる?」
46
あなたにおすすめの小説
嫌いなあいつが気になって
水ノ瀬 あおい
BL
今しかない青春だから思いっきり楽しみたいだろ!?
なのに、あいつはいつも勉強ばかりして教室でもどこでも常に教科書を開いている。
目に入るだけでムカつくあいつ。
そんなあいつが勉強ばかりをする理由は……。
同じクラスの優等生にイラつきを止められない貞操観念緩々に見えるチャラ男×真面目で人とも群れずいつも一人で勉強ばかりする優等生。
正反対な二人の初めての恋愛。
【完結済】俺のモノだと言わない彼氏
竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?!
■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
あなたのいちばんすきなひと
名衛 澄
BL
亜食有誠(あじきゆうせい)は幼なじみの与木実晴(よぎみはる)に好意を寄せている。
ある日、有誠が冗談のつもりで実晴に付き合おうかと提案したところ、まさかのOKをもらってしまった。
有誠が混乱している間にお付き合いが始まってしまうが、実晴の態度はいつもと変わらない。
俺のことを好きでもないくせに、なぜ付き合う気になったんだ。
実晴の考えていることがわからず、不安に苛まれる有誠。
そんなとき、実晴の元カノから実晴との復縁に協力してほしいと相談を受ける。
また友人に、幼なじみに戻ったとしても、実晴のとなりにいたい。
自分の気持ちを隠して実晴との"恋人ごっこ"の関係を続ける有誠は――
隠れ執着攻め×不器用一生懸命受けの、学園青春ストーリー。
【完結】君を上手に振る方法
社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」
「………はいっ?」
ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。
スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。
お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが――
「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」
偽物の恋人から始まった不思議な関係。
デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。
この関係って、一体なに?
「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」
年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。
✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
キミがいる
hosimure
BL
ボクは学校でイジメを受けていた。
何が原因でイジメられていたかなんて分からない。
けれどずっと続いているイジメ。
だけどボクには親友の彼がいた。
明るく、優しい彼がいたからこそ、ボクは学校へ行けた。
彼のことを心から信じていたけれど…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる