162 / 185
番外編〜はじまりの裏側で〜
エピソード4
しおりを挟む門からまっすぐ校舎に続く石畳。
登校時そこを樹と歩いている途中で不意にぶつかって来た子。
ちっさくて目の辺りまて前髪で隠れてて顔はイマイチわからない。
中学生?! かと思ったがそんなわけはなく。普通にうちの高校の制服を着ていた。
余りに可愛いんで声を掛けたら、樹に「カナ、絡むなよ」と止められた。
(絡んでません!)
ツッコんでやろうかと思ったけど。
(およ?)
樹とその子の間に妙な空気が。
(知り合いか?)
二言三言口の中で呟いて、ついでに舌打ち。
その子が茫然としている間に、オレも置いてさっさっと行ってしまう。オレは急いで追いかけた。
(なんだ、なんだ。気になるぞぉ)
とは思ったが、樹がめちゃめちゃ怖い顔をしてるので聞くに聞けず。
「ボクたちも仲良しこよししましゅか~」
「ばーか」
どうでも言い会話で納めた。
そんなこんながあってから。
数日が過ぎて、新学期が始まって初めて体育の授業に出ると。
(あ、あの子隣のクラスだったんだ)
その日、あの子は樹をちらちら見ているようだったけど、二人は話すことは元より近づくこともしなかった。樹も気づかれないようにはしていたが、なんとなく気にしているふうなのはオレにはわかった。
そして、次の体育の授業の時にオレたちは、木陰に座っていた。時間の初めのランニングはサボり、なんとなく上手いことを言ってあとから潜り込む算段だった。
そこにあの子が息を切らしてやってきた。
初めは知らん顔していた樹が、思わずと言った感じで笑いを零す。
(えっ。わら? 笑った?)
いつも仏頂面か皮肉めいた笑いしかしない樹が!
(まぁ、つき合い長いオレといる時は笑うけど。たまには? たぶん?)
でもこんなに優しげな顔を初めて見るような気がする。
『相変わらず……』と呟いていた。
やっぱり二人は知り合いみたいだ──オレは邪魔をしてやりたくなった。
「あれ~~見つめ合っちゃったりなんかして、二人は知り合いなのかな~」
『ななちゃん』はおどおどした印象はあるけど、素直で可愛い子だ。オレの周りには絶対いないタイプ。
(なんか~好きかも~)
二人が熱く見つめて合っていたもんだから、邪魔してやろう、からかってやろう的な感じで、間に入ったけど、つい自分を紹介するのに夢中になってしまった。
そして、つい出来心で──前髪に隠れている目を見てやろうと手を伸ばす。
(この子、ぜったい可愛いぞ。オレのカンは当たる! それに……なんだか前に会ったことがあるような)
それは七星が言うように、この間ぶつかった時ではなく。でも自分でも思い出せないようなもやもやした感じ。
が。
「いたたたたっっ」
今までしらっとしていた樹が、いつの間にかオレの後ろに立っていて、手首をぎゅっと掴んだ。
(なにっ。 めっちゃ力つよっ)
それ以上七星に近づくことが出来なかった。
「なに? 樹! 痛いよぉ」
「もう行こうぜ」
樹はそう言うと、手首を離して背を向ける。
「え? 今日体育出るんじゃなかったの? ちょっと待って」
オレも立ち上がって追いかけた。
「ななちゃん、またね~~」
七星に手を振って樹を見ると、樹も一瞬オレを見てまた前を向いた。
(うわっ。なになにっ。めっちゃ睨まれたよぉぉ)
39
あなたにおすすめの小説
嫌いなあいつが気になって
水ノ瀬 あおい
BL
今しかない青春だから思いっきり楽しみたいだろ!?
なのに、あいつはいつも勉強ばかりして教室でもどこでも常に教科書を開いている。
目に入るだけでムカつくあいつ。
そんなあいつが勉強ばかりをする理由は……。
同じクラスの優等生にイラつきを止められない貞操観念緩々に見えるチャラ男×真面目で人とも群れずいつも一人で勉強ばかりする優等生。
正反対な二人の初めての恋愛。
【完結済】俺のモノだと言わない彼氏
竹柏凪紗
BL
「俺と付き合ってみねぇ?…まぁ、俺、彼氏いるけど」彼女に罵倒されフラれるのを寮部屋が隣のイケメン&遊び人・水島大和に目撃されてしまう。それだけでもショックなのに壁ドン状態で付き合ってみないかと迫られてしまった東山和馬。「ははは。いいねぇ。お前と付き合ったら、教室中の女子に刺されそう」と軽く受け流した。…つもりだったのに、翌日からグイグイと迫られるうえ束縛まではじまってしまい──?!
■青春BLに限定した「第1回青春×BL小説カップ」最終21位まで残ることができ感謝しかありません。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
あなたのいちばんすきなひと
名衛 澄
BL
亜食有誠(あじきゆうせい)は幼なじみの与木実晴(よぎみはる)に好意を寄せている。
ある日、有誠が冗談のつもりで実晴に付き合おうかと提案したところ、まさかのOKをもらってしまった。
有誠が混乱している間にお付き合いが始まってしまうが、実晴の態度はいつもと変わらない。
俺のことを好きでもないくせに、なぜ付き合う気になったんだ。
実晴の考えていることがわからず、不安に苛まれる有誠。
そんなとき、実晴の元カノから実晴との復縁に協力してほしいと相談を受ける。
また友人に、幼なじみに戻ったとしても、実晴のとなりにいたい。
自分の気持ちを隠して実晴との"恋人ごっこ"の関係を続ける有誠は――
隠れ執着攻め×不器用一生懸命受けの、学園青春ストーリー。
【完結】君を上手に振る方法
社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」
「………はいっ?」
ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。
スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。
お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが――
「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」
偽物の恋人から始まった不思議な関係。
デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。
この関係って、一体なに?
「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」
年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。
✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧
✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧
キミがいる
hosimure
BL
ボクは学校でイジメを受けていた。
何が原因でイジメられていたかなんて分からない。
けれどずっと続いているイジメ。
だけどボクには親友の彼がいた。
明るく、優しい彼がいたからこそ、ボクは学校へ行けた。
彼のことを心から信じていたけれど…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる