クトゥルフの雨

海豹ノファン

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いざルルイエへ!

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「いよいよ溜まって来たわね」

私をマジマジと見つめるサキュラ。

「リミットよ」

「り…リミット?」

リミット…限界?何が限界だと言うのだろう?

「ポテンシャルリミット…内に秘める極限で自身のクトゥルフパワーを一気に高める能力よ」

「どう言う事?」

何だか言ってることがよくわからない。

「詳しく言えば貴女の「クトゥルフ・ブレイクリー、貴女の国で言うところの不幸体質というべきかしら?与えられた試練を乗り越えれば乗り越える程その力が強まり、究極の技「ポテンシャルリミット」を得る事が出来るわ」

次々と聞いた事もないワードが出てくるけどサキュラは今何か急いでる気がする。
みた感じはわからないけど…ずっと過ごしてきたからなんとなくわかるんだ。

「何か起こったの?最近、何か急いでる気が…」

「江戸華喧華が動き出した…」

「喧華さんがっ??」

喧華、おそらく徳島では最も強力なインスマス。
職場ではお局であり発言力強くて厳しかった人。
今は疎遠になって関係は無くなったと思ってたけどまさかインスマスの一アジトを築く程凄い人になってたなんて…。

「ルルイエで貴女の力を解放しない事には江戸華喧華を止める事は出来ない、協力してくれるわね?」

サキュラのいつになく真剣な頼み、勿論それを冗談で躱したり断れる私では無く。

「う、うん…」

と答える。
ルルイエがどんな所なのだろうか?
興味はある。

「ちょっとわい置いてく気か!?」

そこでトラテツが天井の穴からひょこっと顔を出す。

「と、トラテツなんて所から…!?」

引き戸とかなら何となくわかるが天井から出てくるとは…。

「ついて来なくていいのに」
「何でなだ!??」

しれっと言うサキュラに激しく突っ込むトラテツ。

「冗談よ」

相変わらずの無機質さなので冗談なのか本気なのかわからないがこれがサキュラの個性だ。

「とりあえずルルイエは異次元ホールを抜ければいけるから」

サキュラは何の変哲もない物置のドアに手をかざす。

するとサキュラのかざしたドアが一定時間輝き、元に戻った。

「さあ行くわよ」

そう言ってサキュラはドアを開けて向こう側へと歩いていく。

「待って!」

私とトラテツも後を追う。

江戸華喧華SIDEーーー

私には信じられないわ。
ルルイエがこんな目と鼻の先にあるなんて。

側近のゲンブが言うには鳴門の渦潮が異世界都市ルルイエへの入り口だとの事なので今私は部下を引き連れてこの鳴門の大渦潮を鳴門大橋から見つめている。

鳴門の大渦潮は底に空洞があるかのように大渦が渦巻いている。

船がその近くに来ると吸い込まれるのは確実だろう。

「はい、ルルイエ人なるものは異次元ホールとやらで自由に行き来出来るそうですが…」

「なんと…!?」

私達日本人には未知の世界ルルイエよ、今すぐこの目で見たくなったわ。

「しかし私達はその異次元ホールがありませんがこの大渦潮を潜って行けばルルイエに行けるのでは無いかと…」

しかし正直自分がその大渦潮の中に入るのは恐ろしい。
私だって命は惜しいのよ!
そこで私は果たして大渦潮に潜ってルルイエに行けるのか部下を使ってみることにした。

「じゃあゲンブ試しに貴方が行って来なさい!」

私はゲンブの後ろに回り込みゲンブの背中を蹴る。

「え?うひゃああああぁ!!?」

ゲンブは間抜けな悲鳴を上げて豆粒程の大きさになって渦潮の渦に真っ逆さまに落ちる。

それを遠目で見る私や部下達。

ゲンブは「助けて!助けて!」と叫びながら手足をばたつかせるが渦の勢いには勝てずどんどん渦に吸い込まれていく。

やがてゲンブは中心部まで吸い込まれるとそのまま見えなくなってしまった。

部下達はそのゲンブが吸い込まれて行った大渦潮を覗き込むように見つめる。

しかし覗き込んだ所で本当にルルイエに行けたのか…私達には知ることが出来ない。

「行くわよ」

どうやらデマだったようね。
ちょくちょく鳴門の大渦潮の先には異世界があるとか、竜宮城があるとか徳島ではよく都市伝説化してるけど…真実は行ってみた者でないとわからない。

勿論何も無かった場合、それは死を意味するだろう。

踵《きびす》を返しホテルに戻ろうとした時部下の一人が大声で叫んだ。

「け、喧華様!下に、下に!!」

「え!?」

部下が慌てた様子で私に呼びかけるので何かあったのかゲンブが先程吸い込まれて行った渦潮を覗き込む。

「な…何よこれ…?」

私は驚愕をする。
ゲンブが吸い込まれた先は何かが赤く光って次第に渦潮が消えていったのだ。

何だったのかしらあれは?

ーーー

私達はあれが何だったのかわからないまま寛いでいた。

「喧華様、ガイドが言うには明日の15時頃渦潮がまた現れるのだそうです!」

「そう、でかしたわ、明日はそのガイドで試してみましょう」

私は高級なホテルでパーティを開き、部下達に芸を披露させたり酒一気飲み対決などして楽しんだ。

一番盛り上がりを見せたのは海溝潤実の物真似や、海溝潤実をダーツの的にして遊ぶゲーム。

あの疫病神…今度こそ息の根を止めてやるわよ…。

翌日ーーー

私は部下の案内したとされるガイドを船に乗せて発生した渦潮の前にやってきた。

「い、命だけはお助けを…私には妻と娘が…」

ガイドは縄で縛り上げられて命乞いをしている。

「良いじゃねえかお前が死んでも保険下りるんだからよ」

私の代わりにガイドに促す部下。
ガイドをとりあえず渦潮に放り投げてガイドが無事にルルイエに行けたら私達も行くことにしましょう。

昨日はゲンブを入れてみたけど鳴門大橋からは高いから様子はよく見えなかったのですからね。

「江戸華喧華様のお役に立てるんだ、これ以上名誉な事は無いぜひっひ」

「渦潮が来たようね!」

午後の15時頃にガイドの言った通り渦潮が発生しだす。

「さあ放り込みなさい!!」

私の号令で部下達はガイドを渦潮に放り込む。

「キャアァチエチエ助けてー!!!」

男なのに気持ち悪い声で悲鳴あげてくれるじゃないの。

ガイドが渦潮に吸い込まれて消えた後の事、突然空が曇りだした。
ドス黒い雲が空を覆いつくし、突然稲光がゴゴゴッと轟いた。

『昨日に引き続き今日も人を勝手に渦潮の中に放り込んだのは貴様か?』

何処かから低い声が響いてきた。

そんな時、空から稲妻が私の船上に降ってきて、大きな轟音と大きな衝撃に襲われ、船は大破し、私達は渦の中に引きづり込まれた。

「嫌あぁ KEIさん助けてえぇ!!!」

渦潮の前では抵抗するように泳いでも泳ぎ切れず、渦に沿ってそのまま中心部まで吸い込まれる。

中心部まで来てしまうと私や部下達はそのまま吸い込まれて行ってしまった。
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