クトゥルフの雨

海豹ノファン

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断罪の少女

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サキナSIDEーーー

ガニメルお兄ちゃんがいなくなるのは寂しい…でも私は送り出さなきゃ!ガニメルお兄ちゃんが幸せになるように!

ガニメルお兄ちゃんが皇帝に迎えられて数日経った。

私はそこで男の人と恋に落ちていった。
私は初めは拒否してたけどその人の誠実さ、私への思いに心を打たれて付き合いだした。

「俺にはお前しかいないんだ!」

「シャック…」

男性はシャックと言いガニメル程美形でこそなかったが性格は面白く優しかった。

そして私達は結婚をした。
だがある日突然シャックは別に女を作り私から逃げて行ってしまった。

「シャック…どうして?」
『鏡で自分の姿をよく見てみろ!!』

私は鏡で自分の姿を確認した。
な、何よこれ…私はなんと老婆になっているではないか!

「何故私がこんな姿に…?」

昨日までは若い愛されていた姿の私だったが今日鏡を見てみるとこのような有様となってしまっていた。

『これはガニメルと言う男の仕業じゃ!』

私の耳奥から声が響いた。
ガニメル?何を根拠にこのような事を言いだすの??

『ガニメルはネクロノミコンを用い、お前に呪いをかける事によってお前を別に作り、その女と幸せになろうとした!』

ネクロノミコンとは一つの細胞を重ねて生命体を作るルルイエに伝わる技術だがそれには対象者への「呪い」が前提とされる。

サキュラSIDEーーー

サキナの話を聞いて少なくとも理解出来た事はガニメル兄さんが私を作る代わりにサキナに呪いをかけていた事、

それによってサキナは老化を早めてしまい愛してくれていた夫にアッサリと捨てられた事、

その事をデジェウスに知らされ密かにガニメルを恨んでいた事。

ガニメル兄さんが恨まれても仕方ないわね…。

「これでわかったかしら?私が貴女達を恨んでいた理由よ!」

バチバチ、 バチバチ…。
サキナの周囲は黒い雲に包まれ稲光が舞っていた。
そしてサキナは手を前に突き出し、閃光を放つ。

「「キャアァ!!!」」

私達はサキナの突き出した閃光に対応出来ず吹き飛ばされる。

『サキナやめてくれ!彼女達は君を救ってくれるのかも知れないんだぞっ!!』

その声はガニメル兄さん?
薄れ行く意識の代わりに第六感が高まったのか、ガニメル兄さんの霊魂がサキナに強く語りかける姿が見えた。

海溝潤実SIDEーーー

私はサキナさんに鋭い恨みを抱かれていたのは理解出来た。

前世の私の責任…私はサキナさんに対する恐怖よりも、自分の責任に胸が痛んだ。
私はこの人に酷い事をしていたんだ…。

ならばする事はひとつ…!

私はサキナさんに駆け出した。
私に前世の記憶は無い…でもネクロノミコンが実は対象者への呪いを前提に作られるルルイエの特殊技術だと言うことを知ってしまった。

ガニメルはサキナを愛して止まなかった。
しかしサキナが別の男と幸せになっている事を知り、打って変わって惨めな生活を強いられているガニメルには耐えられなかった。

それ故にサキナへの恨みの念も深まる事になり、人肌恋しさにサキュラと言う代わりの恋人と呪いを代償に幸せになろうとした。

「この小娘!私と戦おうと言うのか!!」

サキナは閃光を放ち続ける。
しかし私は逃げない!これは私の過ちだ。
静かにサキナの幸せを祈ってあげれば良かったものの呪いをかけて老化を早めてしまったのだから!

私は自分が傷つくのはもう慣れっこだ!
私が今戦わなければならないのはサキナさんでは無い、前世《かこ》の自分の過ちだ!

「こ、これはクトゥルフブレイクリー!?」

サキナの手がふと止まり、こう静かに漏らした。
私はサキナさんの皺がれた体を抱きしめた。
サキナさんは固まり、声も出なくなる。

「サキナさん…ごめんなさい、貴女の話を聞いてわかった、こうなったのは皆私、もといガニメルの責任です、私はいくら責められても仕方ない事をしたんです!!」

これでサキナさんが救われるとは思えないけど…。

「当たり前だー!!!」
「ぶふぁー!!?」

ああやっぱり救われなかった…。
WNIの桜ちゃんから習った「奥義ハグハグし慰め落とし」なんだけどWNI主人公のようにはいかないね…。

サキナさんから闘気の爆風が放たれ私はそれに吹き飛ばされ、気絶してしまった。

サキュラSIDEーーー
『ガニメル兄さん!?』

『サキュラか、すまない、サキナの暴走を止めてくれ、君達ならサキナを救えると思ったのだが…』

『私も彼女を助けたいと思っていました、どのようにすれば良いのか…』

『それは簡単なのだが…』

サキナSIDEーーー

海溝潤実はどう言うわけか私に抱きつきだしたが爆風を放って吹き飛ばしてやった。

私の怒りは誰にも食い止められないのよ!
その時海溝潤実がまた立ち上がった。

しかしこれまでの海溝潤実とは思えない強い「気」を放っていた。

目が堂々として座り、闇を抱えたような表情を見せる海溝潤実…美しい。

しかしその美しさが腹立たしい。
何故なら私は小娘の前世、ガニメルから呪いをかけられて35歳にしてこのような老婆の姿にされたのよ!!

私はなおも闘気で作られた閃光を潤実に放ってやった。

潤実はそれを体を横倒しにして避け、私に寄ってきた。

「く、来るな来るな来るな!!!」

私は閃光を何度も潤実に放ちぶっ飛ばそうとした。

スチャッ!

海溝潤実はクトゥルフ姿となりトライデントを手に持ち次々と閃光を弾き返す。

この目と闘気は潤実の隣にいた若い頃の私そっくりな少女のもの。

これは一体…?

私の閃光を弾き返した潤実はついに私の目前に来た。

「安心しなさい、手荒な真似はしないわ」

潤実は静かに、しかし低めたような声で私に語りだした。

潤実のその表情にただただ震え、身動きの取れない私…そして海溝潤実は手を私の額に添え、何かのビジョンを私に見せてきた。

こ、これはこの少女、海溝潤実の過去!?

なんと悲しい…この世にこんな駄目人間がいたなんて…!

私はあまりに哀れで愚かな海溝潤実と言う少女のビジョンを見せられ、涙が止まらなかった。

サキュラSIDEーーー

私は潤実が吹き飛ばされ、気を失ったのを見計らってガニメル兄さんから教えられた作戦に出ることにした。

それは海溝潤実と言う駄目な少女の半生をサキナに見せると言うもの。

私は意識はサキュラだが今は体は海溝潤実のもの。

なので脳に刻まれたビジョンは海溝潤実のものでそれをサキナに手を添えて見せる事にしたのだ。

海溝潤実の哀れで愚かしい過去を…。

海溝潤実SIDEーーー

これまでの出来事は夢だったのだろうか?
サキナと言うお婆さんが出ててその人が前世の因縁から私に襲いかかってきて…。

でも目前にいるサキナさんは老婆の姿とは程遠い、サキュラより大人びた感じだが美しい女の人になっていた。

「あらお嬢さん、私の顔に何かついてるの?」

「い、いえ…」

私は気になりずっと見ていたのかサキナさんに話しかけられていた。

今、私達は食卓を囲んで食事を摂っている。

「これまで悪い夢を見てたようだわ、老婆になってて貴女達に殺意を向けていたような…」

「は、はあ…」

私はサキナさんの話を聞いて何故だか夢では無かった事を実感した。

「悪い事をした気がするわ、ところで何かお手伝いできることは無いかしら?」

サキナが申し訳無さそうに私達に聞いてきた。

「ええ、それだけど私とガニメルの隠れ家に使っていた塔が壊れてしまったの、そこにはゼウスの像があった筈だけど…」

それって私達がクトゥルフブレイクリーを会得しに向かってたあの洞窟のような所?

「え?あの洞窟壊れちゃったの!??」

心臓が跳ね上がるような思いになり私はサキュラに聞いた。
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