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第149話「少年は深淵を覗く⑥」
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六月十二日(日)十七時五十三分 埼玉県大宮市・オフィス街
迷い。
波紋を呼び。
広がる。
結局あの後も、二時間ほどカラオケボックスに入り浸ってしまった。
まりあさんが言っていた通り、あれからは特に危険な目には遭わなかったものの、しかしなぜまりあさんはあのレイパー集団と店(あるいは店員)との繋がりが皆無だと言い切れたのだろうか。
それ以上に。
まりあさんのあの時の眼差し。
いつも通りにいつも通りな輝きを放ってはいたものの、しかし、どこか異質な闇が垣間見えた、まるで人を見ていないかのようなあの眼差しは。
結局のところ、自分自身が納得し得るほどの明確なそれらしき解答はなにも導き出せていなかった。
普段とのギャップ。
これまで、まりあさんの事は心の真の芯が慈愛によってのみ構成されている、天界から舞い降りた女神のように思っていたが、想っていたが。
もしもこれまでの全てに、彼女の慈愛の総てに裏があるのだとしたら。
そんな疑念は疑問を呼び、膨れ上がって疑心を招く。
しかし、だ。
「はぁ~…歌った歌ったー♪」
目の前で、歩道を踊るように鼻歌まじりに歩いていくまりあさん。
このまりあさんが、今までのまりあさんが全て表っ面だけの演技で模られた幻想なのだとは、とてもじゃないが思えない。
実に幸福そうな笑顔を浮かべているんだ。
ここまで完璧な笑顔を作れる人間は、きっとこの世に存在しない。
いや、違うな。
結局のところ、俺はまりあさんが好きなんだ。
だから、認めたくないだけなんだ。
まりあさんの心の闇を。
人心に通っている以上は、何かしらの何かを抱えていて然りなはずだというのに。
それでも、目を向けたくないのだろう。
まりあさんには、綺麗なままの女神でいて欲しいから。
それはつまり。
ただの単純な。
俺のエゴだろう。
まりあさんは、まりあさんだと言うのに。
迷い。
波紋を呼び。
広がる。
俺は、まりあさんに向けているこの感情を恋心だと思っていた。
けど、けれども、こんなにも一方的な恋心があるものか。
俺は一体、この人にどんな感情を向けているんだ?
「シュウ君、楓君。」
少し前を歩いていたまりあさんが、振り返り様に微笑みかけてくる。
「今日は誘ってくれて本当にありがとう!」
「あ……」
やっぱり、眩しい。
目も眩むほどに、輝いて見える。
この胸の高鳴りは、誤魔化しきれるもんじゃない。
良いか悪いかじゃなく事実として、やっぱり俺はこの人のことが……。
「俺は何もしてない。企画立案進行、全部こいつだ。」
隣を歩く嵐山が、親指で俺を指す。
嵐山……。
「———じゃあ、改めてシュウ君。」
後ろ手を組んで、前屈みに。
まりあさんは弾けるような笑顔で。
「ありがとう! 今日は人生で一番の思い出になりそうだよ!」
道端の街頭が、端からその為に用意されていたスポットライトのように、まりあさんを照らし出す。
夜の世界にさえも選ばれたかのような女神が世界の陰りを消し去ったように思えた。
「ううん。こっちこそ! 今日は付き合ってくれてありがとう! めっちゃ楽しかった!」
これも本心。
嘘偽りなき、心の底の本音。
そして、今の精一杯。
まりあさんは再び気分よく前を向いて歩き出す。
今日、確かに俺は深淵を覗いた。
けど、けれど。
それが何だって言うんだ。
深淵を覗いた、ってことは、今まで見えてなかった面が見えたってことだ。
それだけ、まりあさんとの距離が今まで以上に近付いたってことだろ。
これは、大変喜ばしいことだし、偉大なる一歩となるだろう。
迷い。
波紋を呼び。
広がる。
結局あの後も、二時間ほどカラオケボックスに入り浸ってしまった。
まりあさんが言っていた通り、あれからは特に危険な目には遭わなかったものの、しかしなぜまりあさんはあのレイパー集団と店(あるいは店員)との繋がりが皆無だと言い切れたのだろうか。
それ以上に。
まりあさんのあの時の眼差し。
いつも通りにいつも通りな輝きを放ってはいたものの、しかし、どこか異質な闇が垣間見えた、まるで人を見ていないかのようなあの眼差しは。
結局のところ、自分自身が納得し得るほどの明確なそれらしき解答はなにも導き出せていなかった。
普段とのギャップ。
これまで、まりあさんの事は心の真の芯が慈愛によってのみ構成されている、天界から舞い降りた女神のように思っていたが、想っていたが。
もしもこれまでの全てに、彼女の慈愛の総てに裏があるのだとしたら。
そんな疑念は疑問を呼び、膨れ上がって疑心を招く。
しかし、だ。
「はぁ~…歌った歌ったー♪」
目の前で、歩道を踊るように鼻歌まじりに歩いていくまりあさん。
このまりあさんが、今までのまりあさんが全て表っ面だけの演技で模られた幻想なのだとは、とてもじゃないが思えない。
実に幸福そうな笑顔を浮かべているんだ。
ここまで完璧な笑顔を作れる人間は、きっとこの世に存在しない。
いや、違うな。
結局のところ、俺はまりあさんが好きなんだ。
だから、認めたくないだけなんだ。
まりあさんの心の闇を。
人心に通っている以上は、何かしらの何かを抱えていて然りなはずだというのに。
それでも、目を向けたくないのだろう。
まりあさんには、綺麗なままの女神でいて欲しいから。
それはつまり。
ただの単純な。
俺のエゴだろう。
まりあさんは、まりあさんだと言うのに。
迷い。
波紋を呼び。
広がる。
俺は、まりあさんに向けているこの感情を恋心だと思っていた。
けど、けれども、こんなにも一方的な恋心があるものか。
俺は一体、この人にどんな感情を向けているんだ?
「シュウ君、楓君。」
少し前を歩いていたまりあさんが、振り返り様に微笑みかけてくる。
「今日は誘ってくれて本当にありがとう!」
「あ……」
やっぱり、眩しい。
目も眩むほどに、輝いて見える。
この胸の高鳴りは、誤魔化しきれるもんじゃない。
良いか悪いかじゃなく事実として、やっぱり俺はこの人のことが……。
「俺は何もしてない。企画立案進行、全部こいつだ。」
隣を歩く嵐山が、親指で俺を指す。
嵐山……。
「———じゃあ、改めてシュウ君。」
後ろ手を組んで、前屈みに。
まりあさんは弾けるような笑顔で。
「ありがとう! 今日は人生で一番の思い出になりそうだよ!」
道端の街頭が、端からその為に用意されていたスポットライトのように、まりあさんを照らし出す。
夜の世界にさえも選ばれたかのような女神が世界の陰りを消し去ったように思えた。
「ううん。こっちこそ! 今日は付き合ってくれてありがとう! めっちゃ楽しかった!」
これも本心。
嘘偽りなき、心の底の本音。
そして、今の精一杯。
まりあさんは再び気分よく前を向いて歩き出す。
今日、確かに俺は深淵を覗いた。
けど、けれど。
それが何だって言うんだ。
深淵を覗いた、ってことは、今まで見えてなかった面が見えたってことだ。
それだけ、まりあさんとの距離が今まで以上に近付いたってことだろ。
これは、大変喜ばしいことだし、偉大なる一歩となるだろう。
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陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
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漁師の仕事だ。
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