マロンのぼうけん

星ノ宮幻龍

文字の大きさ
1 / 1

マロンのぼうけん

しおりを挟む
 ふかふかのまんまるざぶとん。
 おもちゃがいっぱいつまったたからばこ。
 おいしいごはんにおいしいおみず。
 マロンのおうちにはすてきなものがたくさんあります。
 マロンのおうちはタロウくんのおうちのなかにあります。
 マロンはくりのようなあかちゃいろのけなみがじまんのトイプードルです。
 タロウくんとタロウくんのママ、パパとよにんでくらしています。










「マロン、たんけんにでかけよう!」
 マロンがじまんのけなみをととのえていると、タロウくんがドタドタとはしってきました。
 タロウくんは、しょうがくさんねんせいのおとこのこで、マロンのおにいちゃんです。
 いつもいっしょにあそんでくれるので、マロンはタロウくんがとてもだいすきです。
 そんなタロウくんといっしょにでかけられるたんけんもとてもだいすきです。
 マロンはおおはしゃげでタロウくんのまわりをはねまわります。










「きょうは、あっちのほうへいってみよう!」
 タロウくんは、ピンクのリードをひきながらゆうしゃのつるぎでとおくをさします。
 ゆうしゃのつるぎとは、タロウくんがたんじょうびのひにママからかってもらったおもちゃのけんで、きらきらとひかってまぶしい、タロウくんのたからものです。
 タロウくんはどこへいくときもゆうしゃのつるぎをもっていきます。
 ゆうしゃのつるぎをもつタロウくんはとてもかっこよくて、マロンのじまんのおにいちゃんでした。










「おやおや、タロウくんにマロンちゃん。おはよう。」
 タロウくんとあるいていると、きんじょのおばあちゃんがあいさつをしてくれました。
「おばあちゃん、おはよう。」
「きょうはどこへおさんぽにいくんだい?」
「さんぽじゃないよ、たんけんだよ! きょうはあっちのほうへいくんだ!」
「おやおや、あっちにはかわがあってあぶないよ? のらいぬをみたっていうはなしもきいたことがあるし。」
「だいじょうぶだよ! てきがきてもこのゆうしゃのつるぎでやっつけるから!」
「タロウくんはたのもしいねぇ。でも、あんまりあぶないことはやっちゃだめだよ?」
「うん! わかってる!」
 おばあちゃんにおわかれをして、タロウくんとマロンはまたあるきだしました。










「タロウくん、マロンちゃん、いらっしゃい。」
 タロウくんとマロンは、だがしやさんにいきました。
「おじちゃん、チョコちょうだい!」
 タロウくんは、たんけんのまえにママからもらったおこづかいでチョコをかいました。
「きょうはどこへいくんだい?」
 おじちゃんはタロウくんにたずねました。
「きょうはあっちのほうへいくんだ!」
 タロウくんはゆうしゃのつるぎでいきさきをさししめします。
「かわのほうだね? あっちのかわは、とちゅうでふかくなるから、あまりおくまでいったらきけんだよ?」
「だいじょうぶ! マロンはおよげないから、マロンといけないところにはいかないよ!」
 タロウくんのことばに、マロンはうれしくなりました。










 だがしやさんをでて、あるきつづけるとみどりのどてがみえてきました。
「きっとあのしたにかわがあるんだ!」
 タロウくんとマロンはかけっこをしながらどてをのぼります。
「ほら! マロン、みて! かわがある!」
 どてをのぼりきると、そのしたには、ぎんいろにかがやくかわがひろがっていました。
「きれいだね!」
 タロウくんとマロンはかわにちかづいて、みずのなかをのぞきます。
「マロン、みて! ザリガニがおよいでいるよ!」
 かわのなかを、まっかなザリガニたちがおよいでいました。
 りょうてにはさみをもっていて、はさまれたらとてもいたそうです。
 マロンは、こわくなってあとずさりしました。
「あはは、マロン、だいじょうぶだよ! なにかあったら、ぼくがマロンをまもるから!」
 タロウくんがマロンにわらいかけました。
 マロンは、タロウくんのやさしいところもだいすきです。










「そろそろおひるになるから、おうちにかえろうか。ママがごはんをつくってまっているよ。」
 しばらくかわをたんけんしたあと、タロウくんがいいました。
「またあしたこようね!」
「ワンッ!」
 タロウくんとマロンは、きたみちをもどります。
「きょーうのごはんはなーにかなー」
 タロウくんがごきげんにおうたをうたいます。
 マロンも、おひるごはんがたのしみでついついはしゃいでしまいます。
「ただいまー」
 タロウくんがとびらをあけてげんかんにはいったときです。
「あ! ゆうしゃのつるぎがない!」
 タロウくんが、ゆうしゃのつるぎをもっていないことにきづきました。










「どこにでももちあるくからよ!」
 タロウくんは、ママにしかられてしまいました。
「うう……。ぼくのゆうしゃのつるぎ……」
 タロウくんはとてもかなしそうにないてしまいました。
 マロンも、とてもかなしいきもちになりました。
 そして、マロンはけっしんしました。

 タロウくんのゆうしゃのつるぎをさがしてこよう!

 おうちには、ふだんかぎのかかっていないまどがあります。
 マロンは、はなでじょうずにそのまどをあけると、おうちのそとへとびだしていきました。










 マロンは、じぶんのはなをたよりにゆうしゃのつるぎをさがします。
 すると、きんじょのおばあちゃんのおうちがみえてきました。
「そうだ! クリームちゃんなら、なにかしっているかもしれない!」
 クリームちゃんとは、きんじょのおばあちゃんのおうちにすんでいるしろいけなみがかわいいマルチーズのことです。
 マロンは、おばあちゃんにみつからないように、おうちのにわへとはいっていきます。
 いつもクリームちゃんは、にわとつながっている「えんがわ」というところで、ひなたぼっこをしているからです。
 マロンがにわにつくと、クリームちゃんはいつもどおり、「えんがわ」でひなたぼっこをしていました。










「クリームちゃん、こんにちは。」
「あら、マロンちゃん。こんにちは。」
 マロンがあいさつをすると、クリームちゃんもマロンにきづいてあいさつをしました。
「ひとりでどうしたの? タロウくんは?」
「じつは、タロウくんのたからものの、ゆうしゃのつるぎがなくなっちゃったんだ。クリームちゃん、どこかでみかけなかった?」
「それはたいへん! でも、ごめんなさい、わたしはゆうしゃのつるぎをみかけていないわ。」
 クリームちゃんはもうしわけなさそうにいいます。
「そっか…。わかった、ありがとう。」
 マロンはしょぼんとして、にわをでようとします。
「あ、まって、マロンちゃん。もしかしたら、ちょうろうならなにかしっているかもしれないわ。」
「そうだ! ちょうろうなら、もしかしたらゆうしゃのつるぎのばしょをおしえてくれるかもしれない!」
 マロンはすこしげんきになりました。
「ありがとう、クリームちゃん!」










 マロンはかけあしでちょうろうのもとへいきました。
 ちょうろうは、だがしやさんにすんでいる、とてもながいきしているしばいぬで、とてもものしりです。
 マロンは、だがしやさんのおじちゃんにみつからないように、おみせのなかへはいって、ちょうろうにあいにいきました。
「ちょうろう!」
 マロンがよぶと、ちょうろうはのそり、とよこになっていたからだをおこしました。
「やぁ、マロン。こんにちは。」
「こんにちは、ちょうろう。」










「ちょうろうにききたいことがあるんだ。きょう、タロウくんとたんけんをしていたら、タロウくんのたからもののゆうしゃのつるぎがなくなっちゃったんだ。みつけてあげたいんだけど、どこにあるのかわからなくて……。ちょうろう、どこにあるかしらない?」
「ああ、それなら、さっききたいぬがはなしておったぞ。どてのしたにある、かわへさんぽにいったときに、きらきらひかるけんがかわのなかにおちていたそうだ。」
「ほんとうに?」
 マロンはすこしげんきになりました。
「ああ。でも、いまはいかないほうがいい。おひるごろは、あのあたりにおそろしいのらいぬがでてくる。いまいくのは、きけんだ。」
「だいじょうぶ! みつからないようにするよ!」
 マロンは、いそいでだがしやさんをとびだしました。










 マロンは、かわのまえのどてをかけあしでのぼっていきます。
 はやくゆうしゃのつるぎをみつけて、タロウくんにわたして、げんきにしてあげたい。
 タロウくんにげんきがないと、マロンもげんきがなくなってしまいます。
 どてをのぼりきると、あさにみたときとおなじく、ぎんいろにひかるかわがしたにひろがっていました。
 ちょうろうのいっていたのらいぬも、いまはいません。
「まっててね、タロウくん。」
 マロンはどてをおりて、ゆうしゃのつるぎをさがします。
 タロウくんのにおいをたどってさがしますが、ゆうしゃのつるぎはどこにもみあたりません。
「どうしよう……。どこにもない……。」
 マロンはこまりはててしまいました。










 マロンがかわをのぞくと、あさにみたまっかなザリガニたちが、げんきにおよいでいました。
「ちょっとこわいけど、ザリガニさんたちにきいてみよう。」
 マロンはおそるおそるザリガニたちにかおをちかづけます。
 すると、
「いたいっ!」
 マロンはザリガニにはなをはさまれてしまいました。
 マロンはめになみだをためて、ザリガニたちからはなれます。
「おい、おまえ!」
 きゅうにうしろからこえをかけられ、マロンはぎょっとしてふりかえります。
 うしろにいたのは、まっくろいけなみの、おおかみみたいにこわいのらいぬでした。
「ここはオレさまのなわばりだぞ! かってにあらしやがって、ゆるさない!」
 のらいぬはマロンにむかって、いっちょくせんにとんでいきます。
 マロンはあわてて、のらいぬからにげだしました。










 マロンはにげてにげて、とにかくひたすらにげつづけました。
 のらいぬもなかなかあきらめてくれず、ひたすらマロンをおいかけてきます。
 マロンはこわくて、なんどもなきながら、それでもずっとにげました。
 そして、ようやくのらいぬがあきらめてさっていったときには、すっかりひがくれてしまっていました。










「ここはどこだろう?」
 のらいぬからにげるのにむちゅうで、マロンはすっかりまいごになってしまっていました。
 かわのいろも、まっかなゆうやけのいろにそまって、よりいっそうマロンをふあんにさせます。
「ゆうしゃのつるぎもみつからないし、みちもわからなくなっちゃった……。どうしよう……」
 マロンはまたなきだしてしまいました。
 このままじゃ、タロウくんにあえなくなる。
 そうおもうと、かなしくてかなしくて、なみだがとまりません。
 
 ざぶり。

 ふいに、かわのほうから、なにかおとがしました。










「あ! ゆうしゃのつるぎだ!」
 マロンがおとのしたほうをみると、ゆうしゃのつるぎが、かわのまんなかにあるいわばにひっかかっていました。
 ゆうしゃのつるぎは、かわにながされて、ここまではこばれてきたのです。
「でも、どうしよう。あんなところにある。」
 マロンはおよぎがとくいではありません。
 おまけに、かわはゆるやかにながれています。
「けど、ゆうしゃのつるぎがないと、タロウくんがかなしむ……。」
 マロンは、ゆうきをだして、かわにあしをいれました。










 ばしゃり、ばしゃり。
 マロンは、ゆっくりといっぽずつ、かわをおくへおくへとすすんでいきます。
 かわのみずはつめたく、いまにもこごえそうでしたが、それでもマロンはがんばります。
 ばしゃり、ばしゃり。
 すこしずつ、すこしずつ。
 いっぽずつ、いっぽずつ。
 かわのながれも、かわのふかさも、マロンがおもっていたほどなく、これならいわばまでいけそうです。
「あとちょっと……、あとちょっとで、いわばにつく。」
 ゆうしゃのつるぎがひっかかっているいわばまであとすこしです。
 そのとき。










「わっ!」
 きゅうにかわがふかくなって、マロンのあしがかわのそこにつかなくなってしまいました。
 マロンはおよげないので、あわてて、てあしをばしゃばしゃさせます。
 それでも、かわはあさくもとまりもしません。
「だ、だれか! だれかたすけて!」
 マロンはひっしにさけびます。
 でも、だれもマロンのさけびをききつけてはくれませんでした。
 だんだんとかわにながされていき、もうだめだとおもったときです。
「マロン!」










「マロン! いまいくよ!」
 タロウくんです。
 タロウくんがかけつけてくれました。
 タロウくんは、マロンがいなくなったのにきづいて、さがしにきてくれたのです。
 タロウくんは、かわのみずをかきわけて、ながされているマロンをだきあげました。
「マロン、こんなところにいたんだね。しんぱいしたよ。こんなにボロボロになって……。」
 タロウくんはマロンをつよくだきしめます。
「よかった! マロンがぶじでよかったよぉ!」
 タロウくんはおおなきしました。
 ゆうしゃのつるぎをなくしたときよりも、もっとなきました。
 マロンも、うれしくて、あんしんして、ないてしまいました。










「ワンッ!」
 マロンは、ゆうしゃのつるぎがいわばにひっかかっていることをタロウくんにつたえます。
「ゆうしゃのつるぎ! あんなところにあったんだね。」
 タロウくんがいわばをみつめて、
「でも、あそこにあったんじゃ、ぼくでもとりにいけないや。あとでパパにおねがいしてとってもらおう。」
 タロウくんがかわをでて、もっていたハンカチでマロンをふいてあげます。
「さぁ、はやくおうちにかえろう。ぼくもマロンもびしょびしょだよ。かぜをひいちゃう。」










 おうちにかえって、タロウくんとマロンはいっしょにあついシャワーをあびました。
 きょうたいけんした、こわいおもいも、つらいおもいも、ぜんぶどろといっしょにあらいながされていきました。
 そして、どろまみれだったマロンのからだは、すっかりもとのくりのようなあかちゃいろをとりもどしました。
 こわいおもいも、つらいおもいもなくなって、あとにのこったのは、たからものをなくしたことよりも、マロンがいなくなったことのほうをよりかなしんでくれた、タロウくんのやさしさへのかんしゃのきもちでした。
 それは、タロウくんもおなじでした。
「マロン、きょうはほんとうにありがとう。ぼくのたからものをさがしてくれて、ほんとうに。」










 ふかふかのまんまるざぶとん。
 おもちゃがいっぱいつまったたからばこ。
 おいしいごはんにおいしいおみず。
 マロンのおうちにはすてきなものがたくさんあります。
 でも、マロンがいちばんあんしんできるばしょは、ここではありません。
 マロンがいちばんあんしんできるだいすきなばしょは、タロウくんのとなりです。
「それじゃあマロン、おやすみ。」
 タロウくんがおへやのでんきをけしました。
 タロウくんがベットでよこになると、マロンは、タロウくんにぴったりくっつきます。
 マロンは、まいばんタロウくんといっしょにねています。
 タロウくんのとなりが、いちばんぐっすりとねむれるからです。

 あしたは、タロウくんとどんなあそびができるかなぁ。
 はやくあしたにならないかなぁ。

 マロンは、いつのまにかねむっていました。

                             おしまい
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

幸せのろうそく

マイマイン
児童書・童話
 とある森の中にある町に住むおばあさんは、お祭りの日に「死んだ孫娘のキャンベルとまた暮らしたい」と、祈りをささげると、そのキャンベルが妖精に生まれ変わっておばあさんの前に現れました。  これは、キャンベルが恵まれない人々を幸せにしていく短編童話です。

雪の降る山荘で

主道 学
児童書・童話
正体は秘密です。 表紙画像はフリー素材をお借りしました。 ぱくたそ様。素敵な表紙をありがとうございました。

【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。  しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。  そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。  そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。

A4の紙一枚から、ハートのペーパーバックを作ろう!作り方紹介

むめ
児童書・童話
A4の紙一枚を折るだけで、ほかの道具を使うことなく、ハートの形の手のひらサイズのペーパーバックが作れます!キャンディなどの小さなお菓子を入れてプレゼントしたり、あなたの自由なアイデアで使い道はいろいろ。ぜひ作ってみてくださいね。

まぼろしのミッドナイトスクール

木野もくば
児童書・童話
深夜0時ちょうどに突然あらわれる不思議な学校。そこには、不思議な先生と生徒たちがいました。飼い猫との最後に後悔がある青年……。深い森の中で道に迷う少女……。人間に恋をした水の神さま……。それぞれの道に迷い、そして誰かと誰かの想いがつながったとき、暗闇の空に光る星くずの方から学校のチャイムが鳴り響いてくるのでした。

まほうのマカロン

もちっぱち
絵本
ちいさなおんなのこは 貧しい家庭で暮らしていました。 ある日、おんなのこは森に迷い込み、 優しいおばあちゃんに出会います。 おばあちゃんは特別なポットから 美味しいものが出てくる呪文を教え、 おんなのこはわくわくしながら帰宅します。 おうちに戻り、ポットの呪文を唱えると、 驚くべき出来事が待っていました

ゆまちゃんとヤン丸の12ヶ月

万揮/マキちん
絵本
まん丸な子犬のヤン丸とゆまちゃんという女の子の一年間の物語です。

ふしぎなリボン

こぐまじゅんこ
児童書・童話
ももちゃんは、クッキーをおばあちゃんにとどけようとおもいます。 はこにつめて、きいろいリボンをむすびました。 すると……。

処理中です...