人神

柳川歩城

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始まり

第4話 戦争と変化

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バナボー「まずいな」

強風で砂ぼこりが舞う戦場を見ながら、司令室でついそんなことをぼやく。イクセスリィは今、とても危険な状況だった。各国からの支援物資も届かず、多くの防衛戦を突破され、残すは城壁に囲まれた首都·ハートのみとなってしまったからだ。

イクセスリィの兵士「大統領、ワーカルの軍が再び動き始めました。」

バナボー「城壁の上から攻撃をしかけ、敵の数を減らせ!もうあの兵器を一度も撃たせるな!ただでさえ今でも戦力差が大きい。もう誰一人として失うな!」

イクセスリィの兵士「は!」

そう言って兵士は他の者に作戦を伝えに行った。

バナボー「(あれさえ何とか出来れば…)」

そう思わずにはいられなかった。私が見つめる視線の先には、不自然に大きな長方形のスペースが空いていた。そこにあるであろう兵器は、突破された関所で生き残った一人の兵士が、自身の命が途絶える前に撮影し、私達にそのデータ送って来たことでようやく存在を把握した兵器であった。

バナボー「(通りで侵略されていると言うのに第一、第二の関所から連絡が来ない訳だ。一瞬で全ての兵が死んだのであれば、情報を伝達する者が残っているはずもない。)」

今回この自体を把握したのは、イクセスリィ最後の第三の関所を突破された時だった。そこから急いで戦闘準備を整えてきたが、正直、時間が足りない。各国にも急ぎ援軍を要請したが、なかなか援軍を寄越してくれない。それに救援物資も殆ど届いて来ず、全く物資が足りていなかった。ここまでイクセスリィの地形や、巨大な城壁を利用して耐えて来たが、遂に敵方もこの戦争を終わらせに掛かっているらしく、今朝不自然にスペースが、空いているのを一人の兵士が発見した。

バナボー「(各国からの援軍にも期待できん。民を守るには、一体どうすれば良いのだ。)」

そう悩んでいた時、司令室内を包んでいた静寂を突き破り、一人の兵士の声が響く。

兵士「上空4000mの地点に、謎の落下物を確認!ワーカル軍の方へ落ちていきます!」

いったいなんなんだ。こちらからはまだ何も攻撃を仕掛けてないはず…

兵士「これは…人…?それも…4人分…」

バナボー「(どういう事だ!?)」

私達は一斉に窓の外を見る。そこには、ワーカル軍に立ち向かう4人の人影が確かにあった。










優美「うわぁーーーーー!だがいよーーー!なんでごんなどごにでだのーーー!ばがーーー!」

優美がそう言って叫ぶそれもそうだ、覚悟を決めてワープしたと思ったら、確かに目的地には着いたが、遥か上空にワープしてしまったのだから。他の皆も絶叫しながら落ちていく。

舞花「あっ見て!あれワーカル軍じゃない?」

舞花が指を指した先には、緑色の大きな塊が、ゆっくりとイクセスリィの城壁に向かって何か巨大な生物のように蠢いている。それは、自国の緑色の軍服に身を包んだ、ワーカル軍の巨大な隊列だった。

舞花「もうどうにでもなれ!先手必勝!」

そう言いながら、舞花は魔法書をめくり始め、何かの呪文の様なものを唱え始める。そうすると、たちまち魔法陣が現れ、そこからビームが飛んでいく。突然の、全く予期していなかったであろう方向からの攻撃に動揺したのか、ワーカル軍の隊列が少し乱れたように感じた。

舞花「ゼログラビティ!」

地面への激突寸前に、そう舞花が唱えると、俺たちの体はゆっくりと止まっていき、激突スレスレで何とか止まった。

龍騎「フーッ…あぶねー…大丈夫か?お前ら。」

優美「よがっだーー。」

力子「なんとか。」

舞花「ぶっつけ本番だったけど意外と出来たー。」

龍騎「(なんとか地面に衝突して死ぬのは回避できたな…)」

そう思っているとワーカル軍から、

ワーカル軍兵士「貴様らは何者だ!」

という声が聞こえてきた。

龍騎「俺たちは…ヒーローとしてイクセスリィを救いに来た!」





同時刻
大翔「はあっはあっ」
悪い夢を見て目が覚めた。かなりうなされていたのか、シーツが汗で濡れている。
大翔「何で…あいつらが死ぬ夢を見るんだ…くそっ」
最悪の目覚めだが、かなり早くに起きてしまい、二度寝出来そうにない。
大翔「なんか見て気分を紛らわすか…」
そう思ってスマホを取る、時刻は午前5時半、
ネットニュースを見るためにアプリを開く、次の瞬間、僕は絶望した。








幻六「今日は少し天気が悪ぃな。」
曇り空のした、そんなことを呟きながら、俺は学校へと向かう。先生の朝は早い。前日からしていたとは言え、授業の準備をしなければいけない。そう思いながら職員室に到着すると、他の教師達がなにやら焦りぎみに話していた。校長の姿もある。
幻六「なんかあったんですか?」
他の教師「幻六先生!これ!」
そうやって差し出されたスマホの画面には、ワーカル軍と戦っている自分の生徒の姿があった。
幻六「はぁ!?あいつらなにしとん!?」





場面は戻り、
俺がそういうと、両陣営に緊張が走った。そして次の瞬間、俺たちは戦闘を開始した。

龍騎「作戦どうりに行くぞ!お前ら!」
優美·舞花·力子「うん!」



ワープする少し前

龍騎「ワープする前にお前らに作戦を伝えておく。」

そう言って俺はイクセスリィ周辺の地図を広げる。

龍騎「ワーカル軍は他国と比べても圧倒的に兵の数が多い、だけどワーカルの土地は農業などに向かない痩せた土地だから、そのほとんどは訓練などを受けた事がない一般市民だ。そしてイクセスリィは片側を海、もう片側を山に囲まれた自然の要塞となっているから、この2つの要素を利用する。まずは舞花、お前のワンダフルカラーワールドで相手を混乱させてくれ、そのあとに俺と優美が水龍破と霊刃でワーカル軍に打撃を与える。そうすればワーカル軍は自然の要塞により辺りに分散することも出来ず、来た道を後退していくしかない。分かったな?」

優美「分かった。」

舞花「うん。」

そう言って二人は頷く。

龍騎「そのあとは大乱闘だ。相手を少しずつ倒していって、ヤバくなったらイクセスリィ城内に避難しよう。相手も混乱しているだろうから、技を当てて気絶させるのは簡単だと思う。」

舞花「でも私達突然ワープしてくるんでしょう?事前連絡もなしに、そんなので城門を開けてくれるのかしら。」

龍騎「そこは大丈夫だ。俺たちがワーカル軍と交戦すれば、少なくとも敵ではないと分かるし、打撃を与えられれば城門を開ける隙も出来るはずだから。」

舞花「分かった。」
そう言って舞花は納得した。



場面は戻り、
舞花「ワンダフルカラーワールド」

鮮やかな色が敵を混乱させる。舞花が技を発動させるのと同時に、俺と優美は技を出す準備をする。近くに海があるここなら、水龍破の威力を極限まで高める事が出来る。

龍騎「水龍破」

優美「霊刃」

水の龍と霊力の刃が相手の方向へ向かっていく、着弾すると大きな音と土煙を上げ、ワーカル軍をぶっ飛ばした。

優美「やった!」

龍騎「よしお前ら!打撃を与えられた!このまま押しきれ!」

力子「ふん!」

力その丸太のごとき太さの腕で力子が振るった巨大なダンベルは、周囲に風を起こし、それによってワーカル軍は宙を舞う。

舞花「魔力砲」

舞花が魔法を放つとワーカル軍は次々と吹っ飛んでいく。俺達は、イクセスリィを救うために次々とワーカル軍を倒していった。





ワーカル軍兵士「はっはっ…はぁっ……ほっ報告!ただいま謎の増援により、前線が崩壊仕掛けています!」

俺がゆっくり寝ているときに、一人の兵士が息を荒げながらテントの中に入ってくる。その兵士は、息が荒いまま報告を行う。

ワーカル軍総大将「なんだと!どう言うことだ!他の国からの増援は来ないだろう!」

ストライファー「(うるさい)」

側だけは立派に着飾っていたとしても、初戦は後ろから指示を飛ばすだけの上級国民。顔を真っ赤にして部下を怒鳴り付けることしか出来ない癖に、俺の睡眠を邪魔しないで欲しいんだが、そう思ったのが顔に出ていたのか、総大将が俺を睨み付ける。

総大将「ないと思っていたのだがな…仕事だストライファー。」

ストライファー「…了解。」

そうして俺はだるい体をゆっくりと起こし、崩壊しかけの前線へ向かった。





龍騎「よっしゃ!何とか前線は壊滅かな。」

俺達の善戦のおかげで、だいぶ敵の数が減ってきていた。周りの騒音のせいでよく聞こえないが、イクセスリィ側からも歓声が上がって要るような気がする。

優美「…何かおかしくない?」

最初に異変に気付いたのは優美だった。その声を聞いて、俺達はワーカル軍の方に目をやる。すると、ワーカル軍が左右に別れて要るように見えた。まるで、道を作るみたいに。向こうからは大きな歓声が聞こえる。

力子「一体…何が?」
一番前の列が別れたとき、その異変の正体が姿を現した。

ストライファー「…なんだ?ただの子どもじゃねえか。歳は…15~16歳、顔つきからしてピーサルの出身、まあ高校一年くらいと言ったところか。」

俺達は酷く同様した。会ったこともないようなやつからいきなり自分の歳と出身を当てられたのだから。そいつはぼろぼろになった迷彩服を身に纏っており、両手には何やら赤い布で出来た手袋を着けている。

舞花「あなた…何者なの?」

ストライファー「俺か?俺は…そうだな…ただの傭兵だ。」

次の瞬間、男は俺達の視界から消えた。
力子「速っ!」

龍騎「気を付けろ!奇襲にそn…」

そう言いかけたとき、脇腹に強烈な痛みが走った。

龍騎「(殴られた…?)」

その思考をしたときには、俺は後ろの方へぶっ飛び、城門に背中を打ち付けた。

龍騎「っ…あがっ…!」

とっさのことで声が出ない。辺りを見回すと、優美達もその場にうずくまっていた。

ストライファー「あーあ…よっわ…楽しめると思ったのになー」

そう言って男は俺達の視界に再び写る。

龍騎「お前は…一体……………!」

先の方へ視線を向けたとき、俺達は絶望した。見たこともないほど巨大な砲台がそこにあったからだ。

龍騎「(何でだ….!一度見たときにはあんなものなかったのに、何で突然…!?)」

ストライファー「あっ、気付いた?」

男はそう言って言葉を続ける。

ストライファー「冥土の土産に教えてやるよ。あれはワーカルが10年もの歳月をかけて作りあげた兵器だ。名前は…忘れた。まあ威力は本物で、山一つくらいなら文字通り吹き飛ばせる。まあ必要な魔力がアホみたいに多かったり、魔力チャージに時間がかかりすぎて、チャージ完了まで透明化の魔法をかけてなきゃすぐ壊されるが…」

男は俺達を嘲笑う。

ストライファー「でもお前らも物好きだよなー。こんな所に…どうやって来たかは知らんが助けにくるなんて。各国は利益の為にイクセスリィを犠牲にしたんだぞ?ある地方ではそれを正義だと言ってる輩もいる。お前らもそれに従っとけば…死なずにすんだのにな…」

そう言って男はゆっくりとした足取りで去って行く、

龍騎「(あぁ意識が朦朧としてきた。くそっ!ここで死にたくねぇ…母さんごめん。)」

そう思って諦めかけていたとき、優美が突然立ち上がった。

ストライファー「…まだ立つか。」

男は振り返り、優美の目を見ながら言う。

優美「今…正義って言った?この戦争が。」

ストライファー「まぁそうだが?」

男は怪訝な顔をする。

優美「そんなの…いらない。」

ストライファー「何て?」

優美「そんな…誰かが傷ついて成り立つ正義なんか…自分の私腹を肥やすための正義なんか…いらないって言ってんのよ!そんな正義なんて…こっちからお断りだ!もしそれが悪と言われるなら…私は喜んでヴィランになってやる!」

龍騎「(そうだ。なに俺は諦めようとしてんだ。自分でここに来ると決めた!助けると決めた!それなら、最後までやりきってやる!)」

そうやって俺達は再び立ち上がった。その言葉を聞いた男は、微かに表情を変化させた。

ストライファー「はぁ…しゃーない、一つ良いこと教えてやるよ。そんな甘い幻想は捨てろ。この世界、人は何かしらの正義にすがってなければ生きていく事が出来ない。どんなに人が苦しもうが、端から見てどれだけそれが悪に染まってようが、上が正義と言ったら、下で生きてるやつは、その正義にすがって行くしか生きる道はない。お前らが言ってる幻想は、この世界では到底存在しているような物じゃ無いんだよ…………だがまぁ、個人的な事を言えば、そのふざけた考え、俺は好きだぜ。」

そう言う男の背後には、先の鋭利な岩の触手が数多、存在していた。

ストライファー「これで最後だ。せめて、苦しないように逝かせてやるよ。急所を突くから苦しむのは一瞬。怖がることはない。お前らは負けた。それだけだ。この正義が全てを支配する世界で敗北したものは、自身の正義を捨てなければならない。大多数の人間はそうする。だが、お前らのような強い心を持った奴らは、こうやって始末するしか方法が無い。だから恨むんだったらこの世界の歪んだ正義を恨め。」

鋭利に尖った岩の触手は、俺達の姿を捉え、その身をさらに鋭利に変えていく。

ストライファー「でもまぁ………出来るなら、お前らと…もっと早くに会いたかった。」

男のどこか残念そうに、そして、少しの後悔が滲んだ声の言葉が終わると同時に、岩の触手は私達目掛けて飛んでくる。体に負ったダメージや、ここまでで溜まった疲労により、それを避ける事は俺達には叶わない。

優美·舞花·龍騎·力子「っ!」

俺達は痛みに備えて目を閉める。岩の触手が俺達の体を貫こうと、直前まで迫った。その瞬間だった、先の方にあった魔力砲台が突如爆発した。

龍騎「なんだ?」

状況が理解出来ず、双方固まっていると、ワーカル軍の方から声が聞こえてきた。

ワーカル軍「なんだあれ?上を見ろ!」

とっさに全員が上空を見た。するとそこには一つの人影があった。その人影はゆっくりとこちらへ降りてきて、男と話始めた。

???「ストライファーと言ったか?その子達に向けている手を下ろせ。」

ストライファーは素直に男の要求に従った深くフードをかぶっており顔はよく見えなかったが、その言葉には言葉で表せないほどの覇気が宿っていた。

???「そうだ、それで良い。」

男がこちらの方へ向かってくる。とっさに臨戦態勢を取ろうとするが、体に上手く力が入らない。男が俺達の前に立ったとき、手の平を前にだした。そうすると、俺達の体の傷がどんどんと治っていき、それと同時に痛みが引いていく。

舞花「すごい…ここまでの治癒魔法…いったいどうやって…」

そういって舞花は、これまで見たことも無いようなほど高い技量の魔法に見いっていた。男は俺達の治療を終えるとその身を翻し、俺達の視界の先へ歩いて行く。そして、ある程度進んだ所でその口を開いた。

???「ここまでの正義感があるやつもなかなかおらん。その正義を大切にしろ。それじゃあまた会う日まで。」

そう言って男が指をならすと、俺達の視界から消えた。何故かは分からないが、その男はこの場から離れたんだとそう確信した。

力子「いったい…なんだったんだろう…あの人。」

そう力子が呟いたとき、城門の中から突然歓声が上がった。

イクセスリィ兵士「ワーカルが…ワーカルが…停戦の提案をして来たぞ~~~!!!」

ワーカル軍·ストライファー「はぁ~~~?!」

ストライファー「何でそんな突然……まぁこれでお前らと戦う理由はなくなった訳か…」

そうストライファーが言った瞬間、俺達は力が抜けたようにその場に倒れこんだ。

ストライファー「おいっ!大丈夫か!?」

どっと疲れが押し寄せて、急激な眠気が俺達を襲う。理解が出来ないことが多く起きたこの戦争。だけど、これだけは確信を持って言える。俺達は、イクセスリィを守りきったのだ。ストライファーは俺達が突然限界を向かえたのではないと分かると、優しい笑みを浮かべこう言った。

ストライファー「いろいろあったけど、まあ…今回はお前らの勝ちだ。俺はもう何もしない。ゆっくり、安心して寝な。」

俺達は皆、ゆっくりと自分の瞳を閉じていく。

ストライファー「お休み。」

その声と共に、俺達は深い眠りへと落ちていった。











今回は第4話 戦争と変化を書きました。今回物語が大きく動きましたねぇ。ここからどうなっていくのか、皆様どうかこの物語を楽しんで行って下さい!良ければこの小説のお気に入り登録をよろしくお願いします!
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